くらしに役立つマネーコラム

円安で株価上昇!?インバウンド業界に注目が集まる

執筆者:株式会社ZUU

2022年春頃から叫ばれている円安は、相次ぐ値上げラッシュの要因のひとつとして報道されることも多く、円安にあまり良いイメージを持っていない方もいるかもしれません。しかし、そんな中でも円安の恩恵を受けると言われる業界があります。その代表例が、ホテル業界や旅行業界などです。訪日外国人にとって円安は、日本を安く旅行できるチャンスであるからです。まずは、円安の仕組みから見ていきましょう。

■そもそも「円安」とは?

円安とは、他の通貨と比べて円の価値が下がる状態を指します。

米ドルと円の関係で考えてみましょう。「円安ドル高」の状態とは、例えば1米ドル=100円であった為替レートが1米ドル=110円や、1米ドル=125円になったことを指します。つまり、円安ドル高になったほうが、1米ドルを両替したときに受け取れる円の量が増えるということです。

円安になると、訪日外国人はお得に旅行することができます。例えば、日本で1万円の商品を購入する場合、1米ドル=100円のときは100ドルが必要ですが、1米ドル=125円のときは80米ドルで購入することができます。80ドルを円に交換すると1万円(80米ドル×125円)になるからです。つまり、同じ1万円の商品を買うにしても、円安のときは、より少ない米ドルで済むのです。

■円安になると何が起こる?

円安は、輸出をメインに行っている日本企業などにとって、売上を増やすことができるチャンスです。海外からみれば、円安になると日本の製品を安く購入できるからです。

その一方で、円の相対的な価値が下がることで、輸入価格が高騰し、身近な商品やサービスの値上げが引き起こされやすくなります。最近では、2022年春頃に始まる円安が、昨今の値上げラッシュの要因のひとつと報道されることもあり、円安にあまり良いイメージを持っていない方もいるかもしれません。

しかし、多くの訪日外国人にとってお得に日本を旅行できる機会であることには変わりません。今後、インバウンドの受け入れ再開が進んでいけば、多くの外国人が日本を訪れ、ホテル業界や旅行業界が潤うはずです。

■インバウンド受け入れ拡大で恩恵を受ける業種は?

2022年6月からの訪日観光客の受け入れ再開は、インバウンド業界への投資熱の高まりにつながりました。訪日観光客の受け入れ再開で恩恵を受ける企業の株式を早めに保有しておけば、株価の値上がりで利益を得ることが期待できるからです。

では、インバウンド受け入れ拡大で、具体的にどのような業種の企業の株価が伸びる可能性があるのか、考えていきましょう。

●ホテルや旅館などの宿泊関連企業

ホテルや旅館などを運営する上場企業は、訪日観光客数がコロナ禍前の水準に戻っていく過程で客室稼働率が高まっていき、売上増・利益増につながっていくケースが増えていくと考えられます。

加えて、近年は宿泊ニーズに合わせて宿泊価格を最適化する「ダイナミックプライシング(変動料金制)」を導入しているホテルも多い傾向です。需要拡大に合わせて宿泊価格を高く設定すれば、利益率を高められます。

●ツアー企画会社や旅行関連企業

訪日外国人向けに体験ツアーやアクティビティを提供している旅行代理店なども、訪日外国人数の回復で大きな恩恵を受けるでしょう。旅行代理店の中には、主に日本人向けにサービスを提供している企業もありますが、外国人を主なターゲットにしている旅行代理店は売上が増加することが予想されます。こうした企業は業績のV字回復に伴って、株価が急上昇する可能性もあります。

●移動サービス関連企業

旅客の移動サービスを担っている企業は、訪日外国人の受け入れ拡大から良い影響を受けるはずです。日本国内を観光するには当然ながら交通手段が必要になるため、観光客が増加すれば鉄道会社やバス会社、タクシー会社、航空会社などは利用者数も増加し、それが売上拡大にもつながっていくでしょう。

■円安のタイミングをうまくとらえよう

最新情報をチェックしながら為替相場をうまくとらえれば、投資にも活かすことができます。今回は円安で恩恵を受ける企業や業界を紹介しましたが、一方、円高時には輸入品を扱う企業や業界などが恩恵を受けやすいなど、また異なった投資のチャンスがあります。

ただし、為替レートは日々変動するものです。円安傾向が円高傾向に変わったり、その後、再び円安傾向になったりするなど状況は刻々と変わっていきます。そのため、いまが円安傾向にあるのかどうか、自身で最新情報を確認した上で、タイミングに合わせた判断を心がけましょう。

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