プロに教わる時短お掃除

ウイルスとは? ~手・マスクの洗い方の基本~ Vol.8

新型コロナウイルスの感染拡大以降、外出自粛や在宅勤務など「おうち時間」が増えています。家にいる時間が増えれば、今までは気づかなかった汚れも気になってしまいがち。感染症予防を意識した掃除の方法も気になります。気づいたときにパパっとできて、すぐにきれいになる「時短おそうじ」のコツを、日本清掃収納協会会長の大津たまみさんに教えてもらいました。今回はウイルスとは何か、基本的な知識と、手とマスクの洗い方の基本について教わります。

教えてくれたのは… 大津たまみさん
日本清掃収納協会会長。年間200本以上の講演のほか、テレビなどで片付けや掃除法を伝えている。(株)アクションパワー取締役会長。(一社)生前整理普及協会代表理事。清掃収納マイスター1級認定講師。

ウイルスとは?

ウイルスは「エンベロープ」と「ノン・エンベロープ」に分類できます。例を挙げると、ノロウイルスはノン・エンベロープなのに対し、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスは外側をたんぱく質の膜(エンベロープ)で覆っている「エンベロープウイルス」に分類されます。
エンベロープは、濃度70%以上のアルコールや石鹸、熱や酸などに弱く、膜を溶かしてしまうことで不活性化できます。そのため、アルコール消毒などを行うことで接触感染を防ぐことができます。
 

細菌との違いは?

細菌は単細胞生物で、細胞の分裂により仲間を増やします。対してウイルスは自分で細胞を持ちません。そのため、人間など生物の細胞に寄生しないと生きていくことができず、その栄養を吸い取って増えていきます。
また、細菌は肉眼で見ることができないほど小さな生物ですが、ウイルスは細菌よりもはるかに小さく、その大きさは細菌の50分の1ほどと言われています。細菌が細胞の外で増えるのに対し、ウイルスは細胞の中で増えることを考えれば、大きさの違いを想像できるでしょう。
 

ウイルスから自分を守る方法

ウイルスによる感染症は、原因となる病原体や感染経路により予防対策が異なりますが、共通していえることは「免疫力を低下させないこと」。そのためには、栄養バランスのとれた食事をとり、適度に運動をして、十分な睡眠をとるなど規則正しい生活を送り、ストレスのない毎日を送ることが大切です。そのうえで、自身を清潔な状態に保ち、感染予防を習慣化しましょう。

正しい手洗いの方法

感染症対策の基本は、正しい手洗いから始まります。帰宅時はもちろん、調理の前後や食事前など、こまめにしっかりと手を洗いましょう。
まず、手洗いの前に腕時計や指輪を外しておきます。流水で手を濡らした後、石鹸を泡立てて手のひらをよくこすります。続いて手の甲もよくこすりましょう。指先や爪の間も念入りにこすって洗います。指の間を洗い、親指と手のひらをねじり洗いし、最後に手首も忘れずに洗います。十分に水で洗い流し、清潔なタオルやペーパータオルで水分を拭き取って乾かしましょう。
また、出先で手洗いをする際など石鹸がない場合は、70%以上のアルコールが含まれている除菌シートやスプレーでウイルスを除去しましょう。
 
下記の写真は、手を洗う前、数秒間水洗いをした場合、数秒間石鹸洗いをした場合、1分以上石鹸洗いをした場合の汚れの落ち具合を、それぞれ可視化しています。水洗いよりも石鹸を使った方が汚れは落ちやすく、1分以上石鹸洗いをすることでほぼすべての汚れが落ちます。手首や指の先は汚れが残りやすいため、特に念入りに洗いましょう。
 

Before

数秒間水洗いをした場合

数秒間石鹸洗いをした場合

1分以上石鹸洗いをした場合

マスクの洗い方

ウイルスの感染予防策として、マスクの着用は欠かせません。使い捨てマスクと併用で、繰り返し使える布マスクを利用している人も多いでしょう。布用マスクを清潔な状態で使用するために、正しい洗い方を覚えたいところ。他の洗濯物から細菌やウイルスが付着することを防ぐため、1日1回、1枚ずつ、衣料用洗剤で洗います。洗剤で洗っても汚れが目立つ場合は、塩素系漂白剤に漬けて汚れを落としましょう。
アルコール消毒の繰り返しなどにより手荒れを起こしている人は、角質層の隙間からウイルスが侵入しやすくなっていますので、ゴム手袋をして洗ってもよいでしょう。塩素系漂白剤を水に溶かした後は、必ずゴム手袋を着用します。洗い終えたマスクは水気を切り、陰干しで乾かしましょう。
※特定の細菌やウイルス対策に関しては、厚生労働省やNITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)で最新の情報をご確認ください。
 

<用意するもの>
☑洗面ボウル
☑ゴム手袋
☑衣料用液体洗剤(水2Lに対し、0.4ml程度)
☑塩素系漂白剤(水2Lに対し、30ml程度)

1.衣料用洗剤を水に溶かし、マスクを入れて10分程度漬けます。

2.繊維を傷めないよう、揉まずにやさしく押し洗いをします。
 

3.水の中にウイルスが含まれている可能性があるため、飛び散らないよう静かに流します。

4.マスクを水ですすぎます。

5.さらに汚れが気になる場合は、塩素系漂白剤を水に溶かし10分程度漬けます。

6.先ほどと同様に水を流し、マスクを水ですすぎます。

<ここがポイント>
1. 新型コロナウイルスは手洗い+アルコール消毒で接触感染を防ぐ
2. 手洗いは手首や指先までくまなく洗う
3. 布マスクは衣料用洗剤に漬け置き。汚れが気になる場合は塩素系漂白剤にも漬け置き

いかがでしたか?ウイルスとは何か理解をしたうえで、正しい手洗いや布マスクの洗い方を、ぜひ試してみてくださいね。次回の「プロに教わる時短おそうじ」は、物に付着したウイルスを除去する方法を紹介します。

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