公開日:2024.03.14 / 更新日:2024.03.14
実家の売却は相続後?売るまでに知っておきたい手順や注意点を解説!
誰も住まなくなった実家を放置すると空き家となり、事故や犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。しかし、いざ実家を売却しようと思っても、どのように手続きを進めていけば良いのかわからないという方もいるのではないでしょうか。
実家の売却では、自分の持ち家を売却する場合とは異なるいくつかの注意点があります。売却後のトラブルを避けるためにも、実家売却の正しい手順を知っておきましょう。
今回は、実家を売る際の準備や基本的な売却手順、売却時の注意点を解説します。実家売却にかかる費用や税金にもふれているため、実家の売却を検討している方はぜひ参考にしてください。
実家を売却するのは相続後が望ましい
不動産の売却ができるのは、基本的にその物件の所有者のみです。誰も住まなくなった実家を売却する場合、不動産の所有者を親名義から自分名義に変更する「相続登記(所有権移転登記)」という手続きを行なってから売却準備を進めましょう。
まずは、実家の相続手順や、実家を売るべきタイミングについて解説します。
実家を相続する手順
実家の相続は、基本的に以下の手順で進めます。
1.遺言書の有無を確認する
故人が遺言書を作成していた場合、一般的に、遺産の分割方法が記載されています。実家を含めた遺産を誰がどのように相続するか決めるためにも、先に遺言書の有無や内容を確認しましょう。
なお、遺言書が効力を持つのは、法律で定められた要件をすべて満たしている場合のみです。
2.遺産の分割方法を決める
法的に有効な遺言書があれば、遺言書の内容に沿って遺産の分割方法を決めます。遺言書がない場合は、相続人全員で、次に解説する遺産分割協議を行ないましょう。
3.遺産分割協議をする
遺産分割協議とは、誰がどのように遺産を相続するか決める話し合いのことです。遺産を相続する権利がある人は相続人と呼ばれ、故人の配偶者は常に相続人となります。配偶者がいない場合、法律で定められた順位に沿って、相続人が決定します。
また、法律で定められた相続できる割合のことを法定相続分といいます。法定相続分は相続人の状況により異なり、例えば故人の配偶者と子ども1人が相続人であれば、2分の1ずつ相続することになります。
参照:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁
住宅など均等に分割できない遺産は、誰か1人が相続をするか、相続人全員の同意を得て売却し、現金化してから相続人全員で均等に分割するといった方法があります。
4.相続登記(所有権移転登記)をする
遺産分割協議で実家を相続する人が決まったら、不動産の所有権を移転するための相続登記を行ないましょう。相続登記は司法書士に依頼する方法と、自分で必要書類を集めて管轄の法務局で手続きする方法の2パターンがあります。
相続登記により不動産の所有権が自分名義になれば、実家の相続は完了です。
実家を売るタイミング
相続した実家を売却すると譲渡所得税が発生する場合がありますが、相続から3年10ヵ月以内に売却できれば、譲渡所得から差し引かれる取得費に相続税額のうち一定額を加算でき、税金対策になります。
また、相続から3年以内の売却で要件を満たしている場合には、売却後の確定申告で譲渡所得から3,000万円を控除できる特例(=特別控除)も活用できます。
一般的に、一戸建の売却には約6ヵ月の期間がかかるため、実家の売却を検討し始めたら早めに売却準備を進め、相続から3年以内の売却を目指すとよいでしょう。
実家を売却する前の準備
実家を売りたい場合、不動産会社に相談する前に以下の準備をしておくと、売却手続きをスムーズに進められます。
●実家の遺品整理や不用品の処分
●実家の状態確認や改修
●実家と隣地の境界線を確定させておく
●実家を購入した際の書類を集めておく
●実家の相場を調べておく
実家の遺品整理や不用品の処分
実家の査定や売却活動に向けて、遺品整理や不用品の処分を行ないます。スケジュールに余裕があれば分別をしながら自分で片付けを進め、難しい場合は遺品整理業者へ依頼しましょう。
「明和地所の仲介」では、「不用品処分サービス(有償)」をご利用いただけます。実家の売却相談と同時に依頼できるため、荷物が多くて困っている方はぜひご検討ください。
不用品処分サービス|「明和地所の仲介」のサービスサポート
実家の状態確認や改修
建物に目立つ傷や汚れ、修繕が必要な箇所などがあると、査定や売却活動に影響する場合があります。外壁のヒビ割れや雨漏りなど、不動産としての欠陥がないか確認しましょう。
ただし、査定前の段階で大規模な工事やリフォームを行なう必要はありません。現状を正しく把握して、工事の必要性については売却を依頼する不動産会社と相談しましょう。
実家と隣地の境界線を確定させておく
長い間測量をしていない土地は、隣地との境界線が曖昧になっている可能性があります。境界線が確定していない状態だと、近隣住民とのトラブルに発展する可能性があるため、売却前に境界線を確定させる必要があります。境界線の確定は測量会社へ依頼しましょう。
なお、境界線の確定には3ヵ月ほどの期間がかかることもあるため、売却チャンスを逃さないためにも早めに準備を進めましょう。
「明和地所の仲介」では、適正な不動産売却や境界線にまつわるトラブル防止のために、仮測量サービス(有償)を提供しています。
仮測量サービス|「明和地所の仲介」のサービスサポート
実家を購入した際の書類を集めておく
実家売却後にかかる譲渡所得税を抑えるために、実家の購入額がわかる売買契約書を探しておきましょう。
実家の正しい購入額がわかると、譲渡所得から取得費として差し引きできますが、正しい購入額が不明な場合は、売却価格の5%相当額が取得費として計算されます。
ほかにも、購入時の資料やパンフレットがあれば、売却活動で役立てられる場合があります。
実家の相場を調べておく
実家の売出価格は相場を参考にするケースが多いため、事前に相場を調べておきましょう。不動産会社から提示される査定結果は、会社ごとに金額差があります。相場感をつかんでおくと、査定結果の比較にも役立てられるでしょう。
不動産の相場は、全国指定流通機構連絡協議会による「REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)」や、国土交通省が提供する「土地総合情報システム」で過去の取引を検索することで調べられます。
また、売出価格の相場を知りたいときは、不動産販売サイトで実家と条件が似ている物件を検索して確認しましょう。
不動産(マンション)の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
「不動産売却 相場」
実家を売却する手順
実家を売却する手順は、不動産売却の基本的な流れと同様で、全体で約6ヵ月程度の期間がかかります。査定依頼から引渡しまでの手順を見ていきましょう。
1.不動産会社へ査定を依頼する
査定はインターネットから簡単に依頼できますが、現地調査をともなわない査定はあくまで簡易的な査定となります。より正確な査定結果を知りたいときは、必ず訪問査定を依頼しましょう。
2.不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定結果や担当者の対応などをよく比較して信頼できる不動産会社を見つけたら、仲介を依頼するための媒介契約を結びます。
媒介契約には、契約内容の異なる3つの種類(専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約)があり、売却活動の内容に違いがあります。個々のケースに適した契約を選びましょう。
3.売却活動を始める
実家を売りに出し、広告掲載や内覧などの売却活動を始めます。実家の清掃や片付けは、この時期までに済ませておきましょう。
内覧は売主が立ち会う以外に、不動産会社に対応してもらうことも可能です。スケジュール調整が難しい、実家が遠方にあるなどの理由で立ち会いが難しければ、不動産会社に実家の鍵を預けておきましょう。
4.買主と売買契約を結ぶ
購入希望者からの価格交渉や条件交渉に対応し、交渉が成立したら買主と売買契約を結びます。契約の際は、売主と買主、不動産会社の三者で、契約内容の確認を行ないます。
5.決済・引渡しをして売却完了
売買契約書に記載のスケジュールに沿って、売買代金の決済と実家の引渡しを行ない、実家の売却は完了です。
不動産売却(マンション売却)の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「不動産売却 流れ」
実家の売却にかかる費用や税金
実家の売却にかかる費用や税金の総額は、売却価格の5%が目安と言われています。具体的にどのような費用や税金が発生するのか見ていきましょう。
相続登記(所有権移転登記)にかかる費用
実家の所有権を親名義から自分名義に変更する相続登記(所有権移転登記)には登録免許税が発生し、登録免許税額は「固定資産税評価額×0.4%」で算出できます。
登記手続きを司法書士に依頼する場合は、上記に加え、6万円~8万円の司法書士報酬が発生します。
仲介手数料
不動産会社に支払う仲介手数料には上限が定められており、「(売却価格×3%+6万円)+消費税」(売却価格が400万円超の場合)で算出できます。
仲介手数料は買主との売買契約が締結された時点で発生し、売買契約時と引き渡し時の2回に分けての支払いが一般的です。不動産会社と媒介契約を結んでも、実家売却が成約に至らなかった場合、仲介手数料は発生しません。
印紙税
印紙税は売買契約書の作成時に発生し、契約書に記載の取引価格により税額が変動します。
税額は1,000円~6万円が目安となり、2014(平成26)年4月1日から2024(令和6)年3月31日までの期間に作成された売買契約書においては、軽減税率が適用されます。
近年では、電子契約書の活用で、印紙税を抑えることが可能となりました。
譲渡所得税・住民税
実家を売却し、課税譲渡所得がある場合、譲渡所得税と住民税がかかります。課税譲渡所得とは、実家を売却して得た利益にあたる部分のことで、以下の式で求められます。
【課税譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額】
譲渡所得税と住民税の税率は、不動産の所有期間によって異なり、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得に区分され、それぞれ以下の税率となります。
No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)|国税庁
No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁
No.3211 短期譲渡所得の税額の計算|国税庁
なお、実家の相続では前所有者の取得時期が引き継がれるため、多くの場合、長期譲渡所得に区分されます。
相続税
相続税には最低3,600万円の基礎控除があるため、相続した財産の総計が3,600万円以下の場合は、相続税が発生しません。
相続人が1人増えるごとに基礎控除額が600万円増え、基礎控除額を超える部分に所定の税率(10%~55%)で相続税がかかります。計算式に表すと以下のようになります。
【相続税=評価額-基礎控除額(3,000万円+600万円×相続人の数)×相続税率】
その他の費用
実家の売却では、必要に応じて以下の費用がかかります。
遺品処分費用
遺品や不用品の処分を業者に依頼する場合、金額は処分する量によって変動しますが、25万円~70万円程度の費用がかかります。
測量費用
隣地との境界線を明確にする「確定測量」にかかる費用は、土地の面積や隣地の所有者によって異なりますが、50万円前後が目安となります。
解体費用
老朽化した一戸建で、更地にして土地を売却するケースでは、建物の解体費用がかかります。解体費用は状況により変動しますが、木造30坪程度で特別な作業が必要ない場合は、150万円ほどが目安となります。
不動産売却(マンション売却)の費用については、以下の記事で詳しく解説しています。
「不動産売却 費用」
実家を売る際の注意点
実家の売却で注意すべきポイントを解説します。
空き家のまま放置しない
空き家を放置すると固定資産税がかかるだけでなく、放火や不法投棄、倒壊などさまざまなリスクがあります。
売却しない・できない理由があれば、放置するのではなく必要な管理を行なったり、建物を解体して更地にしたりといった対策が必要です。
共有名義のままの売却は慎重な話し合いが必要
相続人の間で共有状態にした実家を売却し、売却後に財産の分割を行なうケースでは、信頼できる人に売却手続きを担ってもらいましょう。分割の条件に認識の相違がないように、相続人全員でよく話し合っておくことも大切です。
特に、不動産の売却では多くの諸費用が発生するため、売却価格と実際に手もとに残る金額に差が出ることがあります。売却後のトラブルを防ぐためにも、共有名義の実家を売却する際は慎重な話し合いを重ねましょう。
経験豊富な不動産会社を選ぶ
担当者とのやりとりを通して信頼できると思う不動産会社や、売りたい物件の種類の売買実績が豊富な不動産会社に相談することで、希望に近い形での売却を実現しやすくなります。
築年数が古い実家で売れるかわからない、遠方にある実家で現地へ何度も足を運ぶのが難しいなどの不安があれば、親身になってサポートしてくれる不動産会社を選ぶとよいでしょう。
まとめ
実家を売却する際は、トラブルを防ぐために相続登記後に売却することをおすすめします。売却前は遺品整理や境界線の確認を行ない、売却活動をスムーズに進められるよう準備しておきましょう。
「明和地所の仲介」では、実家の売却時に便利な不用品処分サービスや仮測量サービスをご利用いただけます。実家の売却に不安があれば、実績豊富な明和地所にぜひご相談ください。