不動産売却コラム

公開日:2023.12.28 / 更新日:2024.02.29

【マンション売却】税金はいくらかかる?計算方法や節税に役立つ特例・控除を解説

マンションの売却を考えている場合に気になることの一つが、「売却益に対してどのくらいの税金がかかるのか?」という点です。

本記事では、マンション売却時にかかる3種類の税金と、それぞれの計算方法、実際にかかる金額について解説します。併せて記事の後半では、マンション売却の税金を抑えるために活用できる控除や特例、マンション売却の税金にまつわるQ&Aを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

マンションを売却すると3種類の税金がかかる

マンション売却にかかるおもな税金は、以下の3種類です。

・印紙税
・登録免許税
・譲渡所得税

詳細は後述しますが、印紙税と登録免許税は比較的少額であることが一般的です。これに対して譲渡所得税は、マンションの売却価格によっては数百万円など、高額になる可能性があります。

マンションの売却手続きをスムーズに進めるうえでも、各税金の基礎知識を把握したうえで、どのくらいの税金がかかるかをシミュレーションしておいたほうがよいでしょう。

マンション売却にかかる税金(1)印紙税

印紙税とは、マンションなどの不動産や権利関係の取引にかかる税金です。具体的には、マンションの売買契約書に所定金額分の収入印紙を貼り、納める税金になります。

通常のマンション売却の場合、売り手と買い手それぞれの保管用として、最低2通の売買契約書を作成します。収入印紙は、「売買契約書1通につき1枚(所定金額分)」を貼らなければなりません。例えば、2通の売買契約書を作成するとなれば、所定金額分×2の印紙税を用意する必要があります。

収入印紙は、当然のことながら複製(コピー)した売買契約書にも必要です。

印紙税の計算方法・シミュレーション

不動産売買の印紙税には軽減措置が設けられており、201441日~2024331日までに作られた不動産売買の契約書には、軽減税率が適用されます。以下の表は、成約金額に対する印紙税額と、軽減税率適用後の印紙税額をまとめたものです。

例えば、2023年にマンションが成約価格3,000万円で売れた場合、軽減措置の適用で1万円の収入印紙が必要です。売り手と買い手で売買契約書を2通作成すると、1万円×2枚→合計2万円分の印紙税額が必要となります。

なお、20225月に不動産の一部取引において、電子契約が正式に認められました。電子契約の場合、印紙税が課税されないため、電子契約には節税のメリットがあります。ただし、電子契約をする際には、あらかじめ条件面で双方の合意が必要な点に注意してください。

マンション売却にかかる税金(2)登録免許税

登録免許税は、不動産の名義変更にかかる税金です。具体的には、マンションの持ち主を売り手から買い手に変える登記手続きの際に支払う税金になります。登録免許税は、売り手と買い手の両方に支払い義務のある税金です。売り手の場合、抵当権抹消登記にかかる登録免許税を支払います。

抵当権抹消登記とは、マンションの購入時に組んだ住宅ローンの抵当権を外す手続きです。抵当権とは、住宅ローンの返済が万が一滞ったときのために、マンション物件を担保にする権利を指します。

登録免許税の計算方法・シミュレーション

抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、不動産1つにつき1,000円です。ただし、登録免許税の場合、建物と土地は別の不動産であるとみなされます。

そのため、例えば、1棟のマンションが1筆の土地の上に建っていた場合、2,000円((1棟+1筆)×1,000円)の登録免許税がかかります。

マンション売却にかかる税金(3)譲渡所得税

譲渡所得税とは、マンションを売却して利益が出た場合にかかる、以下の税金の総称です。

・所得税
・復興特別所得税
・住民税

譲渡所得税は、「マンションを売ったとき」ではなく「マンションを売却した翌年の確定申告のとき」に支払います。また、譲渡所得税は売却益に対する税金のため、赤字(売却損)の場合はかかりませんが、控除を受けるには確定申告が必要なので注意してください。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は、譲渡所得に所定の税率をかけて算出します。譲渡所得の求め方は、以下のとおりです。

・譲渡所得=マンションの売却価格-(譲渡費用+取得費)

譲渡費用

譲渡費用とは、マンションを売却する際にかかった必要経費を合算した額です。マンション売却をする場合、具体的には以下のような費用が譲渡費用にあたります。

・不動産仲介会社への仲介手数料
・売り手が負担した印紙税
・借家人にマンションを明け渡してもらったときの立退料(賃貸マンションの場合) など

譲渡費用として認められるのは、マンションを売るために「直接かかった費用」のみです。例えば、マンションの状態を改善するために行なったリフォーム・リノベーションの費用などは、譲渡費用になりません。

取得費

取得費は、マンションの購入費用とその必要経費を合算した金額です。

ただし、取得費の算出では、マンション購入~売却まで経過している年数に応じて、減価償却費を差し引かなければなりません。減価償却費とは、経年劣化で下がった物件の価値を表す金額です。したがって、取得費は以下の計算式で算出します。

・取得費=マンションの購入費用+購入時の必要経費-減価償却費

なお、譲渡所得税の税率は、マンションの所有期間によって異なります。短期譲渡所得と長期譲渡所得の2種類があり、税率は以下のとおりです。

長期譲渡所得の税率は、短期譲渡所得の半分です。そのため、譲渡所得税の税率を抑えるなら、マンションの所有期間が5年を超えてから売却したほうがよいでしょう。

譲渡所得税の金額は、ここまで解説した数字や税率を使い、以下の計算式で算出します。

・譲渡所得税額=譲渡所得※×税率

※譲渡所得には、特別控除が適用される場合もあります。特定控除については、のちほど解説します。

譲渡所得税の計算シミュレーション

以下のマンションを売却したケースについて、譲渡所得税がいくらかかるかシミュレーションしてみましょう。

5,500万円で購入したマンションを6,500万円で売却
・所有期間6年、譲渡費用300万円、購入時の諸費用200万円

まず、譲渡所得は、以下のとおりです。

・譲渡所得:6,500万円(売却価格)-(300万円(譲渡費用)+5,700万円(購入時のマンション価格+諸費用))⇒500万円


このケースは、所有期間が6年なので長期譲渡所得に該当します。そのため、譲渡所得税を求める計算式は以下のとおりです。

譲渡所得税: 500万円×20.315%=1015,0001,000円未満は切り捨て)

マンション売却の税金を抑える控除や特例

マンション売却時に多くの売り手を悩ませるのが、「税金を賢く抑えるにはどうすべきか?」という課題です。この課題を解消するには、以下の特例や控除などをうまく活用しましょう。

3,000万円の特別控除の特例

マンションなどの居住用財産(マイホーム)を売却した場合、所有期間の長短とは関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例が使える可能性があります。この制度が、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。

【適用の条件】
・自分が住んでいるマンションであること
・以前に住んでいたマンションの場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の1231日までに売却すること
・売り手と買い手が、親子や夫婦などの特別な関係ではないこと
・売った年の前年および前々年に、この特例またはマイホームの譲渡損失についての損益通算および繰越控除の特例の適用を受けていないこと など

国税庁:No.3302 マイホームを売ったときの特例

所有期間10年超の軽減税率

マンションを売った年の11日において、所有期間が10年を超えている場合に利用できる制度です。先ほどの3,000万円の特別控除と併用できる特徴があります。適用条件は3,000万円の特別控除の特例と同じです。

所有期間10年超の軽減税率に該当する場合、税額は以下の計算式で算出可能です。

国税庁のホームページでは、簡単な計算ができるツールも公開されています。ぜひ活用しましょう。

国税庁:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

一定の要件を満たした場合に、マンション売却で生じた赤字(譲渡損失)を、その年の給与所得や事業所得など、他の所得から損益通算(控除)できる特例です。さらに、損益通算を行なっても控除しきれなかった赤字分は、譲渡した年の翌年以後3年以内に繰り越して控除することも可能です。

なお、「譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」と住宅借入金等特別控除制度(住宅ローン控除)は、併用可能です。

【適用の条件】
・自分が住んでいるマンションであること
・以前に住んでいたマンションの場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する1231日までに譲渡すること
・譲渡する年の11日における所有期間が5年を超えるマンションであること など

【適用外となるケース】
・繰越控除を適用する年の1231日において、新居宅について償還期間10年以上の住宅ローンがない場合
・合計所得金額が、3,000万円を超える場合 など

さらに、以下の特例をマンション売却の前年および前々年に適用した場合も、適用外となります。

・居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例(措法313)
居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例を除きます。)
・特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法362)
特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法365)

国税庁:No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

買い換え特例

居住用のマンションを20231231日までに売却し、別のマイホームに買い換えた際に、譲渡益に対する課税のタイミングを次の売却時まで延期できる特例です。

例えば、1,000万円で購入したマンションを4,500万円で売却し、6,000万円のマンションに買い換えた場合、通常は3,500万円(4,500万円-1,000万円)の譲渡益が課税対象になります。

しかし、買い換え特例が適用されると、売却した年には3,500万円へ課税されず、買い換えた6,000万円のマンションを将来売却したときに、譲渡益に対する課税が繰り延べられるのです。

仮に、買い換えた6,000万円のマンションが8,000万円で売却できた場合、8,000万円-6,000万円=2,000万円に、1つ目のマンションの譲渡益3,500万円が足された、「5,500万円」が課税対象となります。

【適用の条件】
・売ったマイホームと買い換えたマイホームは、どちらも日本国内のものであること
・売却代金が1億円以下であること
・売り手の居住期間が10年以上であり、なおかつ、売却した年の11日において、売却したマンションの所有期間が10年を超えるものであること など
20231231日以前に建築確認を受けているもの
2024630日以前に建築されたもの など

国税庁:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例

マンション売却の税金にまつわるQ&A

マンション売却をする際には、税金に関してさまざまな不安や疑問が出てくるものです。マンション売却の税金でよくある質問とその答えを、以下にまとめました。

Q.マンション売却の税金の申告はいつ?

マンションを売ることで生じた譲渡所得や税額は、「譲渡の日」の翌年216日~315日までに確定申告します。

「譲渡の日」とは、売買などの譲渡契約に基づき、マンションを買い手に引き渡した日を指します。また、売買契約などの効力が発生した日を、「譲渡の日」として確定申告することも可能です。ここでいう効力が発生した日とは、一般的な契約締結の日を指します。

なお、マンションを売却した人が出国または死亡した場合、確定申告の期限は以下のように変わります。

・出国する場合:出国まで
・死亡した場合:相続人が、相続開始のあったことを知った日の翌日から4ヵ月以内

Q.譲渡所得税の納付期限はいつ?

所得税は、確定申告と同時期に税務署もしくは金融機関で納付します。一方で住民税は、確定申告した年の5月以降に税額が決まるため、届いた納付書を用いて市区町村役場の窓口や金融機関などで支払う仕組みです。

住民税の場合、クレジットカード払いに対応している自治体もあります。詳細は、お住まいの各自治体に確認してください。

Q.相続したマンションの相続税は取得費に含められる?

相続もしくは遺贈で取得したマンションなどの財産を、一定期間内に譲渡した場合、相続税額の一部を取得費に加算できる特例があります。

【適用の条件】
1.相続や遺贈により財産を取得した者であること
2.その財産を取得した人に相続税が課税されていること
3.その財産を、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

この特例の適用を受けるには、所轄の税務署に、一定の書類を添えて確定申告をする必要があります。

特例の詳しい内容が知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

相続した不動産を売却する際の税金手続きはどうなる?相続時の注意点を解説!

まとめ

マンション売却にかかる税金には、大きく分けて以下の3つがあります。

・印紙税
・登記免許税
・譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税)

そのうち、譲渡所得税は、マンションの売却益によって高額になる可能性があります。マンションの売却による税金を抑えたい場合は、以下の控除や特例を活用できるように準備を進めるとよいでしょう。

3,000万円の特別控除の特例
・所有期間10年超の軽減率
・譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
・買い換え特例

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