おうちトレーニング

しつこい首コリをすぐに解消したい方のための猫背改善エクササイズ vol.54

デスクワークやスマートフォンの使用などにより肩や首のこりに悩まされていませんか?長時間同じ姿勢を続けると無意識に楽な姿勢を求めてしまい、首が肩よりも前に出た猫背姿勢になりがちです。その結果、首や肩周りの筋肉に過度な負担がかかり、こりの原因となります。
左右を振り向いた時に肩と鼻が一直線にならない、左右に首を倒した時に肩と耳の間がこぶし1個分より広い、上を向いた時に頭と首の境目に痛みがあるなど、ひとつでも当てはまる方は、肩ではなく首が凝っているかもしれません。そんな方に向けて、誰でも簡単に猫背と首こりを改善できるエクササイズをご紹介します。

猫背になるとなぜ首が凝る?

頚椎は正常であれば横から見た際にS字カーブを描くような状態になっています。一方で、猫背になると首が肩よりも前に押し出され、頚椎がまっすぐな状態になってしまっています。これをストレートネックといい、肩甲骨周りの筋力(菱形筋・前鋸筋・僧帽筋下部)が低下します。筋力が低下すると頭を正しい位置に維持することができなくなり、代わりに首の後ろの筋肉(僧帽筋上部・肩甲挙筋)で頭の重さを支えることとなるため、過度な負担が加わり首が凝る原因となります。

ストレートネックとは

人間の首の骨(頚椎)は7つの骨で構成され、30~40度程の角度で緩やかに前方へカーブしています。この頚椎の前弯のカーブが30度以下の状態をストレートネックと言います。本来頚椎の前方へのカーブが30~40度あることで、頭の重さを効率よく分散して衝撃を和らげることができますが、頚椎のカーブが30度以下の場合、頭の重みによる負担が直接頚椎にかかってしまうため首のこりが生じてしまいます。パソコンやスマートフォンを操作する姿勢は、長時間の猫背姿勢で、頚椎の弯曲が消失してしまい、首の角度が30度以下になりやすいため注意が必要です。

猫背が首に与える影響とは

頭の重さは、体重の約10%の重さがあると言われ、日本人の平均体重で計算すると成人男性で約5~7kg、成人女性で約4~5kgとなります。猫背のように首が前に15度傾く毎に、首の骨がまっすぐになる状態(ストレートネック)となってしまい、首にかかる負担が2倍(約10kg)になります。パソコンを見る際の首の角度は30度で約18kgの負担がかかり、スマートフォンを見る際の首の角度は45度で約22kgの負担がかかります。首に負担がかからない姿勢の目安として、横から見て「耳(耳垂)・肩(肩峰)・股関節(大転子)・膝関節の前方・外くるぶしの後方」が一直線にあると首が安定して疲れにくいと言われています。

首に負担をかけない座り方

首への負担を軽減するためには、正しい姿勢で座ることが必要不可欠です。しかし長時間座り続ける場合に,足を組んだり、椅子に浅く腰掛けたり、背もたれに寄りかかって骨盤が後傾する座り方をするなど、つい楽な姿勢を求めてしまっていませんか?このような姿勢は、お尻周りの筋力低下や骨盤の歪み、頭や首を支える肩甲骨周りの筋肉(菱形筋・前鋸筋・僧帽筋下部)が弱くなってしまいます。座る時に正しい姿勢を意識することで、猫背を防ぎ首コリの改善をしましょう。

〈正しい座り方のポイント〉

・足の裏をしっかりと床につける

・足首と膝を90度よりも鋭角に曲げる

・背もたれにお尻とみぞおちの裏をつける

・おへその下に力を入れ、骨盤を立てる

〈座る環境の整備〉

・座面高は深く腰掛けられる高さに調整

・座面に深く座り、背筋が伸びる位置に設定

・デスクと身体との距離は肘が楽に置ける位置に調整

・パソコンのディスプレイは目の高さと同じまたは目線から少し下げた位置に配置

これらのポイントを日常的に意識して実践することで、首への負担を効果的に軽減することできます。特に、骨盤の位置と背筋の伸びを意識し、足の裏を床にしっかりとつけて足首と膝の角度を保つことが重要です。正しい姿勢を習慣化することで、首こりや肩こりを予防し、快適なデスクワークを目指しましょう。

猫背改善エクササイズ

正しい姿勢を意識することも大切ですが、長い期間の癖によって猫背姿勢が習慣になっている方も多いと思います。猫背姿勢を改善するには、弱く硬くなった筋肉をほぐすことが必要です。肩と頭のアライメント(ポジション)を整えて、猫背姿勢と首こりを改善するエクササイズを3つご紹介します。

①小胸筋エクササイズ

■効果

小胸筋ストレッチ、肩甲骨の安定性

■手順

1.筒状に丸めたバスタオルに左肩と左胸の間を乗せて、うつ伏せになります。顔は右を向きます。

2.肘を床につけたまま左肩を前方へ伸ばします。

3.手のひらで円を描くように肩を回し、肘は肩から引き離すように意識します。

4.肘を身体に引き寄せます。

■セット数目安

2~4の動作を左右10回ずつ行いましょう。

■ポイント

円を描く際に肘が床から離れないように意識しましょう。

②菱形筋・僧帽筋下部エクササイズ

■効果

小胸筋ストレッチ、菱形筋・僧帽筋下部エクササイズ

■手順

1.手のひらを上に向け、肩から手首までが床と水平になるように右手を伸ばし、左手を右肩に置きます。

2.肩が上がらないように、右腕を水平に後ろに引きます。

3.肩甲骨の内側に収縮感を感じながら、そのまま身体を右側に捻ります。

4.3で最大まで身体を回旋させた後、身体の向きを正面に戻します。

■セット数目安

2~4の動作を左右10回ずつ行いましょう。

■ポイント

2~3の動作の際に肩があがり首と近くならないように耳と肩の距離を長く保ちましょう。

③胸椎エクササイズ

■効果

胸椎の伸展、頚椎の安定性、肩甲骨の安定性

■手順

1.肩と首の境目に両手を置きます。

2.両肘を前方に押し出し、頭を後ろに引きます。

3.喉の下の骨(胸骨)を上に引き上げるようにして身体を後ろに反らします。

4.3の姿勢から、肘を天井に押し上げます。

■セット数目安

2~4の動作を10回行いましょう。

■ポイント

3と4の動作の際に骨盤が後ろに倒れないように、両肘を前方に引き出すことを意識しましょう。

まとめ

長時間同じ姿勢を続けていると無意識に猫背姿勢になってしまい、頭を支えるために首に過度な負担がかかってしまいます。今回ご紹介した正しい座り方やエクササイズを行うことで、猫背と首コリを改善することができるでしょう。慣れない座り方や姿勢を保つことなど、最初はキツく感じると思いますができることから始め、コツコツと続けることが重要です。日々の姿勢を意識しながら、こまめにストレッチを行い猫背と首コリを改善していきましょう。

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