おすすめ書籍のご紹介

おすすめ書籍のご紹介 Vol.1

映画化される注目作品の原作

at Home

父親は泥棒で、母親は結婚詐欺師。主人公はパスポート偽造屋で働いており、弟はゲームの中で世界を救ってばかりいる。傍から見ればいびつに見える家族だが、実は一つの絆でつながっていて、一家はそれなりに平和に暮らしていた。しかし、ある日、母親の結婚詐欺の目論みがターゲットにばれてしまい、逆に誘拐されてしまう。身代金を要求され、犯人の呼び出しに応じた父親と主人公は、偽札が詰まった紙袋を持って母親を助けに向かうが…。驚きと涙なくしては読めない表題作のほか、「日曜日のヤドカリ」「リバイバル」など全4編を収めた傑作小説集。

書籍情報
タイトル:at Home
著者:本多孝好
出版社:角川書店
価格:¥552+税

ピックアップコラム

昨年、三浦春馬さんが主演した映画『真夜中の五分前』や、岡田将生さんが主演することで話題を呼んでいる2015年6月公開予定の『ストレイヤーズ・クロニクル』など、作品の映像化が相次ぐ小説家の本田孝好さん。短編集の『at Home』では現代のさまざまな“家族のかたち”を描いており、表題作は竹野内豊さん、松雪泰子さん出演で映画化が決定。2015年8月の公開を前に期待が高まっています。

本作の特徴は、家族が犯罪によって生計を立てているという設定…と書くと、恐ろしい登場人物を想像してしまうかもしれませんが、どの人物も愛らしい性格で、不思議と憎むことができません。しかも、食卓を囲む家族の日常会話は、結婚詐欺の進捗状況やいかにうまく相手をだますかの作戦会議など奇妙な光景ばかりで、思わず笑いを誘います。

しかし、結婚詐欺の目論みがターゲットにばれて母親が誘拐されてしまうと、コミカルでテンポのいい会話が冴える序盤から、その雰囲気は一変。残された家族が母親を救い出すために、ターゲットとのスリリングな頭脳戦を繰り広げます。

随所に張り巡らされた伏線が明らかになった瞬間の気持ちよさ、最後まで先の読めない展開など、ページをめくらせる魅力がぎゅっと詰まった本作。読み終えたときには、タイトルの秀逸さも感じられるはずです。

海街diary

しっかり者の長女・幸(さち)と酒好きで年下の男に弱い次女・佳乃(よしの)、いつもマイペースな三女・千佳(ちか)。祖母が残した鎌倉の家で暮らしていた三姉妹のもとに、ある日、幼い頃に母親との離婚で別れたきり、15年以上会っていなかった父親の訃報が届く。あまり記憶のない父親の死に何も感じることができない佳乃と千佳。それでも仕事の都合で葬式に参列できないという幸に代わって、父親が暮らしていた山形へと向かうが、そこで異母兄弟である浅野すずに出会う。父親を失ったばかりなのに気丈に振る舞うすずに対し、三姉妹は鎌倉で一緒に暮らすことを提案する。

書籍情報
タイトル:海街diary
著者:吉田秋生
出版社:小学館
価格:¥505+税

ピックアップコラム

「マンガ大賞2013」を受賞し、注目を集めた『海街diary』。鎌倉の景色が描かれた美しいカバーを書店で目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。物語の主要人物は、鎌倉に暮らす四姉妹。6月13日から公開される実写映画では長女の幸を綾瀬はるかさん、次女の佳乃を長澤まさみさん、三女の千佳を夏帆さん、四女・すずを広瀬すずさんが演じています。

1巻で描かれているのは、この4人の姉妹が“父親との関係によって失ったものと、新しく得たもの”。自分たちを捨て女性と家を出て行った父親を許せない幸、15年以上会っていない父親の訃報を聞いても悲しいと思えない佳乃、父親の記憶がほとんどない千佳。そして、母親を亡くし、幸たちの父親の看病のために13歳にして大人にならざるを得なかったすず。心のどこかに傷を負い、なにかが不完全だからこそ、彼女たちは周りの人の感情のゆらぎに敏感で、やさしいのです。

三姉妹がすずに与えた優しさは、結果的に自分たちのもとへと巡り、父親との確執がほどけていくことに。すずもまた、抑圧していた年相応の子供らしさを取り戻していきます。ほかのエピソードの登場人物もなにかしら悩みを抱えており、巻が進むにつれて彼女たちが悩み・成長していく姿には、一歩踏み出すことへの勇気を与えられます。

決してドラマチックではなくとも、淡々と、優しく、あたたかい―彼女たちが住む街の海のように、いくつもの人生がきらきらと輝いています。

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話

金髪ギャルのさやかちゃんは高校2年生の夏に大きな転機を迎えた。これまで無縁だった大学受験を考え、母親のああちゃんに連れてこられた塾で坪田先生に出会う。心理学などを使って、多くの生徒の偏差値を上げてきたカリスマ塾講師である坪田先生の「君が慶應とか行ったら面白そうじゃん」という一言をきっかけに、さやかちゃんは慶應義塾大学の現役合格を目指すことに。しかし、偏差値30の彼女は「聖徳太子」が読めないし、東西南北もわからない。誰もが無理、無謀だという目標に対し、さやかちゃんはさまざまな壁にぶつかりながらも挑戦していく。

書籍情報
タイトル:学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話
著書:坪田信貴
出版社:株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス
価格:¥1,500+税

ピックアップコラム

単行本累計65万部を突破し、2015年5月1日に有村架純さん主演による映画『ビリギャル』として公開する予定の本作。偏差値30以下の金髪ギャル“さやかちゃん”が、塾講師“坪田先生”と出会い、慶應大学に現役合格するまでの実話を書籍化した作品です。

坪田先生がさやかちゃんとの出会いを回想するところから、本作は始まります。当初は東西南北すらわからず、「聖徳太子」を「せいとくたこ」と読んでしまうなど、まるでお笑いのネタのような珍回答を連発するさやかちゃんでしたが、徐々に模試の得点が上がっていくなど、周りから無理だと思われていた慶應大学への合格が現実味を帯びていきます。その背景にあるのは、坪田先生のすぐれた“教育方法”でした。

タイトル通り、女子高生のサクセスストーリーが主軸になってはいますが、坪田先生からは“教育方法”や“人材育成”のコツを、さやかちゃんの親の姿からは“目標に向かって奮闘する我が子を見守る姿勢”など、さまざまな側面から学びを得られる作品になっています。かなえたい目標を持つ人はもちろん、会社で新入社員の教育をする、目標に向かって奮闘する親しい人物をサポートする人なども、読んでみてはいかがでしょうか。

巻末には、心理学の知識を応用した「坪田式人材育成のためのテクニック」が30ページにわたって掲載されています。

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