くらしに役立つマネーコラム

資産運用の初心者は何から始めればよいのか|具体的な方法や投資先を紹介

執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)

資産運用に興味を持ち始めたものの、「あまりに情報が多すぎて、何から始めたらよいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。

この記事では、初心者でも不安なく最初の一歩を踏み出せるよう、やるべきことを4つのステップに分けて順番に解説します。資産運用を始める前の準備や、初心者におすすめの投資についても併せて紹介します。

 

初心者は何から始めるべき?

「これから資産運用を始めたい」と思っているなら、以下のような流れで取り組むとよいでしょう。

・STEP1.資産運用の目的や元手資金を洗い出す
・STEP2.資産運用の基礎知識を身に付ける
・STEP3.どんな資産運用をしたいか考える
・STEP4.実践して様子を見る 

少々遠回りに見えるかもしれませんが、いきなり大金を投じて運用するのではなく、足場を固めながら少しずつ始めるがおすすめです。

 

ここからは、それぞれのステップの具体的な進め方やポイントを見ていきましょう。

STEP1.資産運用の目的や元手資金を洗い出す

資産運用を始める前に、まずは自分が行う資産運用の目的や目標について考えてみましょう。その後、家計の状況を整理して、運用に回せる資金額を明確にします。

資産運用の目的や目標を考える

なぜ何のために運用したいのか、いつまでにどれくらいお金を増やしたいのかを考えてみましょう。それによって、どんな方法で資産を運用するべきかが変わります。

「15年後に子どもの教育資金にするために500万円を用意したい」「30年後に老後資金にするために3,000万円を用意したい」「インフレに負けないように資産価値を維持したい」など、人によって目指すところはさまざまです。

 

資産運用の目的が明確なら、モチベーションを維持しやすくなります。知識習得や情報収集が必要になっても、一時的に損失が出ても、あきらめたり投げ出したりせずに継続できるでしょう。

いくら資産運用に回せるのか考える

資産運用は、余裕資金(しばらく使う予定がないお金)で行うのが原則です。今の家計の状況ならいくらくらい運用に回せそうか、考えてみましょう。

運用にお金を回しすぎたせいで生活が圧迫されたり、近いうちにやりたかったことができなくなったりするのはよくありません。また、そもそも貯金がまったくない状態や生活がギリギリな状態なら、資産運用より先に貯金を優先するべきでしょう。

多少損失が出ても生活に支障をきたさない範囲で、無理なく運用を続けられる金額を設定しましょう。

投資額を決める際は、前項で考えた目的や目標から逆算して、「今から毎月いくらずつ積み立てて何%で運用すれば達成できるのか」を確認しておくのがおすすめです。金融庁の「つみたてシミュレーション別ウィンドウで開きます」や「資産形成シミュレーター別ウィンドウで開きます」を使うと簡単に試算できます。

STEP2.資産運用の基礎知識を身に付ける

次のステップでは、資産運用の基礎知識を身に付けましょう。

資産運用にはリスクが付き物です。知識がないまま始めると、誤った選択をして大きな損失を出してしまうかもしれません。しかし「100%理解してから始めよう」とすると、いつまで経っても始められないでしょう。

まずは最低限の基礎知識を身に付けて、実際に運用しながら少しずつ学んでいくのが現実的な学習方法です。

 

資産運用を始める前に知っておきたいのは、以下のようなことです。

リスクについての考え方

資産運用には「リスクとリターンは比例する」という原則があります。高いリターンを求めるには高いリスクを取る必要があり(ハイリスク=ハイリターン)、リスクを抑えようとするとリターンが少なくなる(ローリスク=ローリターン)ということを覚えておきましょう。リスクなしで、お金を大きく増やせる投資はありません。

リスクやリターンは、どんな資産運用をするかによって変わります。また、どれくらいのリターンを求めるか、どこまでのリスクに耐えられるか(リスク許容度)は人によって異なります。

なお、リスクを抑えたい場合は「長期・積立・分散投資」が有効とされています。初心者は特に、1つの商品に大金を一気に投入するのではなく、数十年先を見据えて、少額ずつコツコツと、複数の商品に分散して資産運用し続けるのがおすすめです。

 

STEP3.どんな資産運用をしたいか考える

STEP1と2の内容を踏まえて、自分にはどんな資産運用が合っているのかを考えてみましょう。

資産運用の種類

資産運用には、さまざまな種類があります。
・預貯金
・債券
・投資信託
・株式
・金
・不動産
・FX
・暗号資産

おなじみの「普通預金」や「定期預金」も資産運用の一種です。元本保証(預けたお金が減らないという保証)がありますが、その分お金が増えにくく、インフレ(モノの価格が上がる状態)が進むと実質的に価値が目減りしてしまうことがあります。

債券は、国や企業がお金を集めるために発行するものです。購入して保有している間は利子を受け取れ、満期が来ると元本が戻ってきます。「個人向け国債」などが有名です。

投資信託は、運用のプロが債券や株式などいくつかの投資先を組み合わせて1つにまとめたセット商品のようなものです。

株式は、資金調達のために企業が発行するものです。購入して保有している間に株主優待や配当金を受取れる可能性がありますし、値上がりしたタイミングで売却して利益を出すこともできます。

 

FXや暗号資産などは仕組みが複雑ですし、大きな損失を出す可能性があるハイリスクの商品なので、初心者には向きません。

初心者におすすめの資産運用とは?

これから運用を始める人におすすめしたいのは、少額ずつコツコツと積み立てていく方法です。特に、投資信託なら分散投資をプロに任せられるので、知識や経験が少なくても取り組みやすいでしょう。

国はこうした資産運用を推奨していて、積極的に促進するためにNISAやiDeCoといった税制優遇制度を用意しています。

 

NISAやiDeCoを利用すれば税金面で優遇されるため、通常よりお得に投資できる可能性があります。

 

株式にも投資したい人、いつでもお金を引出せるようにしたい人はNISA、老後に向けて資金を準備したい人や節税したい人はiDeCo、資金的に余裕がある人は両方など、自分の状況に合わせて制度を選ぶとよいでしょう。

STEP4. 実践して様子を見る

STEP.1~3を通して、どんな商品にいくらくらい投資するかを決めました。次は、いよいよ実行する段階です。

 

ここでは、株式や投資信託に投資する場合を例に挙げて、資産運用を始める際の具体的な手順を見ていきましょう。

①専用の口座を用意する

株式や投資信託などへ投資する場合は専用の口座が必要です。専用の口座を持っていない場合は、金融機関を選んで口座開設の手続きを行いましょう。上述のNISAやiDeCoを始める場合も、それぞれ専用の口座を用意します。

専用の口座は銀行や証券会社などの金融機関で開設できますが、以下のような違いがあります。

・証券総合口座:証券会社で開設できる口座。株式などさまざまな投資商品の購入が可能。
・投資信託口座:銀行などで投資信託を購入するための口座。株式への投資は不可。

例えば「NISAを使って株式投資に取り組みたい」という場合は、証券会社を1社選んで「証券総合口座」と「NISA口座」を開設する必要があります。

 

金融機関によって扱っている商品の種類や数、手数料、使い勝手などが異なるため、いくつかを比較して自分に合うところを選ぶとよいでしょう。

②口座に入金する

専用の口座を準備したら、そこに元手となる資金を入金しましょう。入金方法は金融機関によって多少異なりますが、以下のような方法から選択できます。

・銀行口座からインターネットバンキングやATMを使って振り込む
・銀行口座からの自動引落とし
・銀行口座と証券口座を連携させて自動で入出金をできるようにする
・クレジットカード決済にする
 など

 

手間を省きたいなら、同じ系列の銀行口座と証券口座を用意して連携させるのがおすすめです。また、お得さを求めるならクレジットカード決済にして、ポイントを貯めるという方法もあります。

③金融商品を購入する

金融機関のマイページ(口座開設者用の個人ページ)や公式アプリなどから、投資したい商品を選択して購入手続きをします。基本的に、画面に出てくる案内に沿って購入金額などを入力していくだけなので、手軽にできます。

金融機関によっては、電話や対面の窓口で手続きができる場合もあります。

 

④その後の値動きを見守る

投資商品を購入したら、その後は値動きを見守りましょう。最初は、値動きを頻繁にチェックして一喜一憂してしまうかもしれません。でも前述のとおり、資産運用は長期的な視点で取り組むものです。感情に左右されて、短期間で売買を繰り返すのはよくありません。

iDeCoのように長期的にコツコツと積み立てていく投資を行っている場合は、毎日チェックしなくても問題ありません。半年に1回、年1回などでも十分です。気長に待ちながら、運用を続けましょう。

 

まとめ

資産運用の初心者は、まず資産運用を行う目的や元手となる資金額を明確にするところから始めましょう。リスクの抑え方など、最低限の基礎知識を身に付けておくことも大切です。

資産運用を始めるための手続き自体は、さほど難しくありません。NISAやiDeCoといった制度の活用も検討しつつ、無理のない範囲で取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

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