公開日:2023.11.07 / 更新日:2023.11.07
【不動産売却】マンション売却の費用一覧|各種手数料や税金の計算方法を解説
マンションなどの不動産を売却する場合、手数料や税金、事務手数料など、さまざまな費用が発生します。
また、引き渡し前の不用品の処分費、ハウスクリーニング費、新たな住まいへの引越し費用など、必要に応じた費用も発生する場合があります。
マンションの売却では大きなお金が動くからこそ、売り主が負担する費用の項目と目安、費用を抑える方法を把握しておくことが大事です。
この記事では、不動産売却における7種類の費用の概要、譲渡所得税、費用を抑える方法を解説します。
目次
不動産売却の諸費用一覧
不動産売却にかかる諸費用は、大きく分けて以下の7種類があります。
(1) 仲介手数料
(2) 印紙税
(3) 書類取得費
(4) 登記費用
(5) 必要に応じてかかる費用
(6) 引越し費用
(7) 譲渡所得税
各費用の詳細を、次の章でそれぞれ解説します。
(1)仲介手数料
仲介手数料とは、不動産売却を依頼する不動産仲介会社に支払う手数料です。仲介手数料の内訳は、売却活動の広告費用や購入希望者の案内に関する費用、各種調査費用や書類作成費用などが含まれます。
仲介手数料は「不動産売却の成功報酬」の意味合いもあり、媒介契約を締結した時点では発生しません。買い主と売買契約を締結したときに半分、物件を引き渡す際に残りの半分と、2回に分けて仲介手数料を支払うのが一般的です。
仲介手数料の計算方法
仲介手数料は、宅地建物取引業法(以下、宅建業法)により、売買価格に基づく仲介手数料の上限が定められています。下表のように、売買価格が「200万円以下」「200万円超400万円以下」「400万円超」の部分にそれぞれ割合をかけて計算します。
売買価格が400万円を超える場合は、価格帯ごとの算出だと計算しにくくなるため「売買価格×3.3%+6万6,000円」という速算式で、税込の上限仲介手数料を計算します。
下表は、速算式を使用した売買価格ごとの上限仲介手数料をまとめたものです。
(2)印紙税
印紙税とは、売買契約書に貼る印紙を指し、不動産売却に必要な税金の一つです。決められた金額の印紙を貼ると、印紙税を納税したとみなされます。
仲介手数料と同様に、印紙税も売買価格によって金額が異なります。2024年3月31日までは軽減措置が講じられ、税率が引き下げられています。売買価格ごとの印紙税は次のとおりです。
(3)書類取得費
書類取得費とは、必要書類の取得で発生する費用のことです。不動産売却では、以下のような手数料がかかる公的な資料の提出が求められます。
・印鑑証明書
・住民票
・登記識別情報
・固定資産評価証明書
具体的な費用は、印鑑証明書・住民票・登記識別情報が300円程度、固定資産評価証明書は200~400円程度です。役所の窓口で取得する場合は、役所までの交通費も考慮する必要があるでしょう。
不動産売却に必要な書類の詳細は、以下の記事でも詳しく解説しています。
不動産(マンション)の売却に必要になる書類14種類の取得方法や取得タイミングについて解説
(4)登記費用
不動産売却では、所有権を買い主に変える「所有権移転登記」が必要ですが、登記費用は買い主が負担します。売り主が負担する登記費用は、住宅ローンの残債がある場合の「抵当権抹消登記」です。
住宅ローンを完済すれば抵当権は自動で消滅しますが、登記簿謄本から抵当権の記載を抹消するには、別途で登記手続きが必要です。
抵当権を抹消するには、登録免許税、事前調査費用、完了後謄本費用、司法書士手数料がかかります。
登録免許税は、不動産1つにつき1,000円がかかりますが、マンションの場合は土地1つ、建物1つとなり2,000円を支払うことになります。
事前調査費用は、登記内容がどのようになっているかを調べるための費用で、不動産1つにつき335円かかるため、マンションの場合は770円必要になります。
完了後謄本費用は、抵当権抹消の登記が完了後、確かに抵当権が抹消されているかを確認するために登記簿謄本を取得する費用です。
登記簿謄本は不動産1つにつき600円かかるため、マンションの場合は1,200円必要です。
抵当権抹消手続きは自分で行なうことも可能ですが、手続きが複雑なため司法書士への依頼が一般的です。抵当権抹消にかかる司法書士手数料は、1万円~2万円が相場とされています。
(5)必要に応じてかかる費用
売買契約や登記にかかる費用に加え、住宅ローンの一括返済、ハウスクリーニング費、不用品の処分費なども、必要に応じてかかります。
住宅ローン返済手数料
住宅ローン返済手数料とは、一括返済で金融機関に支払う事務手数料のことです。住宅ローンが残った不動産の売却は抵当権の抹消が必要になるため、住宅ローンを一括返済する場合があります。
住宅ローン返済手数料がかからない金融機関もあるますが、1万~3万円が相場となっています。
金融機関によっては、インターネット手続きの手数料を安くし、窓口手続きにかかる手数料を高くするケースもあるようです。
マンション売却の費用をできるだけ抑えるために、住宅ローンを借りている金融機関へ手数料の有無や安く抑える方法を確認するとよいでしょう。
不用品処分費
不動産を売却する際は家財道具を処分し、室内を空にしておかなければなりません。
家財道具などの不用品を自治体に出す場合は、粗大ゴミの処分費用が必要です。粗大ゴミに該当する品目や料金は自治体によって異なるため、市区町村のホームページで確認しましょう。
ただし、エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の4品目は、家電リサイクル料金が必要です。リサイクル料金は品目とメーカーで異なりますが、1つにつき1,000~5,000円が相場です。
不用品の量が多い場合は、不用品処理業者に一括処分を依頼するのもよいでしょう。費用の相場は、家一軒分で15万~50万円程度とされています。
ハウスクリーニング費
売却活動前に自宅をきれいにしておくと、内見で購入希望者に良い印象を与えられます。「買い主が見つかりやすい」「早く売れる」「値下げ交渉を回避できる」といった効果も期待できます。より良い売買価格で家を売るためにも、費用をかけてプロにクリーニングしてもらう価値はあるでしょう。
ハウスクリーニングは、浴室やキッチンなどの水まわり、レンジフード、壁紙、床などに行なうことが一般的です。ハウスクリーニング費の相場は、面積の広さや掃除箇所の多さなどの要素で変動します。マンションの場合は1Kや1LDKで3万円程度、2LDK以上で7万円程度、4LDK以上で10万円以上が相場と言われています。
(6)引越し費用
マンションを売却すると同時に、新たな住まいへの引越し費用も必要です。
引越し費用は、繁忙期と通常期で金額が大きく異なります。繁忙期である3月・4月を避けることで、引越し費用を安く抑えられるでしょう。例えば、引越し先が同一都道府県内や4人家族の場合は繁忙期で11万~19万円程度、通常期で7万~10万円程度となります。
なお、買い換えで購入した新居に入居できず、仮住まいが必要になるケースもあります。仮住まいが必要な場合は「旧居から仮住まい先」「仮住まい先から新居」と2回分の引越し費用がかかることを留意しておきましょう。
(7)譲渡所得税
譲渡所得税とは、マンションの売却で得た利益である「譲渡所得」にかかる税金のことです。譲渡所得税は、譲渡所得に対する所得税と住民税を合わせたものです。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得は「譲渡所得=売買価格-(取得費+譲渡費用)」の計算式で求められます。取得費は売却したマンションの購入費用、譲渡費用は売却にかかった費用のことです。売買価格よりも費用が高い場合は譲渡所得が発生せず、税金がかかることはありません。
なお、譲渡費用はあくまでも売却に直接かかった費用です。抵当権抹消登記費用は譲渡費用に含まれないため注意しましょう。
譲渡所得税の税率
譲渡所得税は不動産の所有期間によって、以下の短期譲渡所得・長期譲渡所得に分類されます。
上表のとおり、所有期間が5年以下の短期譲渡所得は税率が高く、5年超の長期譲渡所得は税率が低くなっています。税金の支払いを抑えるため、あらかじめ所有期間を確認しておきましょう。
不動産売却にかかる費用を抑えるテクニック
これまで紹介したとおり、マンションの売却にはさまざまな費用が発生します。多くの資金を準備する必要があるため、費用はできる限り抑えたいところです。そこで、不動産売却の費用を抑えられる、2つのテクニックを解説します。
自治体の補助金を活用する
都道府県によっては、不動産売却に対して補助金を支給する自治体があります。特に「空き家の解体」や「改修(リフォーム)」に関する補助金制度は、多くの自治体で実施しています。
近年、深刻な社会問題となっているのが、建物の老朽化・人口減少・高齢化・放置による空き家の増加です。総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、全国に空き家は848万9,000戸あり、空き家率は13.6%と過去最高を更新しています。
深刻な空き家の現状を受け、国土交通省では空き家対策支援を実施しているのです。地方自治体も方向性を同じくして、空き家の除却・改修・取得に対する補助金制度、税制優遇制度を実施しています。
空き家解体の補助金は、市
内解体業者を利用すると解体費用の1/2(上限額あり)まで補助してくれるケースも少なくありません。空き家の一戸建てを所有している場合は、解体工事の補助金を積極的に活用しましょう。
なお、空き家の改修に対する補助金を支給する自治体では、以下のような取り組みを実施しています。
・自治体内の事業者に改修を請け負わせた場合に補助金を交付
・移住定住者に空き家を貸し出すと助成金を支給
・空き家バンクで契約成立したら改修費用を一部補助
・空き家を事業用に活用した際の費用を補助
その他、空き家の固定資産税に対し、住宅用地特例を適用しないとする税制優遇措置もあります。
控除を活用する
先述のように、マンションの売却で得た利益には税金がかかります。とはいえ、譲渡所得税の場合は居住用財産の3,000万円特別控除・譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例という税控除の制度があります。
3,000万円特別控除とは、不動産売却の譲渡所得から最高3,000万円が控除されるものです。譲渡所得が3,000万円を超えなければ、譲渡所得税がゼロになる節税効果の高さが特徴です。ただし、3,000万円特別控除を利用するには、売却した翌年に確定申告を行なう必要があります。
また、3,000万円特別控除はマイホーム(住居用財産)の売却が前提です。不動産の所有期間は問われませんが、マンションの場合は以下の条件を満たす必要があります。
・以前住んでいたマイホームの場合、住まなくなった日から3年を経過する日の年の12月31日までに譲渡する
・売却した年の前年・前々年に、同特例や買換特例、譲渡損失の繰越控除を利用していない
・売り主と買い主が親子・夫婦など、特別な関係ではない
マンションの売却では譲渡所得を得るばかりではなく、損をするケースも珍しくありません。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、不動産売却と買い換えで譲渡損失が出た際に、給与所得や事業所得から控除(損益通算)される制度です。損失が大きく、売却した年で相殺できない場合は、翌年以降に最長3年間の所得に繰り越しできます。
買い換えの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を利用する際には、次の要件を満たすことが必要です。
・自分が住んでいるマイホームを譲渡
・譲渡の年の1月1日で所有期間が5年超、かつ日本国内にあるもの
・床面積が50平方メートル以上であるもの
・買換資産(新居)を取得した年の翌年12月31日までに住む、または見込みがある
・買換資産について、10年以上の住宅ローンを組む
なお、売却のみで買い換えをしない場合、住宅ローン返済が残っていれば譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例が利用可能です。特例の適用要件は「売却前日まで返済期間が10年以上の住宅ローンが残っている」「売却額が住宅ローン残高を下回る」場合です。
まとめ
不動産を売却する際は、7種類の費用が発生します。仲介手数料、印紙税、書類取得費、登記費用は必要な費用で、安く抑えることは困難です。ハウスクリーニング費や不用品の処分費用は必須ではありませんが、マンションをより高く売るために必要な費用といえます。
費用を安く抑える方法として「空き家の補助金や譲渡所得税の税控除を活用する」などがあります。譲渡所得が発生した場合は3,000万円特別控除、譲渡損失が出た場合は損益通算及び繰越控除の特例を上手に活用しましょう。
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