野菜をつくろう!

Vol.2 ミニトマト

家庭菜園と聞くと、畑やお庭がないとできないものと思っていませんか?
しかし、マンションのバルコニーでも、プランターで野菜を手軽に育てることができるのです!
初心者さんでも大丈夫。ちょっとした知識と簡単な装備で、誰でも気軽に始められるのがプランター菜園のよいところです。
さあ、"おうちで野菜づくり"にチャレンジしてみましょう♪
第2回は家庭菜園で一番人気のミニトマトの育て方をご紹介します。

必要な道具を準備しましょう

ミニトマト栽培に必要な道具

【1】プランター
8~10号くらいの鉢(大きめの鉢が育てやすいです、写真は8号鉢)
【2】
「花と野菜の土」など野菜用と書かれており、肥料入りですぐに使える土が便利(約5~9リットル使用)
【3】支柱
長さ120~180cm程度
【4】ひも
20cm程度のものを4~5本(素材はなんでもOK)
【5】
良質な苗の特徴は、茎が太く葉の色が濃く、双葉がついているがっちりとしたもの

※基本の道具は第1回バジルのページでご確認ください。

ミニトマトの育て方

家庭菜園の大人気野菜、バルコニーでも比較的育てやすいミニトマトを育ててみましょう。
ミニトマトは種から育てることもできますが、初めての方には苗から育てる方が簡単でおすすめです。苗の植え付け時期は4月下旬~5月中旬ごろで、7月にはかわいいミニトマトが鈴なりになります。第1回で紹介したバジルとも相性がよいので、ぜひバジルと一緒に育ててみましょう。

1.苗の購入

ホームセンターや種苗店で、ポット入りの苗を購入します。
苗を選ぶときのポイントは、双葉がついていて、茎が太く、全体的にがっちりとしている苗がよいでしょう。

2.苗の植え付け

植え付け時期は4月下旬~5月中旬ごろが目安です。プランターに土を入れて、植え穴をあけます。
苗をそっとポットから取り出して植え付け、土を寄せて軽く押さえます。
日当たりのよい場所に配置し、1日1回、水やりをします。

3.支柱立て

苗の植え付けから1~2週間以内に、支柱を立てます。ひもを茎と支柱の間で2回転ほどひねって、支柱に結び、8の字結びにして誘引します。きつく結ばないよう、茎と支柱の間に余裕を持たせましょう。
※誘引とは、茎と支柱をひもで結んで、伸びてきた茎が折れたり絡まらないよう支柱に沿わせることです。

4.脇芽摘み

茎と葉っぱの間の付け根から出てきた脇芽はすべて摘み取って、1本仕立てにします。

5.追肥

植え付けから1カ月が経過したら、追肥を開始します。
追肥は、使用する肥料の規定通りに、収穫まで定期的に行います。
(後述「ここがPOINT!」参照)

6.開花、結実、摘心

苗の植え付けから2~3週間ほど経過したら、黄色のかわいい花が次々と開花し、その後、青い実ができ始めます。
花房の4段目まで蕾ができたら、4段目より上の葉を2~3枚ほど残して、先端を摘芯し、育てる4房に栄養を集中させます。

7.収穫

6月下旬~7月ごろ、真っ赤に色づいたものから収穫します。
収穫の2~3日前から水やりを控えめにすると、甘いミニトマトが収穫できます。

注:野菜の育て方は地域の気候により異なります。このページでは、関東の気候を基準にしています。おおむね関東~九州の太平洋側では、同じような育て方をします。日本海側や東北地方の寒冷地では、苗の植え付け時期を2週間程度遅らせてください。北海道はさらに2週間程度遅らせ、5月中旬~下旬ごろに苗を植え付けてください。

同じ時期に苗を植え付ける野菜

ピーマン

ピーマンはミニトマトと同じナス科の実野菜で、育て方も比較的簡単です。同じように苗を購入し、鉢に植え付けをします。ミニトマトと違う点は、ミニトマトが1本仕立てなのに対して、ピーマンは3本仕立てで育てます。3本仕立てとは、一番果付近の太い枝を3本伸ばし、それより下の脇芽はすべて摘み取ることです。あとは、1日1回、朝に水やりをして、植え付け後1カ月が経過したら、定期的な追肥をします。

 

夏の暑さに強く、9月~10月ごろまで収穫を続けることができます。猛暑の時季に、朝夕1日2回の水やりをすると、10月ごろまで収穫が期待できます。

ここがPOINT!

<緩効性化成肥料>

初心者向きでゆっくりと長く効く肥料です。肥料焼け(※)の心配がなく、効果の高い肥料です。
追肥の間隔は、苗を植え付け後1カ月程度経過したら、3週間おきに追肥します。
※肥料焼けとは、肥料のやり過ぎで植物の成長が悪くなったり、場合により枯れてしまったりすることです。

<有機肥料>

安心安全な肥料です。
化成肥料に比べると効果が劣るため、収穫量は少なくなります。
追肥の間隔は、苗を植え付け後1カ月程度経過したら、3週間おきに追肥します。
 
★化成肥料、有機肥料ともに、固形の肥料は、株元から5cm以上離して、等間隔に土に埋め込みます。

<液体肥料>

水で薄めて使用するので、水やりと同時に追肥できるため、お手軽な肥料です。

有機質の多いものやそうでないものなど、いろいろな種類がありますが、必ず「野菜用」と書かれている肥料を使用します。追肥の間隔は、苗を植え付け後1カ月程度経過したら、1週間おきに追肥します。

プロフィール

ベランダ菜園セラピスト/宮田範子

ベランダ菜園歴20年以上。普通のマンションのベランダで、幅広く野菜作りを楽しんでいる。野菜の栽培記録をつづったブログ「大好き☆ベランダ菜園」が人気で、現在は、ネットショップ「Nicoco プランター菜園EnjoyShop」を運営。著書「ベランダ菜園セラピー」など。

野菜づくりの達人! 藤田 智 先生からのアドバイス

5月以降は、果菜類の植え付けのオンパレードです。植え付けを終えれば、水やり、追肥、管理作業などで忙しくなりますが、これも覚悟の上です。ミニトマトやピーマンの作り方を参考にして、いろいろな野菜に挑戦してみてください。
 
土は、野菜用あるいは花用と書いてあるものを選びます。高価なものから安いのものまで多種多様にありますが、安い価格のものは、2~3週間寝かせたあとに使うとよいです。苗は、第1花が咲いていること、葉が青々しいもの、節間が短いもの、双葉が付いているもの、病害虫の被害のないものなどに注意して選んでください。
 
ミニトマトですが、植え付けたら病気や害虫に気を付けてください。防ぐためには、脇芽をしっかりと切り、1本仕立てにすることです。そして、害虫を見つけた場合は、すぐに対応してください。追肥も忘れずに行い、実がついてからは肥料切れに注意してください。また、支柱をしっかりと立て、週に1回は誘引等の作業を怠らず、頑張ってください。そして、7月からは、真っ赤に色づいた果実を味わってください。目標は、80個が目安です。ミニトマトは、肥料と水さえ管理すれば、割と簡単に実がつきますので、ぜひ取り組んでみてください。
 
ピーマンは、植え付けしたら、1カ月くらいで収穫に入ります。花が咲いたら、およそ20日で収穫できます。次々に収穫できますから、しっかりと管理してください。ただし、一番果がついたら、剪定(せんてい)して、大きな枝を3本にする、3本仕立てを行います。このやり方がこの記事に記されているので、よくお読みください。ピーマンやナスは、10月まで収穫可能です。10月までの収穫目標は、45~50個です。これくらい採ると合格です。また、最後はピーマンを赤くしてみるのも面白いです。緑のものが赤くなるまで60日程度です。ぜひやってみてください。
プロフィール 

藤田 智(ふじた さとし)

1959年秋田県生まれ。岩手大学農学部、同大学院修了後、向中野学園高校の教諭、恵泉女学園園芸短期大学助教授を経て、現在は恵泉女学園大学人間社会学部人間環境学科の教授として教鞭をとる。その傍ら、家庭菜園や市民農園の指導、普及活動にも積極的に取り組む。「趣味の園芸やさいの時間」(NHK)や「世界一受けたい授業」(日本テレビ)などメディアにも多数出演し、野菜栽培に関する著書などは110冊を超える。
明和地所グループ ライフスタイルクラブインタビュー記事はこちら
《ご注意ください》

・バルコニーは非常時の避難通路としての役割があります。
 プランターで避難パネルや避難ハッチを塞ぐことのないよう、避難経路を確保しましょう。
・落下の危険のある場所にプランターを設置するのはやめましょう。
・枯葉や土を排水口に流すと、排水管詰まりの原因となります。こまめに掃除しましょう。
・水やりの際は階下に水が落ちないよう配慮しましょう。
・マンションの管理規約、使用規則を遵守して野菜づくりを楽しみましょう。

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