不動産売却コラム

リロケーションとは?メリット・デメリットと失敗しないためのポイントを解説

転勤で長期間家を空けることになった場合、留守中の自宅をどのように扱うべきなのか迷ってしまうかもしれません。せっかく不動産を持っているなら、そのまま放置せずに有効活用したいところです。

使わない自宅で収益を得たい方、管理の負担を軽減したい方は、リロケーションを検討してみてはいかがでしょうか。この記事ではリロケーションのシステム、メリットやデメリット、失敗しないための注意点について解説します。

リロケーションとは

リロケーションとは、使用しない自宅を期間限定で他人にレンタルすることです。例えば、転勤や帰省で長期的に自宅を離れる場合、賃貸物件として貸し出すことで家賃収入を得られます。期間限定の賃貸借契約であるため、契約満了後には自宅へ戻ることが可能です。

リロケーション物件=定期借家

リロケーション物件として貸し出す場合は、「定期借家」として契約を行ないます。定期借家とは、最初から契約期間の定めがある賃貸物件のことです。

借地借家法の改正によって定期借家が可能となったため、リロケーションに注目が集まるようになりました。

サブリースとの違い

リロケーションと内容が似ているのが、不動産経営の手段として使われている「サブリース」です。リロケーションとサブリースは契約形態や契約期間、補償内容が異なるため、違いを理解したうえで検討する必要があります。

サブリースは、サブリース業者と不動産の所有者が賃貸借契約を行ない、入居希望者に物件を貸し出すシステムです。いわゆる「転貸」のため、契約や管理の当事者となるのはサブリース業者となります。リロケーションの場合は「転貸」だけでなく、入居者と直接契約を行なうケースがあるのもポイントです。

リロケーションの契約期間は23年ほどが基本ですが、サブリースでは数年から数十年単位の長期契約となります。管理会社ごとに保証内容が異なるリロケーションに対して、サブリースでは家賃保証・滞納保証が付くのが一般的です。

リロケーションのメリット

リロケーションのメリットは、以下のとおりです。

留守中に家賃収入が得られる

リロケーションの最大のメリットは、留守中にも定期的な家賃収入を得られることです。

自宅を離れている期間中も、固定資産税・都市計画税、住宅ローンの返済などの負担が続きます。せっかくの自宅を誰にも貸し出さないまま放置するよりは、リロケーションを行なうのがおすすめです。リロケーションで得た家賃収入を税金や住宅ローンの支払いに充てることで、費用負担を抑えられるでしょう。

家のダメージを避けられる

空き家の状態で放置し続けると、家の老朽化や経年劣化が急速に進んでいきます。自宅を長持ちさせるという意味でも、リロケーションで誰かに住んでもらうのがおすすめです。

人が住んでドアや窓を開け閉めすることで、適度な換気が行なわれて、カビ・ダニの発生を防ぐことができます。入居者がキレイ好きであれば、こまめに掃除もしてもらえるでしょう。給排水設備も利用してもらえるため、虫の侵入や悪臭、建材の劣化などを防げます。

防犯対策になる

長期間留守にすると、人の目が届かない空き家として認知され、不法侵入や放火などのリスクが高くなります。リロケーションで誰かに住んでもらえれば、このような犯罪リスクを抑えられるでしょう。

なお、入居者が決まっていない期間中も、リロケーションの管理会社に依頼しておけば代わりにメンテナンスしてもらえます。

戻ったときの明け渡しがスムーズ

自宅を第三者に貸し出すとなると、戻りたいときに家を明け渡してもらえるのか、心配する方が多いでしょう。会社都合の転勤の場合は、自宅に戻れるタイミングを予想できないケースも多々あります。

リロケーションは契約期間が決まっているので、期間が満了した時点で契約は終了です。状況に応じて再契約は可能ですが、基本は借主の希望が優先となります。

通常の賃貸物件は「普通借家契約」であるため、貸主が自宅に戻りたいと思っていても、正当な理由がない限りは契約更新を拒否できません。

将来的に戻ってくる予定があるなら、明け渡しのスムーズなリロケーションのほうが安心です。

リロケーションのデメリット

続いては、リロケーションを利用するにあたって注意すべきポイント、デメリットについて解説します。

入居希望者が少ない

リロケーションはあらかじめ賃貸期間が決まっているため、借主側としては借りにくいのがデメリットです。契約期間が23年と短いため、条件が合う人が少なくなってしまいます。

リロケーションの期間が短い場合は、入居者がなかなか見つからないまま期間終了となるケースもゼロではありません。

賃料が安くなる

リロケーション物件は期間限定の契約のため、一般的な賃貸物件の相場より12ほど賃料が安くなる傾向にあります。前述したとおり需要が少ないため、一般的な賃貸物件の相場よりも賃料を安くして、借りやすくする必要があるのです。

ただし物件が駅近で利便性が高い場合や、賃貸期間が長めに設定されている場合は、通常の賃貸物件と同程度の賃料に設定できます。

住宅ローン控除が利用できない

住宅ローンの返済中には、リロケーションを行なっても住宅ローン控除が適用されません。

そもそも住宅ローン控除は、契約した本人か家族がその物件に住んでいる必要があります。家族が一人でもその家に残っていれば適用されますが、全員で他の家に引っ越した場合は適用対象外です。

一度リロケーションで他人に貸した場合でも、期間満了後に再入居すれば、条件次第で再適用が認められます。

リロケーションの始め方

リロケーションを始めようとしたとき、基本の流れを知っているかが重要です。失敗して損をしないためにも、リロケーションのおおまかな流れを押さえておきましょう。

リロケーション事業者選び・契約

まずは、リロケーションの管理会社選びからスタートします。個人で完璧にリロケーションを管理するのは難易度が高いので、専門の管理会社に依頼するのが一般的です。

管理会社ごとに料金やサービスの詳細が異なるため、複数の会社を比較してみましょう。過去の実績を確認しながら、候補の管理会社を絞っていきます。なお、問い合わせる際には、担当者の対応も併せてチェックしてみてください。

賃料・入居条件などの決定

管理会社と契約を済ませたら、賃料や賃貸期間などの入居条件を決定します。借主を早く見つけるために条件を緩めるべきなのか、好条件の物件として強気の家賃設定にするのか見極めが重要です。

わからない部分は管理会社に相談をしながら、詳細を決めていきましょう。

リフォーム・クリーニング

賃貸物件として貸し出すために、ホームクリーニングを行ないます。築年数の経過で劣化が進んでいる場合は、このタイミングで修繕工事やリフォームを行ないましょう。

修繕工事やリフォームの必要性について知りたいときは、リロケーションの管理会社に聞いてみるのがおすすめです。

入居者を募集

自宅が貸し出せる状態になったら、入居者の募集へと進みます。不動産の所有者と管理会社が代理委託契約を結ぶ場合、基本的には管理会社が募集活動を行ないます。

もちろん、入居者が決まるまで毎月の家賃収入は得られません。そのため、リロケーション物件の入居者を募集する際は、管理会社の力量がおおいに試されるのです。

入居者と契約

入居者が無事に見つかったら、入居条件の確認や支払い能力の審査が行なわれます。賃貸借契約を締結したら、いよいよリロケーションのスタートです。

リロケーションの契約方式

リロケーションの契約方式には、「代理委託方式」と「転賃借方式」の2種類があります。契約方式によって自分の立場や責任の有無が変わってくるため、よく調べたうえで自分に合うほうを選択しましょう。

代理委託方式

リロケーション物件の契約として一般的なのは、代理委託方式のほうです。代理委託方式では、管理会社が貸主の代理人となります。賃貸借契約は貸主と借主の間で締結され、管理会社が仲介に入る形です。

管理会社は賃貸借契約を取り交わさないため、クレームや裁判の対応は貸主が行なう必要があります。契約上のトラブルは貸主・借主の間で解決しなくてはならない点、追加の費用負担が発生する可能性がある点に注意が必要です。

なお、物件の管理責任は管理会社にあるので、貸主が遠方に住んでいる場合も安心して任せられます。ゴミ捨て場の掃除や庭の管理のために、わざわざ定期的に様子を見に行く必要はありません。

転貸借方式

転賃借方式とは、管理会社と借主が賃貸借契約を結ぶ方法のことです。「一括借り上げ方式」とも呼ばれる方式で、物件の所有者は賃貸借契約の当事者にはなりません。

物件を他者に貸し出す期間中に、物件の管理や契約上のトラブルが起きた場合は、貸主ではなく管理会社がすべて対応します。

代理委託方式と転賃借方式のどちらを選ぶか迷ったときは、トラブル発生時に自分で解決したいのか、という観点で選んでみましょう。遠方に住んでいて直接現場を確認できない方、トラブル対応に時間を取られたくない方は転賃借方式がおすすめです。

リロケーションにかかる費用

ここでは、リロケーションに必要な費用について解説します。管理会社やサービスごとに負担の程度が変わってくるため、契約前に入念な確認が必要です。初期費用だけでなく、長期的にかかる賃貸期間中の費用についても、しっかりとチェックしておきましょう。

初期費用

● ホームクリーニング、リフォーム費用
建物の老朽化や経年劣化が進んでいる場合は、リフォームが必要です。リロケーションの管理会社からアドバイスをもらいながら、どの部分をリフォームすべきか検討しましょう。

● 入居者募集にかかる費用
入居者の募集を始める際に、管理委託申込料がかかります。管理委託申込料が無料の管理会社もありますが、サービス内容や追加費用についての確認が大切です。

入居者が決定したら、事務手続きの費用、保証金(契約終了時の原状回復費用)を用意します。

賃貸期間中の費用

● 管理委託料
入居開始の時点から、管理委託料が発生します。管理委託料の目安は賃料の35程度です。

● 修繕費
賃貸物件の設備が損傷した場合、基本的には貸主が修繕費用を負担します。ただし、借主の失敗で損傷したとき、通常の使用範囲以上の使い方をしたときは借主の負担です。

● 維持費
建物を維持するために、火災保険料、固定資産税・都市計画税などの税金、マンションの管理費などが必要です。

リロケーションの注意点

リロケーションにはたくさんのメリットがありますが、気を付けたいポイントもあります。以下の注意点をよく確認してから、契約をするようにしましょう。

住宅ローンが残っている場合は金融機関の許可が必要

住宅ローンを利用する際、「自己居住用」という条件を満たす必要があります。自分や家族が居住するための住宅に限り、住宅ローンを組めるというわけです。

住宅ローンを組んでいる賃貸住宅は、リロケーション物件として勝手に第三者に貸すことはできません。ローンの組み直しや一括返済を通告されるケースもあるため、十分に注意してください。リロケーションを希望するのであれば、融資を受けている金融機関に相談し、許可を得てからにしましょう。

確定申告が必要

リロケーションで得た家賃収入が年間20万円超の場合は、確定申告の手続きが必要です。家賃収入は不動産所得として扱われます。会社で年末調整を行なっている場合も、確定申告は必要です。

なお、リロケーションで家賃収入を得た場合でも、必要経費を差し引いた結果、赤字となるケースがあります。この場合は確定申告で損益通算をすることで、黒字分から赤字分を差し引くことが可能です。

賃貸契約の継続・終了は契約期間満了の6ヵ月前まで

定期借家契約を修了する場合は、借主に対して契約満了の6ヵ月前までに書面での通知が必要です。賃貸契約を継続する場合は、更新ではなく再契約を行ないます。

6ヵ月前の通知を忘れた場合は、終了通知を出した日から6ヵ月後が満了日です。契約終了後の明け渡しを予定しているなら、通知を忘れないようにしましょう。

途中解約ができない

リロケーションでは、原則として貸主からの途中解約ができません。自宅に戻るタイミングが予定よりも早まった場合は、契約満了まで仮の住居を用意してください。借主との協議で合意を得た場合に限り、期間中の解約も可能です。

「家族の誰かが先に戻るかもしれない」「短期間でもとの住まいに戻る可能性がある」という場合には、特に気を付けましょう。リロケーションを利用する際は、先々の動きも予測したうえで始めることが大切です。

リロケーションで失敗しないためのポイント

リロケーションを行なう際に大きな失敗をしないためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。

信頼できる管理会社を選ぶ

リロケーションの場合、自宅と借主の管理全般を管理会社に一任することになります。特に入居者をスムーズに集められるか、という点については管理会社の力量が影響するものです。

管理会社を選ぶ際には、リロケーションの実績が豊富なところを選ぶようにしましょう。最低契約期間・期間変更の規定、手続き代行サービスの有無など、細かい点まで確認が必要です。担当者と実際に話してみて、信頼できそうな管理会社を選択してみてください。

早めに準備を始める

リロケーション物件は通常の賃貸物件よりも、入居者が決まりにくい傾向にあります。そのため、転勤や帰省の予定が決まった段階で、早めに行動を起こすようにしましょう。

リロケーションの管理会社を決めるだけでも、それなりの時間がかかります。管理会社選びを適当にすると、入居者がなかなか決まらなかったり、当初の予定以上に費用がかかったりで後悔することになりかねません。リノベーションやリフォームを検討している場合は、なおさら早めに準備を進めることが大事です。

まとめ

自宅を長期間空き家にする予定の場合は、メリットの多いリロケーションを検討してみてください。基本の流れや注意点をあらかじめチェックしておくことで、大きな失敗は防げます。

リロケーションで自宅を貸し出す際には、最初の価格設定が重要です。一般的な賃貸物件の相場の12割が目安となりますが、そもそも参考にすべき相場がわからないこともあるでしょう。

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