「こんなとき、どうする?」~知って得する不動産コラム~

不動産売却にかかる諸費用は?各項目の支払い時期や削減方法を解説 Vol.21

不動産売却では、仲介手数料や印紙税、住宅ローンの返済事務手数料など、さまざまな費用が発生します。不動産を売却する際は、どのような費用がかかり、どのようにすれば削減できるかを理解しておくことが必要です。
 
この記事では、不動産売却にかかる諸費用と各項目の支払い時期、費用の削減方法を解説します。不動産売却にかかる諸費用について、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
 
※本記事は、2025年1月末時点の法令および関連情報をもとに作成しています。税制や金融機関の手数料は今後改定される可能性があるため、最新情報は必ずご確認ください。
 

不動産売却の際に必要となる諸費用

不動産売却では、さまざまな費用がかかります。売却代金から諸費用を差し引いた金額が実際の手元に残る金額になるため、不動産売却ではどのような費用がかかるかをあらかじめ把握しておくことが大切です。ここでは、不動産売却の際に必要となる諸費用を解説します。

不動産売却の際に必要な諸費用の目安

不動産売却の際に必要な仲介手数料の他、印紙税、登記、抵当権抹消費用など、売却時にかかる諸費用は、成約価格の4~6%程度が目安とされています。例えば、3,000万円で不動産を売却した場合だと、約120~180万円程度が諸費用の目安となります。これらの諸費用はさまざまな方法で削減できますので、具体的な削減方法については後述します。
 
不動産売却では、仲介手数料、印紙代、登記・抵当権抹消費用、住宅ローン関連費用、引っ越し代、譲渡所得税などの諸費用がかかりますが、諸費用のうち一般的に最も多くの割合を占めるのが仲介手数料です。
 
例えば3,000万円で不動産を売却した場合だと、仲介手数料(税込)として約105万円程度の支払いが必要です。また、印紙税は1万円、登記・抵当権抹消費用は約2万円程度、住宅ローンの返済事務手数料は0~3万円程度が目安になります。
 
その他の費用として引っ越し代がかかり、ハウスクリーニング費用、不用品やごみの処分費用などがかかる場合があります。
 
これらの費用とは別に、不動産を売却して利益が発生した場合は譲渡所得税が課されることがあり、売却の際に測量や解体が必要な場合は解体費用や測量費用がかかるため、成約価格の4~6%以上の費用がかかる場合もあるでしょう。
 

仲介手数料

不動産を仲介で売却する際は、不動産会社に仲介手数料の支払いが必要です。仲介手数料は成功報酬であり、不動産売却が成功した場合のみ発生します。したがって、不動産査定や媒介契約の締結は基本的に無料です。
 
また、仲介手数料は以下のとおり宅地建物取引業法で上限額が決められています。

不動産売買における仲介手数料の上限額
成約価格(税抜)       仲介手数料の上限
200万円以下の部分      成約価格(税抜)x 5% +消費税
200万円超〜400万円以下   成約価格(税抜)x 4% + 2万円 + 消費税
400万円超          成約価格(税抜)x 3% + 6万円 + 消費税
 
正確な金額を算定するには手間がかかるため、売却価格が400万円を超える場合、以下の速算式で仲介手数料の額を算出します。(消費税は10%)
 
仲介手数料=(成約価格×3%+6万円)+消費税
 
例えば、3,000万円で売却できた場合、仲介手数料は105万6,000円が上限です。
 

印紙税

売買契約書を作成する際は、定められた収入印紙を貼って印紙税を納める必要があります。なお、印紙税がかかるのは紙で契約書を作成した場合のみで、電子契約だと印紙税はかかりません。
 
印紙税の額は契約金額によって異なり、金額が高値になるほど印紙税も高くなります。紙の売買契約書を作成する場合、原本1通ごとに収入印紙を貼らなければならず、一般的には売主と買主の双方に印紙税がかかります。
 
なお、2027年(令和9年)3月31日までは軽減税率が適用されており、印紙税が本来の税額の約半分に軽減されています。軽減後の税額は以下のとおりです。

契約金額             印紙税額(軽減措置適用後)
10万円以下            非課税
10万円超~50万円以下      200円
50万円超~100万円以下      500円
100万円超~500万円以下      1,000円
500万円超~1,000万円以下     5,000円
1,000万円超~5,000万円以下    1万円
5,000万円超~1億円以下     3万円
1億円超~5億円以下        6万円
5億円超~10億円以下        16万円
10億円超~50億円以下      32万円
50億円超             48万円

登記・抵当権抹消費用

不動産を売却する際は、所有権移転登記や住宅ローンの抵当権抹消登記が必要になり、登記手続きをする際に登録免許税がかかります。
 
所有権移転登記にかかる登録免許税は買主が負担するのが一般的です。
 
ただし、住宅ローンの残債がある場合、売主は住宅ローンの抵当権抹消登記にかかる登録免許税の納付が必要です。
 
抵当権抹消にかかる登録免許税は不動産1件につき1,000円で、土地と建物を合わせると2,000円かかります。マンションも土地と建物によって構成されていることが多いため、登録免許税は2,000円になるケースが多いです。
 
登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、報酬の支払いが必要になります。司法書士の報酬は事務所の自由裁量になっており、依頼する事務所によって報酬額は異なります。
 
司法書士の報酬は1万5,000円程度が相場とされており、登録免許税と合わせると、約2万円程度の費用を見込んでおくとよいでしょう。

住宅ローンの返済事務手数料

不動産を売却する際は、住宅ローンの残債を一括で返済する必要があり、通常は売却代金で充当します。住宅ローンの残債を一括で返済する際には事務手数料がかかり、これは売主の負担になります。
 
住宅ローンの返済事務手数料の金額は金融機関によって異なるため、売主は確認が必要です。金額の詳細は、金融機関のホームページや住宅ローンの規約資料、窓口の担当者に聞いてみると確認できます。
 
返済事務手数料の額は一概にはいえませんが、0~3万円程度になることが多いです。メガバンクよりもネット銀行のほうが手数料が安い傾向があり、事務手数料を無料にしているネット銀行もあります。また、同じ金融機関でもネットや窓口など、返済方法で手数料が変わることがあります。
 
なお、住宅ローンを申し込む際に、保証料を一括払いしている場合、保証料の一部が戻ってくるケースがありますが、その際も事務手数料が発生することがあります。詳細は不動産を売却する前に、住宅ローンを申し込んだ金融機関に必ず確認するようにしましょう。
 

譲渡所得税

不動産の売却によって利益が発生したときには、譲渡所得税(所得税や住民税)がかかります。譲渡所得税がかかる場合、税額は保有期間や適用できる控除、売却額などによって異なります。なお、不動産売却で利益が発生しなかった場合、譲渡所得税は課されません。
 
譲渡所得税が課される場合、売却した翌年に確定申告をする必要があります。譲渡所得税は給与とは別に課税されるため、会社勤めをしている方も、自分自身で確定申告をしなければなりません。
 
譲渡所得は、不動産の売却価格から取得費用と譲渡費用を差し引いた金額になり、税率は不動産の所有期間によって異なります。また、所有期間に関係なく復興特別所得税が2037年12月31日まで2.1%かかります。復興特別所得税とは、東日本大震災復興のための施策を実施するため、必要な財源を確保するための特別措置法により創設されたものです。
 
短期譲渡所得(所有期間が5年以下)
所得税率 30%
住民税率 9%
長期譲渡所得(所有期間が5年超)
所得税率 15%
住民税率 5%
 
なお、一定の要件を満たすと居住用財産の3,000万円控除などが適用され、譲渡所得税がかからないこともあります。
 

引っ越し代

居住中のマイホームを売却して住み替える場合、新居への引っ越し代が必要です。マイホームを売却する際に仮住まいをする場合だと、今住んでいる家から仮住まいに転居する際と、仮住まいから新居に転居する際の2回分の引っ越し代がかかります。
 
引っ越し代は、荷物の量と移動する距離、引っ越しの時期によって異なります。業者によっても料金が異なるため、複数の業者から見積もりを取得し、どの程度の金額になるかを把握しておくことが必要です。
 
引っ越し代がどの程度かかるかは一概にはいえませんが、3~4月の引っ越しシーズンに、4人家族が同じ都道府県(移動距離50Km未満)に引っ越しをする場合だと15~20万円前後の費用がかかります。
 
仮住まいをする場合だと、賃貸住宅の家賃だけでなく2回分の引っ越し代もかかるため、売却の費用が高額になることがあります。「売り先行」で不動産を売却する際は、費用がどの程度になるかを事前に調べておきましょう。

ハウスクリーニング費用

不動産を売却する際にハウスクリーニングは必須ではありませんが、物件の見栄えをよくするために行われることがあります。不動産を少しでも高く売りたい場合、ハウスクリーニングを検討してみるのもよいでしょう。
 
なお、仲介ではなく買取で売却する際は、ハウスクリーニングの費用がいらないケースが多いです。
 
ハウスクリーニングを実施する際は、居住状態や掃除をする箇所によって料金が異なります。居住中よりも空室のほうが料金は安くなる傾向があり、掃除をする箇所が増えるほど料金は高くなります。
 
ハウスクリーニングの料金相場は、マンションの一室全体の場合だと、1LDK~3LDKで5万5,000~11万円程度、3LDK以上で14万円以上が費用の目安です。業者によっても料金が異なるため、正確な金額を把握するには、相見積もりの取得が必要になります。
 
不動産会社と提携しているハウスクリーニング業者を紹介してくれることもあるため、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
 

不用品やごみの処分費用

家屋内に不用品やごみがある場合、処分費用がかかります。処分費用は不用品の量や種類、処分方法によって異なり、粗大ごみが多いと費用が高額になることがあります。10~50万円以上の費用がかかることもあり、どの程度の費用がかかるかを把握しておきましょう。
 
一般ごみは無料で回収してもらえますが、粗大ごみは自治体が定めた料金を徴収されるのが一般的です。テレビや冷蔵庫、エアコン、洗濯機などの「家電4品目」は、家電リサイクル料金がかかるため、処分費用は高めになります。
 
不用品買取業者を利用すると手間をかけずに不用品を処分できますが、不法投棄をしたり、不当に高額の費用を請求したりする業者も存在するため、信頼できる業者に依頼することが大切です。
 
まだ使えそうなものは、リサイクルショップで買い取ってもらえるため、買取の利用もおすすめです。出張買取に対応しているリサイクルショップであれば、持ち運んで処分する手間も省け、家電4品目のリサイクル料金もかかりません。
 
なお、仲介ではなく買取で売却する際は費用がいらないケースが多く、不用品やごみを放置した状態での売却が可能です。
 

解体費用

古家を解体して更地にしてから売却する場合、解体費用がかかります。解体費用は建物の構造によって異なり、木造だと1坪あたり3~5万円、鉄骨造は4~6万円、鉄筋コンクリート造は4~7万円が費用の目安です。
 
例えば、30坪の木造住宅を解体する場合だと90~150万円程度の費用がかかり、家が広くなるほど解体費用も高額になります。50坪の鉄骨住宅を解体する場合だと、費用は200~300万円程度になり、解体費用を売却価格に上乗せすると、解体費用が必ず回収できるとは限りません。
 
古家を解体して更地にすると高値で売却できる可能性がありますが、費用対効果の検証が必要です。古家のままで売却するほうが手取り収入が増えることもあり、更地にする必要性がない場合もあるでしょう。また、更地にすると住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が上がる点にも注意が必要です。
 
古家を売却する際は、自身の判断で建物を解体せず、売却を依頼する不動産会社と相談することが大切です。不動産会社に相談すると、建物の解体について適切なアドバイスが受けられます。

測量費用

土地や戸建て住宅を売却する際に境界が確定していない場合、確定測量を行うための測量費が必要となります。測量をしておくと隣地との境界や登記簿の面積との相違が明確になり、売買契約や引き渡し後のトラブルを防げます。
 
測量の費用は物件の状態によって異なりますが、一般的な住宅用地の現況測量だと費用は約10~20万円です。確定測量の場合は40~50万円程度かかり、役所の立ち会いが必要な場合は、10~30万円程度がプラスされます。なお、区分マンションを売却する際は、測量は不要です。
 
正確な費用は土地家屋調査士に見積もりを依頼しなければならず、土地家屋調査士によって費用は異なります。
 
測量を依頼する土地家屋調査士を選ぶ際は、費用だけでなく、スピードや安全性なども考慮して、安心して依頼できる土地家屋調査士を探す必要があります。
 
不動産会社によっては、提携している土地家屋調査士を紹介してくれることもあるため、まずは不動産会社に相談してみることをおすすめします。
 

不動産売却の諸費用の削減方法

ここまで、不動産売却にかかる諸費用を項目別に紹介してきました。諸費用を削減することで、不動産売却による手取り収入を増やせる可能性があります。ここでは、不動産売却の諸費用を削減する方法を解説します。

仲介手数料の削減方法

仲介手数料は、仲介を依頼する不動産会社と交渉することで削減できる可能性があります。仲介手数料の上限は宅地建物取引業法によって決められていますが、値下げをすることは可能です。
 
しかし、不動産会社にとって、仲介手数料は大事な収入源であり、値下げを要求すると熱心に販売活動をしてもらえない可能性があります。仲介手数料の値下げを要求した結果、不動産を高値で売却できなければ本末転倒になってしまいます。
 
不動産売却を成功させるには、不動産会社と良好なパートナーシップを築くことが大切です。そのため、不動産会社に仲介手数料の値下げを要求するのは得策ではありません。
 
なお、仲介ではなく不動産買取だと仲介手数料はかからず、諸費用の負担は大きく軽減します。ただし、買取だと市場価格での売却は難しく、買取価格は低めになる傾向があります。
 
仲介と買取によって諸費用が異なるため、不動産会社とも相談のうえ、最適な売却方法を選ぶようにしてください。
 
また、マンションの場合、分譲会社と仲介会社がグループの場合、オーナー特典として仲介手数料の割引や特典を付与してくれる会社があります。仲介会社を選ぶときに調べてみることをおすすめします。
 

印紙税の削減方法

印紙税の削減方法は、紙の契約書ではなく、電子契約で売買契約書を作成することです。電子契約だと印紙税が課されず、費用の削減につながります。
 
ただし、対応は不動産会社によって異なり、電子契約で売買契約書を作成できるとは限りません。電子契約システムを導入していないと紙の売買契約書になるため、印紙税の納付が必要になります。
 
紙の売買契約書を作成する場合、印紙税が課されるのは原本だけであり、コピーには収入印紙を貼る必要はありません。ただし、コピーにすると裁判などの証拠資料として使いにくい場合があるため注意が必要です。
その他の削減方法として、収入印紙を金券ショップで購入すると、1~2%程度安い価格で購入できます。10,000円の場合だと100~200円程度の節約が可能ですが、大幅な費用削減にはつながりません。
 

登記・抵当権抹消費用の削減方法

不動産を売却する際、売主は抵当権抹消費用の負担が必要です。司法書士への報酬を含めると負担額は約2万円程度になります。登録免許税はマンションや戸建て住宅の場合だと1件につき2,000円ですが、登録免許税の削減はできません。
 
登記・抵当権抹消費用の削減方法は、司法書士に依頼せず、自分自身で手続きを行うことです。しかし、登記手続きをするには民法や不動産登記法などの専門知識が必要であり、通常は司法書士に依頼するのが一般的です。
 
さまざまな書類を作成して法務局に足を運ばなくてはならず、費用はかかっても司法書士に依頼するほうがよいでしょう。司法書士への報酬は高額ではないため、値下げの交渉をしても大きな費用の削減にはつながりません。
 
司法書士の選択権は売主にありますが、多くの場合、不動産会社が紹介してくれます。不動産会社との関係を良好に保つためにも、紹介してもらった司法書士に依頼するのが得策です。
 

住宅ローンの返済事務手数料の削減方法

住宅ローンの返済事務手数料を削減するためには、金融機関との交渉が必要ですが、原則として交渉の余地はありません。返済事務手数料は金融機関の規定によって決められており、手数料を変更するのはほぼ不可能です。
 
ただし、金融機関によっては、オンラインで一括返済の手続きをすると、手数料が軽減されることがあります。例えば、三井住友銀行の場合だと、SMBCダイレクト(インターネットバンキング)を利用すると、窓口や書面だと2万2,000円かかる手数料が5,500円に軽減されます(※)。
 
※出典:三井住友銀行「住宅ローン 繰上返済」より(2025年1月時点)
 
他の銀行もオンラインで一括返済の手続きをすると手数料が軽減されることがあるため、ホームページや窓口などで確認してみてください。
 
オンラインで手続きをすると金融機関に足を運ぶ必要もなく、比較的簡単に一括返済の手続きができます。住宅ローンの一括返済の手続きは、なるべくオンラインで行うことをおすすめします。
 

譲渡所得税の削減方法

譲渡所得税を削減するには、譲渡費用となるものは漏れなく計上し、譲渡所得を減らすことがポイントです。譲渡所得は、不動産の売却価格から取得費用と譲渡費用を差し引いた金額になるため、譲渡費用を漏れなく計上することで税額が低くなります。
 
仲介手数料や登記費用(ケースにより異なる)、測量費用、解体費用などが譲渡費用に該当するため、見落としている費用がないかをしっかり確認しておきましょう。領収書や契約書などの証拠書類を保管しておくことも大切です。
 
また、居住用財産を譲渡する際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「居住用財産の3,000万円控除」が適用されると、大幅な節税につながります。マイホームは居住用財産に該当するため、マイホームを売却する際は、居住用財産の3,000万円控除が適用されるかどうかを必ず確認しましょう。
 
なお、居住用財産の3,000万円控除が適用される場合でも確定申告は必要です。確定申告をしないと特別控除は適用されないため、注意してください。
 

引っ越し代の削減方法

引っ越し代を削減するには、複数の業者から相見積もりを取得し、料金を比較することがポイントです。3~4社から見積もりを取り、サービス内容なども比較して、最もお得な業者を選びましょう。値引き交渉をすることで、料金が安くなる可能性もあります。
 
不動産会社から引っ越し業者を紹介してもらえる場合もあり、その場合は割引料金が適用されるケースが多いです。特に、新築マンションに一斉入居する際は、まとめて引っ越しをすることで、料金が格安になることもあります。
 
また、引っ越しをする時期によっても料金は大きく変わるため、繁忙期を避けることでも料金を安くできる可能性は高いです。引っ越しの繁忙期は3~4月であり、可能であれば閑散期を狙って引っ越しをすることも検討してみてください。
 
ダンボールを自分で調達したり、自分で荷造りをしたりすることで料金を安くできる場合もあります。不用品をあらかじめ処分しておくと引っ越しの荷物を減らせ、費用の削減につながることもあるでしょう。
 

ハウスクリーニング費用の削減方法

ハウスクリーニング費用を削減するには、掃除をする場所を限定して、水まわりなど本当に必要な箇所だけプロに依頼するのがおすすめです。場所を限定することで、費用を削減できます。
 
家全体をクリーニングすると10万円以上の費用がかかることがありますが、キッチンや浴室だけを対象とする場合だと、2~4万円程度で済むことがあります。自分でできる箇所は自分で掃除をすることが費用を抑えるコツです。
 
また、不動産会社と提携しているハウスクリーニング業者を紹介してもらうのも費用の削減につながります。割引料金が適用されることもあり、自分で探すよりもお得になることもあるでしょう。
 
自分でハウスクリーニング業者を探す場合は、複数の業者から相見積もりを取得して、料金を比較してみましょう。相見積もりを取得すると値下げ交渉がしやすくなり、料金が安くなる可能性があります。業者によって料金やサービス内容が異なるため、相見積もりの取得は大切です。
 

不用品やごみの処分費用の削減方法

まだ使えそうなものは、リサイクルショップに買い取ってもらうのがおすすめです。状態がよければ処分費用がかからないだけでなく、高値での買取も期待できます。特に「家電4品目」はリサイクル料金が不要になるため、大幅な費用削減につながるでしょう。
 
また、引っ越しの際に、不用品の処分サービスを実施している引っ越し業者に依頼すると費用を削減できる場合があります。買取サービスを実施している引っ越し業者もあり、不用品を換金できることもあるでしょう。
 
なお、媒介を依頼する仲介会社によっては、不用品回収業者と提携している場合もあります。仲介会社が紹介する不用品回収業者は信頼性が高く、安心して不用品の処分を任せられます。
 
自分自身で不用品回収業者に処分を依頼する際は、複数の業者から相見積もりを取得するのがおすすめです。相見積もりを取得すると値引き交渉が容易になり、信頼できる業者を選べるようになります。
 

解体費用の削減方法

家屋内に不用品やごみなどの残置物があると解体費用が高くなるため、あらかじめ残置物を処分しておくことが費用削減につながります。先に不用品やごみなどを処分してから、建物の解体を依頼しましょう。
 
地下に浄化槽などが埋まっていると、埋設物を撤去するための追加工事費がかかる場合があります。建物の設計図があれば事前に提示しておくと、より正確な見積もりが可能になり、追加工事費の発生を防げます。
 
解体費用は業者によっても異なるため、相見積もりを取得することも費用削減に有効です。なお、仲介を依頼する不動産会社によっては、提携している解体業者を紹介してもらえる場合があります。不動産会社が紹介する業者であれば、費用の削減も期待できるでしょう。
 
自治体によっては、解体補助金を支給している場合があり、申請すると解体費用の一部が補助されます。近年は空き家が増加していることもあり、空き家の解体費用を補助する自治体は増えています。
 

測量費用の削減方法

家を売却する際に測量が必要になる場合、過去に測量を依頼した土地家屋調査士に再度依頼すると、費用を削減できる可能性があります。土地家屋調査士が過去の測量データを保存していれば、一から測量をするよりも費用が安くなる可能性が高いです。
 
過去に測量を依頼した土地家屋調査士がわからない場合、売却する家の地積測量図や建物平面図を確認すると、測量を担当した土地家屋調査士の氏名や連絡先が図面に記載されています。
 
原則として、測量費用は売主が負担しますが、買主と交渉すると測量費用の負担を依頼できる場合があります。ただし、測量費用の全額を買主に負担してもらうのは難しく、売主も負担するのが一般的です。
 
なお、仲介ではなく買取で売却する際は、基本的に売主が測量費用を負担する必要はありません。測量費用が高額になりそうな場合、仲介よりも買取が適することもあり、不動産会社と相談して、最適な売却方法を選びましょう。
 

不動産売却の諸費用の支払い時期

不動産売却の諸費用はさまざまなものがありますが、費用によって支払い時期が異なります。不動産を売却する際は、諸費用の支払い時期を把握しておくことが必要です。ここでは、不動産売却の諸費用の支払い時期について解説します。
 
不動産売却の流れをより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
 

売却開始前(売却の準備期間)

売却開始前(売却の準備期間)の時期は、測量費用や解体費用、リフォーム費用、ハウスクリーニング費用など、売却準備に必要な費用が発生する場合があります。
 
土地の境界が確定していない場合、売主の確定測量が必要になり、数十万円程度の費用がかかります。測量費用の支払いは土地家屋調査士との取り決めにより、測量が完了したときから引き渡しまでの間に支払いが必要です。
 
建物を解体して更地にしてから売却する際は、建物解体費用が必要になります。解体費用は建物の構造や広さなどによって異なりますが、150万円以上の費用がかかる場合があります。
 
解体費用の支払い時期は、更地渡しを条件にする場合だと、解体業者と協議することで調整が可能です。
 
リフォームをしてから売却する際は、リフォーム費用の支払いが必要です。また、ハウスクリーニングをしてから売却する際はハウスクリーニング代の支払いが必要になります。仲介手数料は成功報酬であるため、この段階での支払いは不要です。
 

売買契約の締結時

仲介手数料は、契約時と決済時の2回に分けて半額ずつ支払うのが一般的です。
 
売主は、売買契約時には売却代金は受け取れず、受領は決済(引き渡し)時になるため、不動産会社に仲介を依頼する際は、契約時までに仲介手数料の半額に相当する金額を用意しておくことが必要です。仲介手数料は成功報酬であり、売買が成立すると支払い義務が生じます。
 
売買が成立しなければ仲介手数料の支払いは不要ですが、売買契約締結後に売主都合で手付解除をする場合は、売買契約が解除されても仲介手数料の支払いは必要です。また、違約解除の場合も、仲介手数料は支払わなければなりません。
 
契約書類作成時には、売買契約書に収入印紙を貼って印紙税を納付します。電子契約の場合、印紙税は不要です。
 
業者との取り決めで、売買契約時に測量費用や解体費用を支払う必要がある場合、あらかじめ決めておいた金額の支払いが必要になります。
 

売却物件の引き渡し時(決済時)

住み替えの場合、売却物件の決済・引き渡し前に新居への引っ越しが行われます。引っ越し時には引っ越し代の支払いが必要です。
 
売却物件の引き渡し時(決済時)には、仲介手数料の残額と登記費用、住宅ローンの返済事務手数料などの支払いが必要になります。
 
所有権移転登記の費用は買主が負担しますが、抵当権抹消の手続きにかかる費用は売主が負担します。売却物件の引き渡し時には、売却代金を受領でき、受領したお金で住宅ローンの残債を支払うのが一般的です。その際に、抵当権抹消の手続きが必要になり、登記費用と司法書士への報酬を支払います。
 
売却物件の引き渡し時には、固定資産税と都市計画税の清算も行われます。固定資産税と都市計画税は1月1日時点の所有者に対して課されるため、引き渡し時を基準に日割り計算で清算します。
 
業者との取り決めで、物件の引き渡し時に測量費用や解体費用を支払う必要がある場合、あらかじめ決めておいた金額の支払いが必要です。
 

売却の翌年

売却によって利益(譲渡利益)が出た場合、翌年の確定申告で譲渡所得税や住民税を納税する必要があります。また、居住用財産の3,000万円控除を適用する際も、売却の翌年に確定申告が必要です。
 
一方、譲渡損失が発生した場合、確定申告は不要ですが、税金の軽減措置を受けるには確定申告が必要です。例えば、譲渡損失が他の所得と相殺できる場合や、税額控除を受けられる場合があります。確定申告の期間は、不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までとなっています。年末に不動産を売却した場合は、確定申告までの準備期間が短くなるため注意が必要です。
 
確定申告をするには、国税庁のホームページや税務署などから、 確定申告書などの必要書類の入手が必要です。なお、確定申告はe-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用すると、インターネットを通じてオンラインで申請できます。
 
e-Taxを利用するにはマイナンバーカードが必要で、国税庁のホームページから専用のe-Taxソフトをインストールする必要があります。一度手続きを行うと、翌年度からも継続してe-Taxの利用が可能です。
 

不動産売却の各段階における注意点

不動産を売却する際は、さまざまな注意事項が存在します。売却手続きをスムーズに進めるには、あらかじめ注意事項を理解しておくことが大切です。ここでは、不動産売却の各段階における注意点を解説します。

売却開始前の注意点

売却開始前には、不動産売却に関する基礎知識を身につけておくことが必要です。不動産売却の基礎知識を習得しておくと、スムーズに売却が進むようになります。特に、不動産売却の流れを理解しておくことが大切です。
 
相場調査をしておくことも必要であり、相場を把握しておくと、どの程度の金額で売れるかがわかるようになります。不動産ポータルサイトや国土交通省の不動産情報ライブラリなどを利用すると、自分自身で大まかな相場価格を把握できます。
 
 
不動産査定を依頼する前に、相場を把握しておくことが望ましいです。相場がわかると、査定価格の妥当性も判断できるようになります。
 
なお、必要書類も早めに準備しておくことが望ましく、登記簿謄本(登記事項証明書)や固定資産税納税通知書などの必要書類が揃っていると売却活動がスムーズに進みます。
 

不動産会社を選ぶ際の注意点

不動産会社を選ぶ際は、査定価格の高さだけで選ばないようにしましょう。査定価格が高くてもその金額で売れるとは限らず、売り出し価格を高めに設定すると売却期間が長期化するリスクもあります。
 
不動産会社が提示する査定価格はあくまでも目安であり、その金額で確実に売れるわけではありません。
 
不動産会社を選ぶ際は、複数の会社を比較することが重要ですが、査定価格だけでなく、サービス内容や営業担当者との相性なども考慮し、総合的に判断しましょう。
 
営業担当者が誠実で、売主の立場に立ち、価格査定の根拠や売却戦略をわかりやすく説明してくれると安心できます。
 
複数の不動産会社の営業担当者を比較して、安心できる不動産会社を選びましょう。なお、一括査定サイトを利用すると複数の不動産会社から査定を受けられますが、どのような不動産会社を紹介されるかがわからないというデメリットがあるため注意が必要です。
 

媒介契約の締結時の注意点

媒介契約は、一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、自分に合う媒介契約を締結することが大切です。一般媒介契約だと複数の不動産会社に依頼できますが、専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社しか依頼できません。
 
複数の不動産会社に依頼できる一般媒介契約だと競争原理が働き、買い手が早く見つかる可能性がありますが、自社で成約できる確証がないとコストをかけづらく、仲介会社がモチベーションを保ちづらい場合があります。
 
一方、専任媒介契約や専属専任媒介契約だと、競争相手がいない自社の独占物件となるため、 積極的に販売活動を行うことが期待できます。不動産会社から最大限のサポートを受けたい場合は、専属専任媒介契約がおすすめです。
 
なお、不動産会社に仲介を依頼する際は、「早く売りたい」「高く売りたい」などの要望を伝えておくことが大切です。また、売却する不動産に瑕疵がある場合も、必ず伝えておきましょう。
 

売却活動中の注意点

売却活動をする際は、適切な売り出し価格を設定することが大切です。売り出し価格が高すぎると売れにくくなり、売れ残ってしまうこともあります。一方で、売り出し価格が低すぎると、本来得られるはずの利益を失うことにもなりかねません。売り出し価格は相場価格や査定価格を参考に、不動産会社の営業担当者と相談のうえ決定します。
 
購入希望者から値下げの交渉をされた場合、現在の状況を分析して、早く売りたい場合は値下げ交渉に応じることも検討しましょう。売り出し価格を決める際は、どの程度までの値下げに応じるかを決めておくと、スムーズに返答できます。
 
購入希望者から問い合わせがあれば、内覧の準備と対応が必要です。内覧は購入希望者が実際に物件を確認することで、購入を決める重要な工程です。内覧で気に入ってもらえると、売れる可能性が一気に高まります。
 
水まわりや玄関などを中心に家全体を掃除して、清潔で明るい雰囲気にすることが大切です。物件の魅力をアピールするだけでなく、物件や設備に隠れた瑕疵(欠陥や不具合)がある場合は、正直に伝えるようにします。
 
嘘をついたり瑕疵を隠したりすると、契約不適合責任に問われることがあります。
 

売買契約の締結時の注意点

売買契約の締結時は、売買契約書の内容をしっかりと確認することが大切です。売買契約書には売買価格や引き渡しの時期、売主と買主の間で取り決めた内容などが記載されています。
 
売却する物件と契約の内容が一致しない場合、売主は契約不適合責任を問われ、代金の減額請求や損害賠償請求をされることがあります。買主との間で免責特約を設定した際は、契約書に明記されているか必ずしておきましょう。
 
売買契約書を読み返し、問題がないと判断できれば署名捺印をします。売買契約が成立すると、契約をキャンセルする際はペナルティがあるため注意が必要です。
 
売買契約時には、買主から売主に手付金が支払われることがあり、手付金は契約を解除する際に役割を果たします。買主は手付金を放棄すると契約を解除でき、売主は手付金を2倍にして買主に返還すると契約を解除できます。
 
売主と買主のいずれかが契約の履行に着手すると、手付金で契約解除はできなくなるため、注意が必要です。
 

売却物件の引き渡し時の注意点

売主は、契約書に明記されている期日までに必ず物件の引き渡しを実施しなければなりません。引き渡し期日を過ぎると、違約金を請求されることがあります。
 
売主は物件を引き渡す前に引っ越しを済ませておき、家の中に家財道具や不用品などがない状態で引き渡すことが必要です。
 
引き渡し当日は実印と印鑑証明書、権利証を忘れていないかを入念にチェックしましょう。これらを忘れると当日の決済ができません。
 
物件の引き渡し時には残金の決済が行われ、売買代金が入金されます。住宅ローンが残っている場合は残債を完済し、抵当権を抹消する手続きを行います。抵当権を抹消するのに必要な書類は、あらかじめ金融機関から受け取っておくことが必要です。
 
抵当権抹消書類は発行されるまでに約10日程度かかるため、売買契約を締結後速やかに金融機関に発行を依頼しておきましょう。
 

売却後の注意点

不動産を売却して利益が出た場合、確定申告を行う必要があります。3,000万円の特別控除など、譲渡所得税の特例を適用する場合も確定申告が必要です。確定申告を正しく行うことで、適用可能な控除や特例を利用でき、節税につながる可能性があります。
 
一方で、売却による損失(譲渡損失)が発生した場合、原則として確定申告は不要ですが、譲渡損失を他の所得と相殺するために申告を行いたい場合などは確定申告が必要です。譲渡損失を他の所得と相殺すると所得税や住民税を減らせるため、確定申告をすることで節税につながります。
 
なお、売却した年の所得より譲渡損失のほうが大きい場合、繰越控除を利用できる場合があります。繰越控除を利用すると、翌年以降の所得からも繰り越しができ、最長3年間にわたって所得税や住民税の節税が可能です。

不動産売却の費用を削減するには不動産会社と相談しましょう

不動産売却では、さまざまな費用がかかりますが、仲介を依頼する不動産会社と相談すると、費用削減が可能になる場合があります。不動産会社はさまざまな業者と提携しており、提携している業者を紹介してもらうと安い料金でサービスの利用が可能です。
 
明和地所では、グループで分譲した物件を明和地所の仲介でご売却いただくと、仲介手数料が割引になる特典の他、ハウスクリーニング業者や不用品回収業者と提携しているなど、お客様のご要望に沿った売却サポートが可能です。
 
また、明和地所では、通常売却、買取保証、即時買取、リースバックの4つの売却メニューを用意しており、お客様にとって最適な売却方法をご提案いたします。中古マンション・一戸建て・土地を売るなら明和地所の仲介にお任せください。


<明和地所>売却ページTOPはこちら

<明和地所>住まいサイト総合TOPはこちら
 

PAGE TOP