おうちトレーニング

【背中の贅肉】バックラインをすっきり見せる方法 vol.64

下着からお肉がはみ出るようになった、後ろ姿がたくましく見えるようになったなど気づかない間についている背中のムダなお肉。すっきりとした背中を手に入れようと、エクササイズやストレッチを頑張ってみたものの、なかなか痩せない、筋肉はついたけど背中は思うようにすっきりしないと感じたことはありませんか?背中に贅肉がつく原因は、単純な体重増加のほか、加齢による筋肉量の低下、運動不足、猫背などの不良姿勢、そして基礎代謝の低下と言われていますが、実はそれだけではありません。原因として見落とされがちなのが、背中の筋肉が働きにくい環境になっているということです。背中の筋肉がしっかり働くためには、肩関節と股関節が安定して働くことが重要です。今回は背中をすっきりさせるために重要な肩関節と股関節の使い方と失敗しないエクササイズをご紹介します。

なぜ背中がたるむのか?

背中に贅肉がつき、筋肉や皮膚がたるんでしまう原因として挙げられるのが、肩関節と股関節の機能低下です。この2つの関節の機能が低下すると、関節の動きが制限されて背中が丸くなり、背骨を伸ばすための筋肉がうまく働かなくなってしまいます。その結果、筋肉や皮膚がたるみ、脂肪がつきやすくなります。この2つの関節の動きが制限される代表的な姿勢として、猫背や巻き肩、反り腰、O脚などが挙げられ、これらの悪い姿勢が常態化すると、肩関節と股関節が内側に捻れる「内旋位(ないせんい)」という状態になりやすくなります。内旋位により筋肉が硬くなると、肩甲骨の下や腰回りがたるみ、脂肪がつきやすくなります。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、運動不足による関節を支える筋力の低下が姿勢を悪くする主な原因と言われているため、日頃から良い姿勢を意識し、関節機能の低下を防ぎましょう。

身体を支える筋肉の繋がり

運動連鎖とは、複数の筋肉が連動して働くことで、身体を安定させ動作をスムーズにするメカニズムのことをいいます。体幹にはお腹側と背中側の2つの運動連鎖があり、この2つが正しく機能することで肋骨と骨盤の位置が整い背中の筋肉が働きやすい環境になるため、贅肉のないスッキリした背中になります。

お腹側の運動連鎖

お腹側の運動連鎖は、前鋸筋→外腹斜筋→反対側の内腹斜筋→内転筋という流れで筋肉が連動します。前鋸筋は肋骨から肩甲骨につながる筋肉で、肩甲骨を安定させる働きがあります。前鋸筋が働くことで外腹斜筋(脇腹の筋肉)が活性化され、身体の反対側の内腹斜筋へと力が伝わります。最終的には太ももの内側にある内転筋まで運動が連動し、体幹を安定させます。このお腹側の運動連鎖が正しく働くことで、身体の前面がしっかりと支えられ、背骨を伸ばすための土台が作られます。逆に、この連鎖が途切れると体幹が不安定になり、姿勢を保つために背中の筋肉に過度な負担がかかったり、逆に必要な筋肉が働かなくなります。

背中側の運動連鎖

背中側の運動連鎖は、広背筋→胸腰筋膜→大殿筋という流れで連動します。広背筋は背中の最も大きな筋肉で、脇の下から腰まで広がっています。この広背筋が働くと、腰の部分にある胸腰筋膜(筋肉を包む膜組織)を介して、お尻の大殿筋へと力が伝達されます。この連鎖により、背中からお尻までが一体となって機能し、美しい後ろ姿のラインが形成されます。特に広背筋は、肩関節の動きと密接に関連しており、肩関節の機能が低下すると広背筋も十分に働かなくなります。同様に、股関節の機能低下は大殿筋の活動を抑制します。つまり、背中側の運動連鎖を活性化させるには、肩関節と股関節の機能改善が必要です。この背中側の運動連鎖が正しく働くことで、背中全体の筋肉が引き締まり、余分な脂肪がつきにくい状態になります。

背骨の伸展と多裂筋の重要性

背骨には多裂筋というインターマッスルがあり、背骨一つ一つを支え、背骨を伸展させる(反らせる・伸ばす)働きをします。 肩関節や股関節の機能が低下し、姿勢が崩れると、背骨の伸展動作が制限されます。背骨を伸ばす動きができなくなると、多裂筋は働きにくい環境となり筋力低下が起こります。多裂筋が弱くなると、背骨を支える力が弱まり、さらに姿勢が悪化するという悪循環に繋がります。 多裂筋が正しく働くことで、背骨が自然な曲線を描きながら上方向に伸び、背中全体が引き上げられた状態になります。この状態では背中の表層にある筋肉も働き、引き締まった美しいバックラインが実現します。



以上のことから、背中をすっきりさせるには、お腹側と背中側の運動連鎖を活性化させることで多裂筋が正しく働きスッキリした背中に繋がります。

 
 

背中スッキリエクササイズ1週間メニュー

ここからは、肩関節と股関節の機能を改善し、背中がスッキリとするエクササイズをご紹介します。月曜日から金曜日は決められた順番に沿って行い、土曜日と日曜日は自由にお好きな曜日エクササイズを選んで取り組んでみてください。



月曜日:広背筋ストレッチ

■効果

広背筋・上腕三頭筋の柔軟性改善、脊柱の柔軟性の改善、肩甲骨の可動性改善

■手順

1.座った姿勢で、左肘を右手で掴みます。

2.左の肘を上方向に押し上げます。

3.左肘を右手で右方向に引きます。

4.左肘を右膝に向かって背中を丸め、5回深呼吸をします。

■セット数目安

1~4の動作を左右1回ずつ行いましょう。

■ポイント

3の体勢の際に、肋骨が前に押し出されないように意識しましょう。

 

火曜日:上腕三頭筋・広背筋協調エクササイズ

■効果

上腕三頭筋・広背筋協調性改善、菱形筋の筋力強化、肩甲骨の可動性改善

■手順

1.座った姿勢で、腕を肩の高さで前に伸ばし、手のひらを外に向けます。

2.肘を引きながら手のひらを正面に向けます。

3.2の姿勢のまま肘を後ろに引きます。

4.2の姿勢に戻します。

■セット数目安

3~4の動作を10回行いましょう。

■ポイント

3~4の動作の時に、肘が肩の高さより下がらないように注意しましょう。

 

水曜日:広背筋エクササイズ

■効果

僧帽筋下部・広背筋の筋力強化、肩甲骨の可動性改善

■手順

1.あぐらを組み、鼠蹊部(そけいぶ)(ふとももの付け根部分)を押し込み坐骨で座ります。

2.肋骨が開かないように腕を上げます。

3.肋骨が開かないように腕を耳の後ろまで引きます。

4.手のひらを外に向けながら肘を下方向に引きます。

■セット数目安

3~4の動作を1回として10回行いましょう

■ポイント

3の動作の際に肋骨が前に押し出されないように意識しましょう。また、4の動作の際に肩が上がらないように注意しましょう。

 

木曜日:股関節エクササイズ

■効果

股関節の軸調整、股関節の柔軟性改善、脊柱の可動性改善

■手順

1.四つ這い姿勢から左脚を後ろに伸ばし、右脚を右手の横につきます。

2.右手を手のひら一個分前に出します。

3.股関節から身体を捻りながら右肘をマットにつけます。

4.右手でマットを押しながら2の姿勢に戻ります。

■セット数目安

3~4の動作を1回として左右10回ずつ行いましょう。

■ポイント

3の動作の際に股関節に支点にし、お尻が右側にずれないように意識しましょう。

 

金曜日:広背筋・多裂筋エクササイズ

■効果

多裂筋・広背筋の筋力強化、脊柱の柔軟性改善、上腕三頭筋・広背筋協調性の改善、大腿四頭筋の柔軟性改善

■手順

1.四つ這い姿勢から左脚を後ろに伸ばして、右脚を右手の横につけ、両手でフェイスタオルを持ちます。

2.右足で地面を踏み上体を起こし、フェイスタオルを胸の前まで持ち上げます。

3.息を吸いながら両腕を耳の後ろまで上げます。

4.息を吐きながら2の姿勢に戻ります。

■セット数目安

2~4の動作を1回として左右10回ずつ行いましょう。

■ポイント

2~4の動作の際に上半身がふらつかないように股関節に体重を乗せることを意識して行いましょう。

 

まとめ

背中をすっきりさせるためには、筋トレやストレッチだけでなく、関節の機能改善と運動連鎖を活性化させ、背中の筋肉が正常に働く環境を整えることが必要です。今回ご紹介したエクササイズを1日1つずつ行い、背中をすっきりさせていきましょう。

PAGE TOP