不動産売却コラム

公開日:2024.02.09 / 更新日:2024.02.09

マンションの耐用年数や寿命は何年?長く住めるマンションの特徴を解説

マンションの耐用年数は、建物の寿命とは異なります。マンションを購入予定の方や、すでに所有している方で「このマンションはいつまで住めるのか」と気になったら、マンションの耐用年数ではなく寿命を調べるようにしましょう。

ここでは、マンションの耐用年数や、実際に住める寿命、また長く住めるマンションの特徴などについて解説します。

マンションの耐用年数と寿命はどう違う?

耐用年数とは、その資産の価値がどれだけ続くかを表した法律上の年数で、法定耐用年数とも呼ばれます。マンションや一戸建などの建物では、耐用年数を用いて減価償却の計算が行なわれています。

ただし、耐用年数は税額の算出に用いられる法律上の数値であり、建物本来の寿命を表しているわけではありません。耐用年数を過ぎたマンションでも、適切な管理や修繕が行なわれていれば、建物寿命はまだ残っているでしょう。

マンションの法定耐用年数とは

マンションの法定耐用年数とは、鉄骨鉄筋コンクリート造や、鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数のことです。

建物の法定耐用年数は構造や用途によって異なり、木造の一戸建なら22年、マンションなら47と定められています。

構造や用途別の法定耐用年数は、以下のとおりです。

参照:国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)

マンションの寿命とは

マンションの寿命とは、建物として使用できる実際の年数です。耐用年数が構造や用途により一律で定められているのに対し、寿命はマンションごとに異なります。

鉄筋コンクリート造建物の寿命に関する研究をまとめた国土交通省の資料によると、鉄筋コンクリート造住宅の平均寿命は68といわれています。適切な管理や修繕を行なえば、寿命が100年以上に延びることも珍しくありません。

以下資料では、適切な管理・修繕でマンション寿命は最長120年ほどに延び、外装仕上げ次第では150年まで住めるといわれています。

参考:国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書取りまとめ後の取組紹介

寿命を迎えたマンションは、建て替えや取り壊しが必要です。2024年現在では、1950年代に建てられたマンションの多くは平均寿命が近づいており、建て替えや取り壊しの対象となるでしょう。

なお、建物自体が寿命を迎えていないマンションでも、1981年以前に建てられ、新耐震基準を満たしていない場合、建て替えや取り壊しの対象になることもあります。

マンションの寿命を決める要素

マンションの長期修繕計画が適切でなく、管理状態に問題があると、平均寿命よりも早く建て替えや取り壊しが必要になる場合もあります。

では、マンションの寿命はどのような要素から決まるのでしょうか。マンションの寿命を左右しやすい3つの要素を解説します。

建物の耐震性

1981年以前に採用されていた「旧耐震基準」は、震度5強程度の地震で倒壊しないための耐震基準です。

そのため、旧耐震基準で建てられたマンションは、現行の新耐震基準(震度6強~7程度に対応)を満たした構造よりも、倒壊の可能性が高いといえます。

マンションの耐震改修には多額の工事費がかかるため、古いマンションのなかには耐震改修工事をせずに、解体や建て替えを行なうものもあるでしょう。

コンクリートの劣化具合

マンション建設が活発だった高度経済成長期は、品質の悪いコンクリートで建てられたマンションもありました。こうしたマンションではコンクリートの劣化が起きやすく、雨漏りが頻発する可能性があります。

また、コンクリートの劣化に応じて適切な補修や対策が行なわれていない場合は、さらに劣化が進行しやすいでしょう。適切な管理が行なわれていないマンションではコンクリートの劣化が広範囲におよび、マンションの寿命を縮めることになります。

給排水管の状態

高度経済成長期に建てられたマンションのなかには、給排水管をコンクリート中に埋め込んでいたり、居住階の天井裏を通していたりするものもあります。

このような構造の場合、取り替え工事ができない給排水管が寿命を迎えたことで、やむをえずマンションの建て替えを行なうケースもあるでしょう。

給排水管の寿命は長くても30ほどといわれていて、築30年を超えるマンションでは給排水管が寿命を迎えている可能性が高くなります。

長く住めるマンションを見分けるポイント

これからの住まいを考える際、「このマンションはあと何年住めるのか」と気になる方もいるでしょう。マンションの寿命を知るには、単なる築年数や目に見える部分だけでなく、管理状態や構造をよく確認することが大切です。

ここからは、長く住めるマンションを見分けるポイントを解説します。

日常的な管理が行き届いているか

中古マンションの寿命を調べたいときは、マンション全体が適切に管理されているか確認しましょう。

日常的な管理が行き届いているマンションは、目に見えない部分のメンテナンスも行なっている可能性が高く、比較的寿命が長いといえます。

廊下や駐車場、ゴミ置き場などの共用部分が汚れていないかを確認します。柵や手すりなどの金属部分に錆がないか、排水口にゴミや汚れがたまっていないかなどもチェックしてください。

また、貯水槽があるマンションでは年に1の貯水槽点検が義務のため、最低でも年に1回、適切な点検が実施されているかチェックしましょう。点検では、おもに汲み上げポンプが清潔かどうかや、水槽の検査、保健所への報告などが行なわれています。

2000年改正の新・新耐震基準を満たしているか

中古マンションを購入する際は、必ず耐震基準を確認しましょう。耐震基準からは、その建物がどの程度の地震に耐えられる構造なのかを把握できます。

耐震基準は定期的に改正が行なわれているため、建物の竣工日によっては古い耐震基準で建てられている場合があります。このようなマンションでは、耐震性能を上げるために大規模な改修工事が必要になる可能性もあるでしょう。

中古マンション購入時は、耐震基準の新旧だけでなく、2000年に改正された「新・新耐震基準2000年基準)」を満たしているかどうかチェックしてください。

コンクリートの状態はどうか

コンクリートは空気中の二酸化炭素の影響で劣化し、劣化が進むとコンクリート中の鉄筋に錆が発生します。鉄筋の錆は建物の劣化につながりますが、錆を防ぐにはコンクリートのメンテナンスが必要です。

マンションのコンクリートの状態を調べるには、外壁やベランダに塗装の剥がれやひび割れがないか確認しましょう。一般的に、コンクリートは塗装が剥がれた場所からひび割れが起こるため、このような箇所は早急に補修することが望ましいです。

コンクリートのひび割れが長年放置されている場合、劣化が進行している可能性が高く、雨漏りのリスクがあります。

配管のメンテナンスがされているか

マンションのコンクリートや構造に問題が見られなくても、配管に不具合があると、建物が劣化しやすくなります。

中古マンションを見る際は、必ず配管のメンテナンス状況も確認しましょう。マンション全体の配管類がどれだけ維持管理しやすい構造になっているかどうかで、マンションの寿命が変わるといっても過言ではありません。

例えば、コンクリート内に配管が埋め込まれている構造の場合、配管の取り替え工事ができないため、配管の寿命=マンションの寿命となってしまいます。

給排水管には、腐食や錆に強いものや、パッキン交換だけで半永久的に使用できるものなどさまざまな種類があるため、どのような配管が使用されているのかも併せて確認するとよいでしょう。

劣化対策等級を確認する

住宅性能表示制度により評価を受けたマンションでは、住宅性能評価書から建物の状態を詳しく確認できます。

住宅性能表示制度とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて、国に登録のある専門家が住宅性能を評価する制度です。評価結果では、以下の10分野それぞれで等級や数値が出されます。

マンション全体の維持管理状況や、建物の寿命を知りたいときは、住宅性能評価書から「劣化対策等級」を確認しましょう。劣化対策等級は13の等級に分かれ、評価を受けた等級から以下のようなことを読み取れます。

・劣化対策等級
等級1……建築基準法に定められた最低限の対策が講じられている
等級2……通常の自然条件や維持管理のもと、2世代(5060年程度)長持ちする対策が講じられている
等級3……通常の自然条件や維持管理のもと、3世代(7590年程度)長持ちする対策が講じられている

中古マンションの購入時は耐用年数に注意しよう

中古マンションの購入で住宅ローンを利用する場合は、マンションの法定耐用年数と築年数に注意しましょう。金融機関によっては、中古マンション購入時の住宅ローン借入期間が「法定耐用年数を超えない期間」でしか設定できない場合があるためです。

先述のとおり、鉄筋コンクリート造マンションの耐用年数は47年のため、築年数が経過しているマンションほど住宅ローンの借入期間は短くなります。

(例)築年数20年の中古マンションの住宅ローン借入期間
47年-20年=27年

借入期間が短くなると月々の返済額が大きくなるため、中古マンション購入時は何年の住宅ローンが組めるのか事前に確認し、慎重な資金計画を立てましょう。

まとめ

マンションの耐用年数は、マンションの価値を算出するために定められた法律上の数値であり、実際の建物の寿命とは異なります。鉄筋コンクリート造住宅の平均寿命は68年といわれており、適切なメンテンスを行なっていれば100年を超えることもあるでしょう。

これからの住まいにマンションを選ぶ際は、物件情報では確認しづらい維持管理の状況もしっかり比較し、長く住める物件かどうかを見極めることが大切です。

無料 不動産売却を相談してみる

一覧に戻る

不動産売却

豊富な取引実績とこだわりのサービスで
希望の不動産売却をサポート。

クイックAI査定

ご所有マンションの情報を入力するだけで、
AIが瞬時に売却可能性の高い見込額を査定します。

明和地所の仲介
お問い合わせ 総合窓口