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住宅ローン返済に困ったら…プロが教える適切な対処法 Vol.2
昨今の厳しい経済状況により、住宅ローンの返済に悩む人が増えているようです。
万が一、住宅ローンの返済が困難になってしまった場合、どうすればよいのでしょうか?
住宅ローンを滞納した場合のリスクと最悪の状況を回避するための対処法を解説します。
目次
新型コロナの影響で「住宅ローンが払えない」相談が増加傾向
出典:住宅金融支援機構
2020年2月にはおよそ15件だった相談件数は4月には単月で1000件を超えています。
具体的な相談内容としては「新型コロナで今月分は入金できないと思う。1か月程待ってもらえるか」、「ボーナスが減りそうだ。ボーナス返済を取りやめることはできないか」など、計画通りに住宅ローンを支払えないことを切実に訴える内容が見られます。
住宅ローンを払えなくなったら?滞納後の大まかなスケジュール
では住宅ローンの支払いが苦しくなり、万が一滞納してしまった場合はどうなるのでしょうか?
滞納した場合に起こり得るリスクから最終的に家を手放すことになる「競売」に至るまでの仕組みを解説します。
<ワンポイントアドバイス>
競売での売却は、市場価格よりも安くなる傾向にあります。競売を回避するためにも金融機関への相談は欠かせません。また売却を視野に入れる場合も早めに不動産会社に相談し、有利な売却を目指しましょう。
<専門家アドバイス>
競売の取り下げには「取下書」が必要
競売の取り下げには債権者の取り下げ意思を確認するための「取下書」を管轄の裁判所に提出する必要があります。
競売の取り下げには債権者の取り下げ意思を確認するための「取下書」を管轄の裁判所に提出する必要があります。
競売となるような事態を避けるには!? 滞納する前の対処法
住宅ローンの支払いが厳しくなった場合、まずは金融機関に相談することが何より重要です。金融機関では個人に合った救済措置を提案してもらえるため、適切な解決策が得られるでしょう。
滞納を回避するためにはどんな選択肢があるのか、金融機関への相談ポイントを解説します。
ポイント1:一定期間の返済額の減額
教育費や入院・手術などの支出増、産休・育休による収入減など一時的にローンの返済が厳しくなった場合、その期間に限り毎月の返済額を減らす条件変更が可能です。
しかし減額期間終了後は、その分返済額が上乗せされ、総返済額が増えてしまうというデメリットがあります。
ポイント2:返済期間の延長
「転職して収入が減った」、「リストラされて今後の収入の目処が立たない」といった場合は、返済期間を延長し、毎月の返済額を減らすことが可能です。
例えば「ローン残高2500万円、残りの返済期間25年、金利1.5%」(ボーナス払いなし)の場合、ローンの返済期間を10年延長することで、月々2万円ほど負担を軽減できます。
しかし返済期間を延長することで毎月の返済額は減っても完済までの総返済額は増加するというデメリットがあります。
ポイント3:ボーナス払いの取りやめ
「ボーナス払い」は、ボーナス時にまとまった金額を支払うことで、月々の返済額を軽減できるというメリットがあります。
しかし会社の業績不振によってボーナスがカットされることでローンの支払いがますます厳しくなることも。ボーナス払いをやめて毎月払いのみに切り替えるか、ボーナス月の返済額を引き下げることを検討してみましょう。
ただし、ボーナス月の負担は減る分、毎月の返済額が増えるデメリットがあります。金融機関の担当者と話し合いをしながら十分検討したうえで、返済額を調整していきましょう。
【専門家コメント】
今回ご紹介した返済方法の変更は、あくまでも金融機関の判断に委ねられます。審査の結果、変更が認められないケースもあるため、金融機関の担当者に自身の状況や希望を相談しながら、最適な方法を探っていきましょう。
返済が困難になったら…家を手放す場合の選択肢は?
実際に住宅ローンが払えず自宅を売却する場合、どんな売却方法があるのでしょうか?
住宅ローンを支払えなくなる前に早めの相談が吉!
重要なのは滞納する前の「黄色信号」の時点で、早めに金融機関に返済計画の見直しやリスケジュールを相談することです。
「どうせ払えないから」と放っておくと、住宅ローンの分割払いができなくなり、競売といった次のステージに進んでしまうことになります。
なお、住宅ローン以外に借金がある場合は、弁護士への相談も視野に入れることをおすすめします。
さらに自然災害などにより住宅ローンの返済が困難になった場合は、特例制度が設けられていることが多いです。早めに金融機関に相談することで、最悪なケースを回避しましょう。
監修者
行政書士 舘 素子(たち もとこ)
たち行政書士事務所代表 http://officetachi.com/
合同会社MNコンサルティング 代表社員
武蔵小山創業支援センター専門アドバイザー
立教大学経済学部経営学科卒業
旅館業・民泊手続き、宅建業申請など不動産に関する許認可申請を得意とする。安心して相談できる行政書士として、しっかりと話を聞く姿勢とわかりやすい説明を心がけている。
ライター
小川 葉子(おがわ ようこ)
大学卒業後、IT 企業にて役員秘書として勤務したのち、翻訳会社に転職。営業サポートから翻訳コーディネートまでを担当。その後、結婚・出産を経て、ライターに転身。暮らしやお金に関するコラムを執筆。子育て中の親である視点を活かしながら、お金や住まいに関してわかりやすく発信しています。
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