くらしに役立つマネーコラム

30〜40代のための「お金の問診票」!あなたはいくつ当てはまる?

執筆者:冨士野喜子(ファイナンシャルプランナー)

30~40代の皆さん、日々の忙しさを理由にお金の問題を先延ばしにしてはいないでしょうか。20代では差が出にくいお財布事情も、年齢を重ねれば重ねるほど、お金のことを考えて行動している人と、そうでない人との間で差が出てくるものです。今から投資や家計の見直しを始めるなら、まず行っておきたいのが現状把握。そこで今回は、お金に関する4つの質問に回答し、お金の健康度をチェックしてみましょう。

■問診① 老後までにどれくらいのお金が必要か把握できている

「老後に年金だけでは生活できない」と漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。そんな方は、老後に向けて資産を残すにあたって、そもそも定年までにどれくらいの資金が必要なのか把握しておくことが重要です。

 

そうは言っても、必要な資金は基本的な生活費のほか、車の購入費用、住宅取得費用、教育費など、必要になるお金は生活スタイルやライフプランによってさまざまです。まずは、老後までの必要資金を計算し、現状の収入で賄えるのか予測してみましょう。

もし支出が多くなりそうなら、予算を見直すなどの対策が必要となります。車や住宅、教育費などの出費にはローンを利用できますが、無計画に借り入れを重ねると、返済が老後の生活に響いてしまう恐れもあるため注意が必要です。

できるだけ早い時期から将来の必要資金を把握しておけば、家計見直しのきっかけにもなり、安心して老後を迎えることができますよ。

 

■問診② 「インフレ」が自身の貯蓄に与える影響=インフレリスクを理解している

原材料価格や物流費の高騰、為替の影響で、身の回りの商品の値上げラッシュが続いています。物価が全体的に上がり続ける現象のことを「インフレーション(インフレ)」と言いますが、このインフレが続くと、せっかく将来に向けて貯金をしても、思い描くような生活を送れなくなる恐れがあります。

総務省「消費者物価指数(2020年基準)」の2022年7月分の調査によると、総合指数(家計支出上重要なおよそ600品目について、価格の変動を示した指数)は前年同月比2.6%の上昇となっており、4月2.5%、5月2.5%、6月2.4%と4ヶ月連続の上昇となっています。物価が上がれば、同じだけのお金を持っていても購入できるものが少なくなりますので、インフレが続くと相対的にお金の価値が下がることになります。

物価の上昇に併せて、収入が増えたり、預入れした資産が増えたりすれば問題はありません。しかし、特に銀行預金にお金を預けている場合、物価の上昇率に比べて預金金利は割安であることが多いため、預金の価値が目減りする可能性が高くなります。

インフレによる資産価値の減少で老後に困ることがないよう、投資する金融商品やその金額については定期的に見直す必要があるでしょう。株式や外貨、現物資産など、インフレに強いとされる金融資産の割合を増やすことを検討してみてください。

 

■問診③ 投資とお金の「流動性」について理解している

インフレリスクの対策としては、先に触れたように投資などによる資産運用が考えられます。運用を行う際には、積極的な投資に回すお金と、預金などの安定的な商品に回すお金とのバランスを考える必要がありますが、そのときにポイントになるのが「流動性」です。

流動性とは、ある商品の売買機会の多さや、取引の際の条件の少なさなどを指します。流動性が高い商品ほど売り買いがしやすく、いざというときに現金化しやすいことになります。

たとえば、預金はいつでも引き出しができますが、不動産は売り買いの際に時間をかけて取引相手を見つける必要があります。もし資産の大半を不動産のような流動性の低いものとして保有していると、急に多くのお金が必要になったときに買い手が見つからず、相場より安い値段で売らざるを得なくなる恐れがあります。株式や国債は不動産と比べれば流動性が高いですが、それでも希望したタイミングに、希望した値段で売れるとは限りません。

流動性によるリスクを避けるためには、例えば5年以内に必要な資金は預金で準備する、10年先に備えて300万円を運用する場合は預金に150万円・株式や投資信託などの運用商品に150万円を振り分けるなど、収益性だけではなく流動性も意識して商品を選びましょう。

 

また、iDeCoを利用する場合、資金は原則60歳まで引き出せない点に注意が必要です。教育資金などのために、60歳よりも前の段階でお金が必要になることがわかっているなら、iDeCoよりもNISAの方が使い勝手がよいでしょう。このように、資産の流動性について考える際には、ライフプランから「いつお金が必要になるか」を逆算してみることも大切です。

■問診④ 保険の見直しをこまめに行っている

お金の健康度をはかる上で大切なのは、資産の量だけではありません。その資産を使って、病気や死亡、介護など、ライフステージの変化に合わせたリスクに備えられているかどうかも重要です。ちょっとした入院なら預金でも対応できますが、年齢を重ねると、がんなどの治療が長引く病気や、障害が残って介護が必要になる場合などに備える必要が増してくるため、保険の見直しを検討すべきでしょう。

特に生命保険については、健康診断の結果などによって希望するプランに加入できなかったり、割増保険料が発生したりといった可能性があるため、早めの見直しが重要です。また、ご自身のほかに養う家族がいる場合には、その人数に応じて保障の種類を変えたり、保障の金額を増やしたりといったことも検討すべきでしょう。

 

保険は会社や商品数が多いため、見直しに抵抗がある方が多いかもしれませんが、現状に合ったものを選べば保険料が安くなることもありますので、ぜひ挑戦してみましょう。また見直しの際には「保険料をいつまで払うか」「保障はいつまで続くか」など、退職後を見据えて長い目で考えることも重要です。

■今からがスタート

「お金の問診票」、いくつ○が付きましたか。今回の記事で取り上げた項目にあてはまらなかった方も、今からがスタートです。今後のライフプランや資金計画について真剣に考え、課題をクリアしていくことで、安心できるマネーライフを手に入れましょう。

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