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【肩の緊張緩和】血行を促進する肩こり改善エクササイズ vol.60

「肩こりがひどくて仕事に集中できない」「長年、肩こりに悩まされて身体中が痛い」このようなお悩みを抱えていませんか?肩こりの原因の1つに、日常の姿勢が挙げられます。何気ない座り姿勢や立ち姿勢の時に、背中が丸くなった猫背の姿勢になると、背骨を支える筋肉(多裂筋)が硬くなり、背骨の可動域が制限されてしまいます。その結果肩まわりの血流が悪くなり肩こりを引き起こします。特にパソコンやスマートフォンを見る時に、アゴと胸の距離がこぶし1個分の隙間がないと首と肩に大きな負担がかかり肩こりの原因となります。今回は、こうした背骨の可動域が制限されることで生じる肩こりの原因と自宅で簡単にできる肩こり解消エクササイズをご紹介します。

肩こりの原因とは

肩こりの原因の1つに、首から腰にかけて背骨のすぐ横に付着する筋肉「多裂筋(たれつきん)」の筋力低下が挙げられます。多裂筋(たれつきん)の筋力が低下すると、背骨をしっかりと伸ばすことができなくなり自然と猫背姿勢になってしまいます。猫背姿勢になると、肩甲骨が首の方向に引っ張られるため、肩まわりの筋肉に過度な負荷がかかります。この過度な負担は肩まわりにある「僧帽筋(そうぼうきん)」や「前鋸筋(ぜんきょきん)」といった筋肉を必要以上に働かせるため、筋肉が緊張して血行が悪くなります。それにより肩こりを引き起こしやすくなります。例えば、椅子に座ると腰が丸くなり立ち上がると腰が反ってしまう方は、多裂筋(たれつきん)の筋力が低下しているサインです。このような姿勢は、肩甲骨を腰方向に引くことができなくなるため肩周りの筋肉の負担が大きくなり肩こりの原因となります。

背骨と肩こりの関係性

肩こり改善のポイントは丸まった背骨をまっすぐ起こすように後ろへ伸ばすこと(胸椎の伸展)です。特に首の付け根からみぞおちまでの背骨(胸椎)を後ろへしっかり伸ばすことで背中が自然と起き上がり、肩甲骨が下に引かれるようになります。その結果肩まわりの筋肉(僧帽筋、前鋸筋)にかかる負担が減り、肩こり改善に繋がります。

小胸筋と肩甲骨の動き

小胸筋の柔軟性が低下すると背中が丸くなり、肩まわりの筋肉(僧帽筋、前鋸筋)への負担が大きくなります。小胸筋は第3〜5番肋骨の前面から始まり、肩甲骨の烏口突起にかけて付着している筋肉です。この筋肉は肩甲骨を下方に引いて肩甲骨を安定させる働きがあります。しかしこの小胸筋が硬くなると肩甲骨が前方に引っ張られてしまうため、背中が丸まり肩関節は内側に捻れた状態になります。この状態では、背中を後ろに伸ばすことができなくなり僧帽筋や前鋸筋の上部繊維に大きな負担がかかってしまうため、肩こりの原因となってしまいます。

 

前鋸筋と肩甲骨の安定性

前鋸筋の筋力は肩甲骨の安定性に大きく影響します。前鋸筋は上部繊維と下部繊維に分かれており、それぞれ異なる働きを持っています。上部繊維は第1〜2肋骨の外側から始まり、肩甲骨の内側にかけて付着しており、肩甲骨を前に引っ張る働きがあります。下部繊維は第4〜9肋骨の外側から始まり肩甲骨の内側にかけて付着し、肩甲骨を下に引っ張る働きがあります。小胸筋の柔軟性が低下すると、肩甲骨を前方向に引っ張る力が強くなり、前鋸筋の上部繊維に大きな負担がかかることで背中が丸まってしまいます。一方で背中を後ろに伸ばすことで、前鋸筋の下部繊維が働きやすくなるため、肩甲骨の安定性が高くなり、姿勢の改善や肩こりの予防につながります。

多裂筋と姿勢

多裂筋の筋力が弱くなると背中が丸まり猫背姿勢になってしまいます。多裂筋は腰の一番下にある骨(仙骨後面)や腰の骨(腰椎乳頭突起)から始まり、首のつけ根あたりまでの背骨の後ろにある突起部分にかけて付いている筋肉です。この筋肉の働きは、背骨を捻る働きや横に倒す働きのほかに、背骨を後ろに伸ばすことや背骨を安定させる働きがあります。背骨を後ろに伸ばすことで肩甲骨が腰方向に引っ張られるため、肋骨にしっかり固定され肩甲骨が安定します。このように多裂筋は肩甲骨の安定性に深く関係しているため、多裂筋を正しく使うことで肩まわりの症状が緩和します。

肩こりのセルフケア3ステップ

ここからは、自宅でできる肩こりのセルフケアを3ステップで解説します。

STEP1 大胸筋・小胸筋ストレッチ

■効果

胸周りの筋肉(大胸筋、小胸筋)柔軟性改善、背骨の柔軟性改善、肩まわりの血流改善

■手順

1.うつ伏せになり顔は左を向きます。両腕の肘を肩の高さで90度に曲げます。

2.両膝を90度に曲げて右側に倒します。

3.左肘を上げ、肩の位置で手を床につけます。

4.左肘を伸ばしながら顔を天井に向けて右へ捻ります。

■セット数目安

2~4の動作を10秒1セットとして左右3セット行いましょう。

■ポイント

4の動作の際に右の肩が床から離れないように意識しましょう。

STEP2 背骨のストレッチ

■効果

背骨の柔軟性改善、肩甲骨の可動域改善、首の骨(頚椎)の前弯改善

■手順

1.両肘をつけて手は頭に置きます。バスタオルを筒状にしたものをみぞおちの裏において、押しながら背中を丸くします。

2.みぞおちでバスタオルを押しながら、背中を伸ばします。

3.床に肩がついたら肘を頭方向に引き上げます。

4.みぞおちの裏でタオルを押しながら1の姿勢に戻ります。

■セット数目安

1~4の動作を1セットとして10回行いましょう。

■ポイント

1~4の動作の際に、みぞおちの裏でバスタオルを押す力が抜けないように注意しましょう。

STEP3 肩関節のエクササイズ

■効果

肩関節の可動域改善、肩関節インナーマッスル(小円筋、棘下筋、肩甲下筋)の柔軟性改善

■手順

1.仰向けの状態で右肘を90度に曲げ、右肩と同じ高さにします。

2.みぞおちに左手を置き、みぞおちでマットを押します。

3.右肘を支点にして、右手のひらを床につけるように肩関節を捻ります。

4.右肘を支点にして、右手の甲を床につけるように肩関節を捻ります。

■セット数目安

3~4の動作を1回として左右10回ずつ行いましょう。

■ポイント

3~4の動作の際に支点にしている肘がずれないように意識しましょう。

まとめ

肩こりの原因は様々ですが、背骨を後ろに伸ばす筋力の柔軟性の低下は肩こりの原因の全てに共通します。特に多裂筋(たれつきん)や前鋸筋(ぜんきょきん)といった、肩甲骨や背骨を安定させる筋肉が弱くなると背中が丸まり猫背姿勢になるため、肩の筋肉の負担が大きくなってしまうことで肩こりの症状が悪化します。今回ご紹介した3つのエクササイズを行うことで、肩甲骨と背骨が安定するため、肩まわりの血流が改善します。まずは各メニューを1日1セットから行い、肩こりを改善していきましょう。


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