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利き酒

日本酒をもっと楽しく

“利き酒”とは、日本酒の酒蔵や酒販店が「品質チェック」を目的に、「色」「香り」「味」の3つを判定基準として行う官能検査のこと。近年では一般の人にももっとカジュアルに、ひとつの趣味として浸透しつつあります。趣味として楽しむ場合は、「自分の好みを見つけること」を目的にするとよいでしょう。利き酒の回数を重ねるほど、自分の好みが洗練されてくるはず!
今回は自分の舌に合う日本酒を見つけるための「利き酒」の方法をご紹介します。
教えていただいたのは・・・

福原敏昭(ふくはらとしあき)さん

有限会社ふくはら酒店 代表取締役
SSI.認定唎酒師 / J.S.A公認ワインアドバイザー
 
ふくはら酒店Information
地元の方に愛される「ふくはら酒店」は、日本全国の日本酒をはじめ、ワイン、焼酎、世界のビールなどを取りそろえる酒屋。季節ごとに新商品を入荷しており、常時200種類前後が店頭に並ぶ。1杯200円で試飲ができる(一部、種類に限られます)ほか、月1で「日本酒を楽しむ会」、「ワインのテイスティング会」を開催。
 
東京都台東区台東3-6-8
http://fukuharasaketen.com/

基本の手順を知って自分なりにアレンジを

福原さんセレクト日本酒 3選

写真右から
杉勇(大吟醸酒)[薫酒]
大正12年創業、歴史ある山形の蔵元「杉勇蕨岡酒造場」の日本酒。山田錦を35%で精米したトップクオリティの一品。
 
加茂錦 荷札酒 月白(純米大吟醸酒)[爽酒]
洗練されたデザインの「月白」は「杉勇」同様、山田錦を使用しており、精米歩合は40%。若干25歳の若手杜氏・田中悠一氏が造った日本酒として注目を浴びる一品。
 
七本槍2016(純米大吟醸酒)[酵酒]
450年余りの歴史を持つ滋賀の古酒蔵「冨田酒造」の銘酒。無農薬栽培の滋賀県産玉栄を使用し、精米歩合は60%。2年間の成熟期間を経た逸品。
STEP1 色を見る

グラスに日本酒を注いだら、まずはその色をチェック。
ワイングラスを使用する場合は、グラスを傾けて、縁の部分の色味を見る。濁りや黄色味など、繊細な色の違いがみられる。
 
~取材スタッフ感想~
今回の3種類はどれも無色透明で色味の違いはあまり見られませんでした
STEP2 香りを嗅ぐ

グラスを2~3回、回した後、鼻を近付けて香りを嗅ぐ。
味覚の8割は香りで決まるともいわれているほど、重要な要素。好みの香りの日本酒は、味わいも好みであることが多いのだとか。
 
~取材スタッフ感想~
杉勇…フルーティで華やかな印象
月白…穏やかな果実っぽさに鼻をくすぐる酸の香りがプラスされた印象
七本槍…熟成による穀物の香りを感じられる
STEP3 味を確かめる

最後は実際に飲んでみて、甘みや滑らかさを舌で感じる。プロの場合は、口の中で何度か日本酒を転がし、飲み込まずに吐き出すのが一般的ですが、趣味の場合は飲み込んで、その後の印象も確かめてみましょう。色と香りから想像していた味わいと、実際に飲んでみたときの違いを感じるのも楽しいかもしれません。
 
~取材スタッフ感想~
杉勇…香り同様、フルーティさが際立つ滑らかな感触
月白…すっきりとした印象でワインのような風味
七本槍…深みのある複雑な味わい

もっと自由に楽しむ利き酒のススメ

利き酒をする際に、以下のようなポイントを取り入れると、より充実した時間を過ごすことができるのでは。
ぜひ参考にしてみてくださいね。

一人でもよし。大勢でもまたよし。コミュニケーションを楽しみましょう。

一人でトコトン自分の好みと向き合うのも楽しみ方のひとつ。
それとは別に家族や友人など何人かで利き酒をしてみると、自分の感じ方との比較ができる上に会話も弾みます!日本酒に合うおつまみをそれぞれ持ち寄っても、盛り上がりそうですね。

利き酒ノートを作り、味の違いや好みを記録してみましょう。

利き酒ノートを作り、味の違いや好みを記録してみましょう。
一度の利き酒では、味の違いを感じても徐々に曖昧になり、記憶から消えてしまいそう。たとえば、専用のノートを作り、利き酒をするたびに味わいの違いや好みなどを記録しておくと、自分の好みがどんどん洗練されていくはず。
一方で、月日が経って同じ銘柄を飲んだときに感じ方が変化することもあり、記録をとることで利き酒がより興味深いものになるでしょう。
(写真)「利き酒ノート」ふくはら酒店にて発売中

欠点を探すより、よりおいしく飲める飲み方を探しましょう。

誰しも味の好き嫌いはあると思いますが、利き酒をする場合は欠点を見つけるより、よりおいしく飲める飲み方を探すのが理想的。もし、好みではない日本酒と出会った場合は、氷や水で薄めたり燗をつけたりと温度を変えてみたり、ライムやレモンを絞ったりアレンジを加えてみると、また違った味わいになります。

料理とのペアリングを楽しんでみましょう。

一般的に、あっさりした日本酒には冷ややっこやおひたしなどの淡白なもの、より甘みの強いものには、こっくりとした煮物のような濃い味付けのものを合わせるのがお勧めです。
似たもの同士の組み合わせから始めて、徐々にアレンジを加えてみると、より日本酒の世界を広げることができるかもしれません。

上級編「ブラインド利き酒」にトライしてみましょう。

利き酒に慣れてきたら、ラベルを隠して飲み比べてみるのもお勧め。「有名な銘柄だからおいしいはず・・・」といった先入観を無くして、純粋に好みや味の違いを感じてみるのも楽しいかもしれません。唎酒師の資格を持つプロでも、銘柄を判別するのは至難の業だそうですが、みんなで銘柄を当てるクイズを行うのも楽しそうですね。

知っているともっと楽しい!日本酒のアレコレ

造り方によって異なる日本酒の8つの種類

より日本酒通になりたい方のために、8つに分かれる日本酒の種類もご紹介。
日本酒のラベルに「純米酒」「本醸造」「吟醸」などという文字が書かれているのを見たことはありませんか? これは酒税法において原料や精米歩合(※1)、造り方などによって分類された「特定名称」の清酒のこと。決められた要件に該当する日本酒に、それぞれ8種の名称を表示することができます。

[国税庁課税部酒税課 酒のしおり(平成30年3月)を参照]
 
※1 精米歩合…玄米に対する白米の重量比率。率が低いほど米が磨かれているということで、香り高くすっきりとした味わいになる。
※2 吟醸造り…よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、特有の芳香が立つように吟味して醸造すること。

香りや味の濃淡によって分類する4つの日本酒タイプ

日本酒の味わいは香りや味の濃淡によって、「薫酒(くんしゅ)」「爽酒(そうしゅ)」「熟酒(じゅくしゅ)」「酵酒(じゅんしゅ)」の4つに分けられます。利き酒をする際にこの知識があると、自分の好みを判別する際に大いに役立ちますよ。

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