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子供が独立した後の住み替えのポイントは?ダウンサイジングや移住などの具体例を解説 Vol.26

子供が独立した後は、家が広すぎると老後の生活に支障をきたす可能性があります。老後を見据えると、小さな家やマンションにダウンサイジングしたり、シニア向けの分譲マンションに住み替えたりすると、老後の生活を快適に送れる可能性があるでしょう。
この記事では、子供が独立した後の住み替えのポイントを解説します。建て替えやリフォームなども含め、どの方法が最適なのかがわかるようになります。
目次
子供が独立した後の住み替えの基本スタンス

子供が独立した後の住まいの形態として、「そのまま住み続ける」「家を建て替える」「家をリフォームする」「住み替える」などがあります。ここでは、住み替えを選んだ場合の基本的な考え方を解説します。
老後を見据える
子供が独立した後は、老後を見据えて住み替えを検討することが重要になってきます。老後になると体力が落ち、収入も減少します。そのことを前提に住み替えを検討しないと、今より生活が不便になったり、経済的に困窮したりすることがあるでしょう。
例えば、最寄り駅やバス停に近い場所に住み替えると、老後の生活の利便性が向上します。また、維持費や管理費があまりかからない住宅に住み替えると、老後に収入が減っても出費を抑えられます。これにより、老後の経済的負担が軽減するでしょう。
なお、住み替えの際に資金が不足する場合、「住み替えローン」や「不動産売却前提ローン」などのローンを利用しなければならない場合があります。定年退職後の60~70代になるとローンを組みにくくなるため、住み替えはローンが組みやすい50代のうちから検討するのが望ましいです。
利便性や生活の質を向上させる
子供が独立した後の住み替えは、生活利便性や生活の質を向上させることを意識して計画を立てることが重要になります。
年をとると体力や身体機能が衰え、日常生活での負担が増えてくるため、電車やバスでの移動が楽な場所や、段差のないバリアフリー住宅への住み替えなどが必要になることがあります。
例えば、階段のない平屋やエレベーター付きのマンションなどに住み替えると、年をとっても快適に暮らせるようになるでしょう。また、近くに総合病院や救急医療センターなどがある地域に住み替えると、緊急時でも安心です。
なお、独立した子供が住んでいる近所に住み替えることも、生活利便性や生活の質を向上させることにつながる場合があります。何かあった場合でも、子供が近くに住んでいると安心ですし、子育てで忙しい夫婦をサポートでき、適度な距離を保ちながら助け合って暮らせます。
経済的負担を軽減させる
子供が独立した後は、老後の経済的負担を軽減させることを意識して、住み替えの計画を立てることが大切です。定年退職後は無職になり、年金や貯金だけで暮らすことを考慮しなければなりません。
広い家は部屋数が多く、光熱費や修繕費、固定資産税など、さまざまな費用がかかります。広すぎる家から、小さな家やエネルギー効率の高い省エネ住宅に住み替えることで、維持費や光熱費の大幅な削減が可能です。
なお、住み替えで新しい家を購入する場合、購入費用の調達やローンの返済が必要になります。老後になると資金調達が難しくなるため、現役のうちから資金計画を立てておくことが大切です。無理のない返済計画を立てておくことで、老後の経済的負担が軽減します。
子供が独立した後の夫婦の住み替え例

住み替えとは住居を変えることですが、その方法はさまざまです。例えば、マイホームを売却して小さな家に移り住んだり、田舎に移住したりするなどの選択肢がありますが、大きく分けると買い替えるか賃貸に住むかのいずれかになります。
ここでは、買い替えを前提とした子供が独立した後の夫婦の住み替え例をいくつかご紹介します。
小さな家やマンションへのダウンサイジング
子供が独立すると子供部屋などを使わなくなるため、小さな家やマンションにダウンサイジングして住み替えるという方法があります。例えば、4LDKのマイホームを売却して、1LDKの分譲マンションに買い替えるなどです。
ダウンサイジングすることで、利便性や生活の質の向上、経済的負担の軽減につながる可能性があります。広い家は掃除が大変ですが、小さい家だと部屋数が少なく、楽に掃除ができるようになります。
また、ダウンサイジングすると、住居の維持メンテナンスの費用や固定資産税の負担が軽減され、光熱費の削減も可能です。
ダウンサイジングするには、住み替え物件の確保や不用品の処分、引っ越しなどで手間がかかるため、体力と気力が充実している50代の頃から準備しておきましょう。
セカンドライフに適した場所への移住
子供が独立した後の住み替えとして、地方や海外など、セカンドライフに適した場所に移住するという選択肢もあります。東京や大阪などの大都会で暮らすよりも、地方都市や物価の安い海外に移住すると、老後の経済的負担が軽減する可能性が高いです。
また、田舎に移住すると、自然に囲まれた環境でリラックスして快適な老後を送れる可能性もあります。ただし、交通の利便性が悪く生活が不便になったり、医療機関や介護施設が少なく安心して過ごせなくなったりすることもありますので注意が必要です。
地方や海外などへの移住は、慎重に検討して入念に準備することが大切です。夢や憧れだけで移住を決断すると高い確率で失敗します。現実的な視点で移住後の生活がどのように変わるのかをしっかりと見極めたうえで判断しましょう。
シニア向けの分譲マンションを購入
今住んでいる家を売却もしくは賃貸し、シニア向けの分譲マンションを購入することは、老後を見据えた有効な選択肢です。
シニア向けの分譲マンションの多くは初めからバリアフリーになっており、段差のない床や手すり付きのトイレ・浴室などが標準装備されています。24時間対応の緊急通報装置が設置され、管理人が24時間常駐していることも多く、もしものときも安心です。
温泉や図書館、マージャン卓などの娯楽設備が完備されていることもあり、入居者同士で楽しく交流ができます。
ただし、シニア向けの分譲マンションを購入すると老後の経済的負担が軽減されるとは限りません。シニア向けは一般的な分譲マンションと比べると高額で、管理費や修繕積立金だけでなくサービス利用料もかかるため、月額費用も高めになります。
月額費用なども考慮して、慎重に資金計画を立てることが大切です。
子供が独立した後の住み替え以外の選択肢

子供が独立した後の住居は住み替えだけでなく、建て替えやリフォーム、そのまま住み続けるなどの選択肢もあります。ここでは、子供が独立した後の住み替え以外の選択肢を解説します。
家を建て替える
資金に余裕があれば、今住んでいる家を建て替えるという選択肢もあります。住み替えと建て替えの違いは、住み替えは場所の移動が伴うのに対し、建て替えは場所の移動を伴わないことです。今住んでいる地域に愛着がある場合、建て替えは有効な選択肢になるでしょう。
建て替えのメリットは、間取りや設備などを一新でき、利便性や生活の質の向上につながることです。例えば、広い3階建ての住居を平屋に建て替えると、身体機能が衰えてきても快適に暮らせる可能性が高くなります。
ただし、建て替えはリフォームよりも高額な費用がかかるため、資金に余裕がないと難しい場合があります。また、購入当時は家を建てられても、法律の変更により現在と同じような家を建てられないこともあるため、建築士などの専門家と相談することが大切です。
住み慣れた家をリフォームする
住み慣れた家をバリアフリー化や設備の更新などのリフォームをして住み続けるのも、現実的で有効な選択肢です。住み慣れたマイホームに愛着を抱いている場合、リフォームをすることで、さらに快適で機能的な住まいに変えられます。
例えば、バリアフリーリフォームや省エネリフォームをすると、住宅の安全性や快適性が向上し、光熱費の負担の軽減につながります。また、リフォームで住宅設備を更新すると、快適性や生活の質が向上するでしょう。
リフォームは建て替えよりも費用はかかりませんが、住宅を一新するような大規模なリノベーションを行うと、建て替えと同じくらいの費用がかかる場合があります。老後を見据えて資金計画を立て、どの方法で家を再生するかを決めることが大切です。
住み慣れた家でそのまま暮らす
住み替えや建て替え、リフォームなどは行わず、住み慣れた家でそのまま暮らすのも選択肢の一つです。家が広い場合、老後の生活に支障をきたす可能性はありますが、子供が帰省してきたときに自分の部屋があることは、子供にとってはありがたいことです。
住み慣れた家でそのまま暮らす場合、住み替え費用や建て替え費用はかかりませんが、老朽化しているとメンテナンス費用がかかります。戸建ての場合、定期的に外壁や屋根などをリフォームしなければならず、老後になってから出費がかさむ可能性があります。
また、足腰が弱くなってくるとバリアフリー化が必要になることがあり、老後を快適に暮らすにはメンテナンスやリフォームが欠かせません。老後を見据えると、なるべく50代のうちにリフォームを行うのが望ましいです。
子供の独立に伴う家のダウンサイジングの準備と進め方

広い家をダウンサイジングする方法として、1LDKのマンションに住み替えるという方法があります。50平米程度の1LDKだと、LDK11畳+居室11畳程度の広めの部屋で快適に暮らせます。夫婦の2人暮らしであれば、不要な家財道具を処分すると問題なく暮らせるでしょう。
1LDKのマンションであれば、自宅を売却した資金で購入できます。住宅ローンを完済していれば、購入するマンションよりも高い価格で家を売却できると、自己資金や住み替えローンの利用は不要です。
住宅ローンの残債がある場合、売却代金で住宅ローンを完済させなければならず、残りの金額でマンションを購入することになります。売却代金や自己資金が足りない場合は、住み替えローンで不足分を補うという方法もあります。
いずれにしても、今住んでいる家がどの程度の金額で売れるかを見極めることが必要です。自分自身で相場を調べたうえで、信頼できる不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
なお、住み替えではなく、住み慣れた住まいをダウンサイジングすることも可能です。広い家を解体して平屋に建て替えるという方法もあるため、専門家のアドバイスを受けたうえで、最適な方法でダウンサイジングを行いましょう。
子供の独立に伴う移住の準備と進め方

セカンドライフに適した場所に移住する場合、慎重に検討する必要があります。今住んでいる家を売却していきなり移住すると、失敗してしまったときに取り返しがつきません。老後に新たな住まいを確保するのは容易ではなく、金銭面や精神面で大きな負担がかかります。
地方移住の場合は、実際に地方暮らしを体験してから移住を決断するのがおすすめです。地方移住をすると豊かな自然に囲まれて生活できますが、都会のようにインフラは整っておらず、快適な生活が送れない可能性があります。
1ヵ月程度、実際に地方で暮らしてみると、自分自身の尺度による地方暮らしのメリットとデメリットがわかります。
地域コミュニティのルールや地方独自の習慣などは、実際に暮らしてみないことにはわかりません。プチ移住や二拠点生活をしてみて、老後も問題なく暮らせるようであれば、移住を決断してもよいでしょう。
なお、移住することを1人で決めるのは厳禁です。夫婦でよく話し合ったうえで決めないと、パートナーの協力が得られません。
子供の独立に伴うリフォームの準備と進め方

子供が独立した後に夫婦2人で生活するなら、リビングを広めにリフォームするのがおすすめです。リビングに隣接する部屋の間仕切り壁を撤去して内装工事を行うと、リビングが広くなります。
リビングが広くなると使い勝手がよくなり、老後も快適に暮らせるようになるでしょう。子供が家族を連れて帰省してきたときも、リビングが広いと大人数でも快適に過ごせます。
間仕切り壁を撤去してリビングダイニングキッチンを広くするには、家の状態にもよりますが、100~300万円程度の費用がかかります。自己資金が不足する場合は、リフォームローンなどによる資金調達が必要です。
水まわりの老朽化が進んでいる場合、老後に備えて水まわりリフォームをおすすめします。キッチンやトイレ、浴室などをリフォームしておくと、老後の生活利便性が大きく向上するでしょう。
老後に備えてリフォームでバリアフリー化を目指すのもよく、国または自治体の補助金制度を利用できる場合があります。
子供の独立に伴う建て替えの準備と進め方

建物の老朽化がかなり進行している場合、資金に余裕があれば、リフォームではなく建て替えを検討しましょう。
建物・設備の老朽化やシロアリ被害、断熱性能不足、耐震強度不足などの問題が発生していると、部分的にメンテナンスやリフォームを行っても根本的な解決にならない場合があります。既存の建物を解体して建て替えることで、老後を見据えた理想的な住まいが実現します。
建て替えで最も重要なのは資金計画です。老後の生活に必要な資金は確保したうえで、建て替えの予算を捻出しなければなりません。建て替えの場合、通常の工事費用とは別に、古家の解体工事費用や仮住まいの費用、引っ越し費用がかかる点に注意が必要です。
解体工事費用は古家の構造や状態、室内に残存する不用品の量などによって異なり、100~200万円程度が目安です。
工事期間中は賃貸住宅や短期賃貸マンションなどの仮住まいを確保しなければならず、2回分の引っ越し費用がかかり、両方を合わせると150万円程度になります。
なお、自己資金が不足して建て替えローンを利用する場合は、無理のない返済ができるよう、老後を見据えて慎重に返済計画を立てることが大切です。
子供の独立に伴う住み替えの資金調達方法

住み替えをするには高額な費用がかかりますが、さまざまな方法で資金を調達できます。ここでは、子供の独立に伴う住み替えの主な資金調達方法を解説します。
現在の住居の売却
今住んでいるマイホームを売却して住み替えの資金にするのが一般的な資金調達方法です。売却金額から住宅ローンの残債を差し引いた金額が住み替える家の購入金額よりも高ければ、自己資金やローンを利用しなくても住み替えられます。
ただし、売却方法によっては「つなぎ融資」を受けなくてはならなくなることがあるため、注意が必要です。
家の売却方法は、新しい家を買ってから現在の家を売る「買い先行」と、現在の家を売ってから新しい家を買う「売り先行」の2つの方法があります。
買い先行の場合は新しい家を購入するための自己資金が必要です。自己資金が不足する場合、金融機関から「つなぎ融資」を受けることで、買い先行で新しい家を購入できます。
不動産売却前提ローン
金融機関からつなぎ融資を受ける場合、「不動産売却前提ローン」という住み替えを前提としたローン商品があります。不動産売却前提ローンとは、売却予定の不動産を担保に住み替え資金を借りられるローンです。
今住んでいる家を担保にお金を借り、そのお金で新しい家を購入し、今住んでいる家が売れたら売却代金でローンを返済するという仕組みです。ローンは短期間で返済できますが、お金を借りている間は利息が発生します。
不動産売却前提ローンを利用すると、自己資金がなくても買い先行で新しい家を購入できますが、利息は高めになることに注意が必要です。返済不能にならないよう、利息や手数料などを確認したうえで利用を検討しましょう。
リースバック
リースバックという方法でも、住み替え資金を調達できる可能性があります。リースバックとは、今住んでいる家をリースバック事業者に売却し、売却した後に賃貸借契約を結び、家賃を払って引き続きその家に住み続ける方法です。
売却代金で新しい家を購入でき、新居に入居するまでは今住んでいる家に住み続けられます。リースバックを利用すると、自己資金が不足していても余裕を持って住み替えができ、仮住まいを探す必要もありません。
ただし、売却価格は市場価格よりも低くなることが多く、相場の70%程度になるのが一般的です。また、今住んでいる家に住み続ける間は家賃(リース料)が毎月発生するため、契約内容をしっかりと確認したうえで利用を検討しましょう。
子供が独立した後の住み替えを成功させるポイント

子供が独立した後の住み替えを成功させるには、ライフスタイルに合った最適な方法を選び、十分な計画と準備が不可欠です。ここでは、子供が独立した後の住み替えを成功させるポイントを解説します。

ライフスタイルに合った最適な方法を選ぶ
子供が独立した後のライフスタイルやニーズ、現在の状況に合わせて、住み替えの方法を選ぶことが大切です。
老後の生活の利便性や快適性を向上させ、経済的負担を軽減させたい場合は、ダウンサイジングによる住み替えが適します。住宅ローンを完済できる場合、今住んでいる家を売却して約50㎡程のマンションや平屋に住み替えることで、老後の生活が楽になります。
シニア向け分譲マンションだと、さらに快適に暮らせる可能性がありますが、購入費用や月額費用が高めになることに注意が必要です。
セカンドライフに適した場所への移住は、プチ移住や二拠点生活をしてみて、移住後の生活を実際に体験してから判断しましょう。
十分な計画と準備が不可欠
新しい住居の選定や資金計画、引っ越しの手配など、事前にしっかりと計画を立てて準備を進めることが大切です。計画的に進めることで予期せぬトラブルを避けられ、スムーズに住み替えられます。
新しい住居の選定や資金計画を立てる際は、老後を見据えて生活利便性の向上や経済的負担の減少につながることを意識しましょう。
老後になると収入が減少するため、退職金頼みの資金計画は危険です。無理をすると老後の生活資金が不足して、生活が困窮することもあります。
また、住み替えローンや不動産売却前提ローン、リースバックなどで資金調達する場合は、利息や手数料、リース料などの契約内容を確認して、返済不能にならないよう注意が必要です。
専門家のアドバイスを受ける
住み替えを検討する際は、専門家のアドバイスを受けることが極めて大切です。住み替えの方法は多数あり、住み替えではなく、建て替えやリフォームが適することもあります。どの方法が最適なのかは、自分ではなかなかわからないものです。
また、今住んでいる家を売却する際も、売り先行と買い先行のどちらがよいのかわからない場合もあるでしょう。専門家のアドバイスを受けることで、状況に合った最適な選択ができるようになります。
明和地所の仲介では、「住み替えプラス」というサービスを提供しており、今住んでいる家がどの程度の金額で売れるかを査定したうえで、お客様の状況やご要望に沿った最適な住み替えプランをご提案いたします。
住み替えをご検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。
子供が独立した後は老後を見据えて住み替えを検討しましょう

子供が独立した後の住み替えを検討する際は、老後を見据えてプランニングすることが大切です。老後の生活利便性が向上し、経済的負担が軽減する方法が最適であるといえるでしょう。
住宅ローンを完済できる場合、ダウンサイジングによる住み替えが向きますが、老後の資金に余裕がある場合は、シニア向け分譲マンションだと、より快適に暮らせる可能性があります。
状況によっては、住み替えではなく建て替えやリフォームが向くこともあるため、専門家に相談されるのがおすすめです。
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