不動産売却コラム

公開日:2023.11.01 / 更新日:2023.11.01

【不動産売却】マンション売却のメリット、デメリットとは?契約不適合責任についても解説

マンションを所有しているが誰も住んでいない、税金や維持費の負担が大きいといった場合、対策の一つとして「マンション売却」が挙げられます。

しかし、マンション売却を検討するにあたって、メリットだけではなくデメリットも存在するのか、事前に知っておくべき注意点はあるのかなど、気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、マンション売却におけるメリットとデメリット、売り手にとって最大のリスクとなる契約不適合責任について解説します。

【不動産売却】マンション売却で得られる3つのメリット

マンション売却をすると、主に3つのメリットを得ることができます。

● 資産の現金化でまとまったお金が得られる
● 税金、維持費の負担がなくなる
● 税金の優遇、特例が受けられる

マンション売却は、現金化によるメリットだけでなく、税金などの面から見ても大きなメリットを得られます。

3つのメリットをさらに詳しく解説するので、下記も併せてご覧ください。

資産の現金化でまとまったお金が得られる

マンションを売却すれば、資産を現金化してまとまったお金を得ることができます。

もちろん、マンションの状態や地域のニーズによって売却価格は変わるので、想定より高くなることも安くなることもあります。住宅ローンの残債も差し引かれてしまいますが、それでもある程度まとまったお金を得られることは大きな魅力です。

手元に入ってきたお金は、生活費や子どもの学費に充てたり、ローン完済や買い替えの資金に充てたりするなど、売り手の目的に合わせて自由に使うことができます。

また、マンション売却とともに住宅ローンを完済すれば、ローンを組む際に加入した火災保険や地震保険の残りの年数分の保険料や、住宅ローンの保証会社に支払った保証料なども戻ってきます。

税金、維持費の負担がなくなる

マンションは実際に住んでいるかどうかを問わず、所有しているだけでも税金や維持費がかかります。必ず発生するコストを下記にまとめたので、こちらもご確認ください。

● 管理費
● 修繕積立金
● 固定資産税
● 都市計画税

具体的な金額は物件によって変わりますが、少なくとも1年あたり合計数十万円はかかるでしょう。しかし、マンションを売却すれば、これらのコストを支払う必要がなくなるのです。

マンションの売却益が入ってくることも踏まえれば、結果として金銭的負担を大きく軽減できるでしょう。

また、マンション自体を維持・管理する必要もなくなるので、各種手続きにかかる手間が省けたり、精神的負担が解消したりすることもメリットといえます。

税金の優遇、特例が受けられる

マンションを売却すると、税金の優遇措置または特例措置を受けられるケースもあります。主な事例は下記のとおりです。

● 3,000万円の特別控除
● 10年超のマンション譲渡の軽減税率
● 住居用財産の買換え特例
● 譲渡損失の特例

どの措置が適用されるかは人それぞれですが、いずれも売り手が得をするものばかりとなっています。税金が数百万円以上安くなるケースもあるため、金銭的負担の観点から考えても非常に大きなメリットといえるでしょう。

ただし、税金の優遇措置・特例措置を受ける場合、あらかじめ法令などで定められた条件を満たさなければならないので、その辺りも押さえる必要があります。

各措置の詳細をそれぞれ解説するので、ぜひチェックしてみてください。

3,000万円の特別控除

マンション売却で利益を得た場合、その利益に対して「譲渡所得税」が課税されます。これは下記に挙げている3種類の税金の総称です。

● 所得税(個人の所得に対する国税)
● 復興特別税(東日本大震災の復興のために使われる国税)
● 住民税(個人の所得に対する地方税)

マイホームの定義を満たす住居用マンションを売却した場合、譲渡所得(売却益)から最大3,000万を差し引く特別控除が受けられるケースもあります。譲渡所得が3,000万円以下の場合、譲渡所得税は0円として計算されるため、実質的に税金の負担がなくなるのです。

ただし、マンション売却後に新居を購入する場合、3,000万円の特別控除と住宅ローン控除はどちらか一方しか受けることができません。控除額が大きいほうを選択して、少しでも負担を減らしましょう。

10年超のマンション譲渡の軽減税率

売却する居住用マンションの所有期間が10年超であり、3,000万円の特別控除を受けても課税される売却益が残っている場合、特例措置として軽減税率が適用されます。税率が低くなるため、結果として税金の負担軽減につながるのです。

軽減税率の概要は下表のとおりです。

この軽減税率は原則としてほかの措置と併用できませんが、例外的に3,000万円の特別控除は一緒に受けることができます。

また、国税庁のホームページに軽減税率の計算フォームがあるので、必要に応じて活用しましょう。

居住用財産の買換え特例

買い換えにあたって売却益が発生している場合、この特例措置の対象となるケースもあります。売却する所有期間が10年超、居住期間が10年以上であり、なおかつ売却価格より高いマンションに買い替えた場合のみ適用可能です。

ただし、居住用財産の買換え特例はあくまで課税の先送りに過ぎないので、税金そのものがなくなるわけではありません。将来的に買い換えたマンションを売却する場合、適用時まで遡って課税されることになります。

また、買い換え先のマンションにも、床面積や耐震基準の要件が定められているため、そちらも確認することが大切です。

なお、課税所得がプラスのときに各特例措置を受ける場合、あらかじめ確定申告が必要なので、忘れずに行ないましょう。

譲渡損失の特例

マンションの売却価格が住宅ローンの残高を下回り、譲渡所得がマイナスになってしまう場合、譲渡損失の特例を受けられる可能性があります。適用される特例は「損益通算」「繰越控除の特例」という2つです。

損益通算とは、損失分を給与所得や事業所得から控除することを指します。一方、繰越控除の特例とは、その年の所得より譲渡損失のほうが多いとき、翌年以後3年間は譲渡損失を所得から控除することです。

これらの特例を適用すれば、譲渡損失をある程度カバーできるため、万が一のときは使わない手はありません。

なお、マンション買い換えの有無により、計算方法が変わってくる点には注意が必要です。さらに、買い換えありの場合、床面積などの要件も加わるので、そちらも押さえておきましょう。

【不動産売却】マンション売却におけるデメリット

マンション売却は金銭的なメリットをもたらす一方、下記のようなデメリットもあります。

● 売却の費用が発生する
● 希望金額で買い手が見つからない可能性もある
● 手続きに時間がかかるので売却のタイミングが難しい

これらのデメリットを知らないまま売却活動に移った場合、思わぬ損失が発生する可能性もあるため、注意しなければなりません。マンション売却を成功させるためには、メリットのみならずデメリットも把握しておくことが大切です。

売却の費用が発生する

マンション売却では、印紙税などの譲渡費用や仲介手数料が発生するため、売却価格がそのまま手元に入るわけではありません。

そして、先述したように譲渡所得が発生すると、譲渡所得税が課税される可能性も出てきます。

印紙税・譲渡所得税の税率、および仲介手数料の上限額を表にまとめました。

また、マンションを売却したら、引き渡しまでに新居を確保する必要があります。先に新居を購入したらダブルローンになるうえ、引越し費用もかかるので、あらかじめ注意しましょう。

希望金額で買い手が見つからない可能性もある

マンション(不動産)は高額な資産なので、実際に購入すべきかどうか熟考したり、ほかの物件と比較検討したりする買い手がほとんどです。そのため、早く売りたいと思っていても、すぐに買い手が見つかるとは限らず、思った以上に時間がかかるかもしれません。

もし買い手が現れたとしても、売り手が希望する価格では購入してくれない可能性もあります。なかなか買い手がつかない場合、値下げを検討しなければならないことも頭に入れておきましょう。

また、思うように売却が進まない状況が続けば、売り手にとってストレスの原因となります。マンションをいつ売却できるか正確に予測することは難しいため、スケジュールに余裕を持たせたうえでプランを立てたいところです。

手続きに時間がかかるので売却のタイミングが難しい

マンションを売却する場合、査定・媒介契約・内覧・売買契約など、さまざまな手続きを踏む必要があります。買い手が見つかるまでの期間にもよりますが、売却完了まで一般的に3ヵ月程度、早くても1ヵ月程度はかかるため、それを踏まえて対応することが大切です。

さらに、マンションは築年数・景気・地域のニーズなど、状況によって売却価格が大幅に変わってきます。そのため、できるだけ高値で売りたいなら、売却すべきタイミングを見極めて売却しましょう。

また、マンションの所有期間が5年を超えている場合、譲渡所得税の税率が大きく下がることも考慮すべきポイントです。

不動産会社のスタッフなど専門家にもアドバイスを求めつつ、適切なタイミングで売却しましょう。

マンション売買で知っておくべき契約不適合責任

マンションの売却・引き渡しが完了したからといって、売り手のリスクがゼロになるわけではありません。なぜなら買い手(買い主)に対して、売り手(売り主)は「契約不適合責任」を負うからです。

契約の解除や損害賠償請求など、マンション売却後のトラブルにも関わってくるので、こちらも確実に押さえる必要があります。

そこで、契約不適合責任の概要や売り手が負うリスク、責任を回避するための方法をまとめました。

契約不適合責任とは?

契約不適合責任とは、2020年4月の民法改正により、瑕疵担保責任に置き換わる形で制定された新しい概念です。

売買契約によって引き渡された目的物が、種類や品質を問わず契約内容に適合していなかった場合、売り主は買い主に対して責任を負うようになりました。これはマンション売却において、最大のリスクといっても過言ではありません。

以前の瑕疵担保責任は「隠れた瑕疵(=売買契約時に見つかっておらず、売買契約後に発見された住宅の欠陥や不具合)」が対象であり、事前の告知などで明らかにされていた瑕疵に対する責任は問われないものでした。

例えば、売却するマンションの開口部に雨水が侵入してしまう瑕疵があったとしても、事前に売り主から買い主に説明をしていれば、瑕疵担保責任を問われませんでした。
そのため、買い主の権利が十分に守られていないケースも多かったのです。

しかし、契約不適合責任の場合、隠れた瑕疵があった・なかったではなく、契約内容に適しているか否かで責任を問われるかが決まるので、しっかり対策を講じる必要が出てきました。

契約不適合責任で売り手が負うリスク

契約不適合責任を問われた場合、買い主は売り主に対して下記のような権利を行使できるようになります。

なお、この4つの権利のうち「追完請求権」「代金減額請求権」は、契約不適合責任で新たに追加されています。

● 損害賠償請求権
● 契約の解除権
● 追完請求権
● 代金減額請求権

損害賠償請求権は故意または過失を問わず、損害を受けた側が損害に対する請求を求める権利のことです。

契約の解除権は債務不履行(=契約上で満たした義務が果たされていない)があった際に、契約を一方的に解除できる権利のことを指します。

追完請求権とは、目的物において契約不適合の部分があったとき、しかるべき対応を求める権利です。例えば、マンションの空調設備が故障していた場合、買い主は修理や部品交換など請求できます。

代金減額請求権は、追完請求を行なっても期間内に対応されなかったとき、文字どおり費用の減額を求める権利です。例えば、マンションの空調設備の故障を修理してもらえない場合、買い主は購入費用などの減額を請求できます。

売り主側が契約不適合責任を回避するには?

マンションの売買契約書に「容認事項」を入れることで、売り主は契約不適合責任とそれに随伴するリスクを回避できるようになります。

例えば、水まわりに関する容認事項として「水漏れがあった場合、買い主の負担で修繕する」などと記載すれば、もし水漏れが起こっても売り主は責任を問われません。買い主が契約にあたって容認している以上、契約不適合にはならないからです。

特に水道設備・電気配線・断熱材・屋根など、経年劣化しやすい部分はトラブルも起こりやすいので、あらかじめ容認事項できちんと明記することを心がけましょう。

また、もう一つの選択肢として、宅建業者(不動産仲介会社)による買い取りもおすすめです。買い主が宅建業者であれば、契約不適合責任は対象外となります。

まとめ

マンションを売却すれば、まとまったお金が手元に入るので、生活費や学費の足しにしたり、買い換えの資金に充てたりすることができます。税金や維持費を負担する必要がなくなる、税金の優遇措置・特例措置を受けられるなど、ほかにも金銭的なメリットが得られます。

ただし、いくつかのデメリットや契約不適合責任のリスクもあるので、その対策を講じる必要があります。

明和地所では、マンション売却に関するノウハウを持ち合わせたスタッフが、お客様お一人お一人に合わせた売却プランをご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。

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