公開日:2023.11.01 / 更新日:2023.11.02
不動産(マンション)の売却に必要になる書類14種類の取得方法や取得タイミングについて解説

マンションの売却で面倒に感じる方が多いのが、売却に必要な書類の用意です。なかには、取得に時間がかかるものもあるため、仕事や子育てなどと並行して準備を進めるのは骨が折れるものです。
書類準備で大切なのは「必要なタイミングに」書類が手元にあるよう準備をしておくことです。この記事では、マンション売却の際の書類準備で、具体的にいつまでに何が必要なのか、取得方法も合わせて詳しく紹介します。
マンションの売却に必要な書類は最大で14種類
マンションの売却に必要な書類は、査定前に用意したいもの、売却手続きまでに用意したいもの、特殊な条件の場合に用意したいものを合わせると最大で14種類ほどになります。
●登記簿謄本(登記事項証明書)
●売買契約書(重要事項説明書)
●建物の図面もしくは設備仕様書
●登記済証(権利証)もしくは登記識別情報通知
●固定資産税等納付通知書もしくは固定資産評価証明書
●本人確認書類
●印鑑証明書
●住民票
●振込先口座がわかる通帳
●マンションの規約などをまとめた書類(管理規約・議事録)
●重要事項調査報告書
●ローン残高証明書(残高がある場合)
●耐震診断報告書(1981年5月以前の物件の場合)
●アスベスト使用調査報告書(2006年8月以前の物件の場合)
このなかには、取得に1週間から2週間程度の期間がかかるものも存在します。また、マンションの購入時に渡されているはずですが、行方不明になっている書類があるかもしれません。必要書類は、売却を検討し始めた時期から余裕を持って準備を進めておきましょう。
実際の売却で必要になる書類はケースによって異なります。まずは仲介会社に確認して「自分の場合のリスト」を作ると確実です。
査定前に用意したい必要書類

査定時に必要な書類や、あるとよりスムーズに査定が進む書類を3種紹介します。
登記簿謄本(登記事項証明書)
不動産の所有者であることや、売買に問題のない物件であることを証明するために、登記簿謄本(登記事項証明書)が必要です。
登記とは、法務局に登録されている不動産の場所や広さ・構造、権利関係などを外部に示す情報のことです。一般公開されており、たとえ他人の不動産であっても、登記の記録を閲覧できます。
以前は紙の「登記簿」で保管されていたため、登記簿謄本(登記簿のコピー)と呼ばれていますが、現在はデジタルデータ化されており、単に「登記事項証明書」と呼ばれます。基本的にはどちらも同じものと考えて問題ありません。
登記簿謄本は、どの範囲の情報を取得するかによって、いくつか種類が存在します。

不動産取引では通常の場合、全部事項証明書を利用します。ただし、マンションの場合は土地が住人全員の共有名義になっている関係で記録が膨大になりやすいです。そのため、一部事項証明書で済ませることもあります。
登記簿謄本は、最寄りの法務局窓口で取得でき、他都道府県のものも取得可能です。郵送やオンラインでの申請も可能なので、手の空いたタイミングで申請しておきましょう。窓口であれば即日発行が可能で、郵送の場合は1週間程度で手元に届きます。
なお、登記簿謄本の申請には、法務局独自の住所や識別番号である「地番」が必要です。地番は法務局に備え付けのブルーマップに記載されているほか、電話で聞くことも可能です。各法務局のWebサイトに、地番照会用の電話番号が掲載されているため、そちらに問い合わせてみてください。
購入した時の売買契約書(重要事項説明書)
マンションを購入した際の売買契約書も、査定の際に用意しておきましょう。購入時の諸条件が記載されており、価格の参考になるほか、家の状態を推測できます。
売買契約書は、購入時に売り主と買い主で一通ずつ保管しているはずなので、まずは自宅を探してみてください。もし紛失してしまった場合は、当時の仲介会社や、購入時の売り主からコピーをもらえることもあります。当時の売り主が不動産会社の場合、10年程度であれば売買契約書を保存している可能性が高いため、問い合わせて確認してみてください。
また、不動産に関する注意事項を記した重要事項説明書も一緒に保管されている場合は、査定をする際に参考になるので、用意するようにしましょう。
建物の図面もしくは設備仕様書
建物の平面図や、設備仕様書など、部屋の概要がわかる図面があればそちらも用意しておいてください。
建設時の図面があれば、間取りなどの詳細を正確に把握できます。設備仕様書がある場合、マンション建設時の工事や、リフォーム工事で使用された資材や素材のメーカーや品番までわかるため、より正確に査定を行なうことができます。
マンションの図面は通常、売買契約時に受け取っているため、売買契約書と同じ場所に保管している可能性があります。紛失した場合は、管理組合や設計事務所が保有している図面を発行してもらえないか相談してみてください。
マンションの売却から引き渡しまでに必要になる書類

マンションの売買契約締結から、引き渡しの手続きまでに必要となる書類を9種類紹介します。
登記済み権利書もしくは登記識別情報通知
登記済み権利書および登記識別情報は、不動産を取得し所有権の移転を受けた際に法務局から発行される、不動産の所有者であることを証明するものです。
不動産売買では、所有者の証として提示が求められ、移転登記に必要となります。
以前は紙の権利書が発行されていましたが、2005年3月からは、12桁の暗証番号が登記識別情報として発行されるようになりました。現在は、こちらが権利書に代わって所有者の確認に使用されています。所有権移転の手続きののち、法務局より郵送で通知書が発行されます。
いずれの場合も、購入時の所有権移転登記のあとに受け取っているはずですので、まずは自宅を確認してみましょう。紛失した場合はいくつか代替の所有者確認の方法がありますが、売買においては司法書士など資格者代理人による確認で代用することが一般的です。
固定資産税等納税通知書もしくは固定資産評価証明書
固定資産税等納税通知書や、固定資産評価証明書は、不動産にかかる固定資産税額と、その支払い額を示す書類です。
固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者に対して支払い義務が発生します。年の途中での売却では、すでに売り主が全額支払っているため、買い主が売買時期に応じた割合で「固定資産税清算金」を支払うことで、固定資産税の負担を調整します。また、売買契約後の引き渡し時にいくら必要になるのか、買い主側が判断する材料にもなります。
対象の物件が市街化区域に位置している場合、都市計画税に関しても清算が必要です。この場合、納税通知書は固定資産税と同じ書類にまとめられていることがほとんどです。
手元に納税通知書がない場合、物件所在地を管轄する市区町村役場の税担当窓口で、固定資産評価証明書を取得してください。窓口なら即日発行が可能で、郵送の場合は1週間から2週間ほどで届きます。
本人確認書類
売買契約締結時に、本人による売買であることを証明するため、身分証明書が必要です。次のようなものを用意しておきましょう。
● 運転免許証
● パスポート
● 住民基本台帳カード
● マイナンバーカード
● 健康保険証
● その他顔写真付きの公的証明書
印鑑登録証明書
印鑑登録証明書は、印鑑の印影と所有者を紐づけるための証明書です。不動産売買では、印鑑の有効性を担保し、本人による取引であることを確認するため必ず必要となります。
印鑑登録証明書は、市区町村役場の担当窓口で取得できますが、市区町村によってはコンビニのマルチコピー機で取得できることもあります。コンビニで発行する場合はマイナンバーカードが必要です。
印鑑登録を行なったことがない場合や、印鑑登録証明書を紛失してしまったときは、印鑑の登録・再登録が必要です。市区町村役場の窓口で手続きすれば即日で登録・発行できます。
住民票
不動産の住所と売り主の現住所が異なる場合、住民票が必要です。市区町村役場の窓口や郵送で申請できます。市区町村によっては、コンビニのマルチコピー機で発行でき、こちらもマイナンバーカードが必要です。
窓口やコンビニの場合は即日発行が可能です。郵送で取り寄せるケースでは、1週間程度は余裕を持っておきましょう。
振込先口座がわかる通帳
マンションをはじめとした不動産売買では、手付金は現金で支払い、決済時の代金は口座送金という形をとるのが一般的です。そのため、決済のときには預金通帳など振込先のわかるものを必ず持参してください。
基本的に、振込先の銀行を指定されることはありませんが、取引に使いたい口座の預け入れ上限金額に注意してください。不動産売買のお金のやりとりは金額が大きいため、口座によっては預金額の上限を超過することがあります。
マンションの規約などをまとめた書類(管理規約・議事録)
管理規約や議事録など、マンションで暮らす際の規約をまとめた書類も必要となります。規約には、マンションの運営にあたるルールのほか、生活するうえで、住人が順守しなければならない具体的なルールも盛り込まれています。例えば、ペットの飼育に関する規則や民泊利用の可否、ベランダでのタバコの取り扱いなどです。
購入後の生活に深く関わるものですので、買い主が内容をチェックできるよう用意しておきましょう。
マンションの管理規約は、通常は購入時に発行されています。手元にない場合は仲介会社が手配してくれるため、紛失したことを連絡しておきましょう。
重要事項調査報告書
重要事項調査報告書は、マンションの運営に関わる重要事項が記載された書類です。具体的には、管理費や修繕積立金の回収状況や、運用状況、その他、大規模修繕の実施状況などが書面で報告されています。
マンションの売買においては、重要事項調査報告書の内容は、売却時に仲介会社が行なう重要事項説明で必須となります。
こちらも、手元にない場合は仲介会社が手配してくれます。
ローンが残っている場合:ローン残高証明書
住宅ローンを完済しておらず、マンションを売却した際に代金で一括返済を行なう際、ローン残高証明書が必要となります。
住宅ローン残高があるケースでは、マンションを売却できるのは残債を一括返済できるときだけです。「売却が可能であること」を買い主に示す必要があるため、残高の証明書を取得しなければなりません。
ローン残高証明書は、確定申告で住宅ローン控除を利用するときにも必要なため、ローン返済中は毎年10 月から11 月頃に金融機関から郵送されます。
仮に紛失した場合でも、金融機関に連絡すれば随時再発行してもらえます。電話で依頼すれば郵送してもらえることがほとんどです。ただし、到着まで時間がかかることもありますので、余裕を持って確認しておくことが望ましいでしょう。
特殊な場合に必要になる書類
築数十年が経過している古いマンションを売却する場合、建物が現行の規則に適合したものであることを証明できると望ましいです。
マンション売買では、耐震診断に関する証明書と、アスベストの使用を確認できる書類があれば用意しておきましょう。こちらも詳しく紹介します。
1981年5月以前に作られた物件の場合:耐震診断報告書
過去に耐震診断を実施している場合、耐震診断報告書を用意しておきましょう。
地震大国である日本では、建物の耐震性について定めている「耐震基準」が、建築基準法に設けられています。耐震基準は、1981年6月1日から、現行の「新耐震基準」に変更されており、それ以前の建物は新耐震基準に適合していない可能性があります。
マンションでは定期的な確認申請により大規模修繕が実施されることが多いため、その際に耐震工事が行なわれている場合があります。ただし、建築確認申請が必要ない範囲の修繕では、現行法に適合していない可能性もあります。そのため、修繕を重ねていても耐震性は旧来のまま、ということも考えられます。
過去に耐震工事や耐震診断を行なったマンションであれば、管理組合や管理会社で、耐震性を証明する「耐震診断報告書」を保管していることが大半です。
耐震診断や工事を実施していないケースでは証明書類はありませんので、その旨を重要事項説明で買い主に伝えることになります。
2006年8月以前に作られた物件の場合:アスベスト使用調査報告書
マンションが2006年8月以前に建築されている場合、アスベスト調査報告書も用意しておくのがおすすめです。
アスベストとは、過去に日本国内で使用されていた建築資材の一種で、毛髪の直径よりはるかに細かい繊維でできています。大量に吸引するとがんをはじめとした疾患を引き起こす原因となり、事実アスベストによる健康被害は一時期社会問題となりました。
2006年9月よりあとに建築された建物には、アスベストの使用は禁止されています。ただし、古いマンションで改修工事を十分に行なっていないケースでは、アスベストが残留している可能性があります。
マンションの売買では、アスベストの使用調査の有無は、不動産会社による重要事項説明の必須事項となっており、調査の有無と内容を説明することとなっています。調査済の物件であれば買い主の安心にもつながりますので、用意しておくことが望ましいでしょう。
過去に管理組合や管理会社がアスベスト使用調査を実施しているケースでは、ほとんどの場合で報告書が保管されています。工事の安全性を担保する目的で、大規模修繕の前に調査を行なった可能性もあるため、一度問い合わせてみましょう。
使用調査が実施されていないケースでは、オーナーが個人で調査を依頼することも可能です。
まとめ
マンションの売却では、多くの書類が必要となるため、査定の直前に集め始めては間に合わない可能性もあります。まずは、いつまでにどの書類が必要かを把握し、売却を検討し始めた時点から少しずつ準備を開始しましょう。
なお、必要となる書類は建物やケースによって異なります。何が必要かわからない場合や、取得方法が不明なときは仲介会社に確認するのが確実です。
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