不動産売却コラム

公開日:2024.06.14 / 更新日:2024.06.14

不動産売却の注意点とは?売るときに気をつけることを時系列に沿って解説

不動産を売却する際はさまざまな注意点があり、どのような点に注意が必要なのかを理解しておくことが大切です。不動産売却時の注意点を知っておかないと、思わぬ不利益を被る可能性があります。この記事では、不動産売却の流れに沿って、注意すべき事項を詳しく解説します。

不動産を売却する際には、さまざまな注意点があります。注意を怠るとトラブルに巻き込まれたり、不利益を被ったりすることがあるため、事前にしっかりと理解しておくことが大切です。しかし、人生で不動産を売却する機会はそう多くなく、何に注意すればよいのかわからない方も多いでしょう。

この記事では、不動産売却時の注意点や気をつけることを詳しく解説します。不動産を売却する際は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産売却を決めたときの注意点

売却活動は想像以上に時間がかかり、さまざまな手続きや準備が必要です。また、売却価格や条件面など、さまざまな点でトラブルが発生する可能性もあります。ここでは、不動産の売却を決めてから、不動産会社に売却を依頼するまでの注意点を解説します。

不動産売却の方法を検討する

不動産売却を決めたら、どのような方法で売却するのかを決めることが必要です。不動産を売却する方法には、「仲介」「即時現金買取」「買取保証」「リースバック」「個人売買」の5つがあります。それぞれの方法のメリット・デメリットを把握し、最適な売却方法を選びましょう。

1. 仲介
「仲介」は最も一般的な売却方法で、不動産会社と媒介契約を締結し、不動産会社に物件の買主を探してもらう方法です。周辺地域の相場価格を踏まえた市場価格で売れる可能性が高く、少しでも高値で不動産を売却したい方に向いています。ただし、売却するまでに媒介契約締結から2~3ヵ月程度かかり、希望する金額で売れるとは限りません。

2. 即時現金買取
「即時現金買取」は、不動産会社に物件を直接買い取ってもらう売却方法です。買主を探す必要がないため、1週間~1ヵ月程度で売却できますが、売却価格は市場価格の7~8割程度になります。即時現金買取は、不動産を即時現金化したい方や売却活動をする時間がない方に向きます。

3. 買取保証
「買取保証」は、一定期間(3ヵ月程度)は仲介で買主を探し、買主が見つからなければ不動産会社に直接買い取ってもらう売却方法です。仲介で買主が見つかれば市場価格で売却できる可能性がありますが、見つからなければ市場価格よりも低い価格での買取になります。

4. リースバック
「リースバック」は、不動産を売却し、売却後は家賃を払って住み続ける売却方法です。売却価格は市場価格よりも低くなりますが、売却後もマイホームにそのまま一定期間住み続けたい方に向いています。

5. 個人売買
「個人売買」は、不動産会社を通さずに、個人間で不動産を直接売買する方法です。仲介手数料が不要で、スムーズに売却できる可能性がありますが、不動産に関する法律の専門知識が必要になります。

仲介で売却するのが一般的ですが、目的に応じて最適な売却方法を選びましょう。

不動産を売却しやすい時期を知っておく

不動産が最も売れやすい時期は2~3月といわれています。この時期に合わせて準備を始めておくと、好条件で売れる可能性が高まります。2~3月に不動産が売れやすい理由は、4月からの新年度・新学期に合わせて住宅を購入したり、買い替えをしたりするケースが増えるためです。

仲介で家を売却するには媒介契約締結から2~3ヵ月程度かかるため、2~3月に売れるようにするには、逆算して10~12月までに売却準備を始めることをおすすめします。一方で、1月と8月は不動産取引の閑散期であり、売れにくい傾向があります。

秋に売れるようにしたい場合は、8月頃から準備を始めるとよいでしょう。このように、売りたい時期に合わせて準備を始めておくと、スムーズに売却できる可能性が高まります。

不動産売却の流れと期間を把握する

不動産を売却すると決めたら、不動産売却のおおよその流れと期間を把握しておきましょう。不動産を売却する際は、不動産会社選びや買主との交渉、売買契約の締結などさまざまな手続きが必要です。

あらかじめ流れと期間を把握しておくことで適切なスケジュールを立てられ、不動産売却をスムーズに進められます。不動産売却の流れと期間は売却方法によって異なりますが、仲介による売却の流れは以下のようになります。

[仲介による売却の流れ]
①事前準備
②査定
③販売活動
④売買契約
⑤決済・引き渡し

売却するまでの期間は、準備も含めて全体では3~6ヵ月程度が目安です。一方、買取(即時現金買取)による売却の流れは以下のようになります。

[買取(即時現金買取)による売却の流れ]
①事前準備
②査定
③売買契約
④決済・引き渡し

買取の場合、不動産会社が物件を直接買い取ってくれるため、販売活動は必要ありません。したがって、仲介よりも早く売却でき、売却するまでの期間の目安は1週間~1ヵ月程度です。

これをもとに、適切なスケジュールを立ててみてください。わからないことがあれば、不動産会社に相談することをおすすめします。

不動産売却で必要となる諸費用を知っておく

不動産を売却する際は、仲介手数料や登記費用、税金などの諸費用がかかります。諸費用は売却価格の4~6%程度が目安で、どのような費用がかかるかを知っておくことが大切です。

[仲介手数料]
仲介で不動産を売却する際に、買主を見つけてくれた成功報酬として不動産会社に支払う費用です。仲介手数料は上限が決められており、「物件価格×3%+6万円+消費税(速算法)」の金額が上限になります。

例えば、売却価格が3,000万円の場合だと、仲介手数料の上限は約96万円+消費税が目安です。なお、仲介以外の売却方法では仲介手数料はかかりません。

[印紙税]
売買契約書を作成する際は、契約書に収入印紙を貼ることで印紙税を納めます。売却金額によって税額が異なり、3,000万円で売却できた場合の印紙税は1万円、5,000万円だと2万円(令和9年3月31日までは軽減税率が適用)です。なお、電子契約書には印紙税はかかりません。

出典:国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

[登記費用]
不動産売却では所有権移転登記や抵当権抹消登記が必要で、登記費用がかかります。登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、報酬の支払いが必要です。

[住宅ローン返済手数料]
住宅ローンの残債がある場合、売却時に一括返済する必要があります。一括返済時には手数料がかかることがあり、目安は1~3万円程度です。

[その他の費用]
その他の費用として、引っ越し代や譲渡所得税(不動産を売却して利益が出た場合)、測量費(確定測量が必要な場合)、解体費(建物を解体して更地にして売却する場合)などがかかる場合があります。

したがって、不動産を売却して実際に受け取れるお金は、売却価格からこれらの費用を差し引いた金額になります。

住宅ローンの残債を確認する

住宅ローンを返済中の不動産を売却する際、まず残債がいくらなのかを確認しておくことが必要です。住宅ローンを返済中でも、売却代金を充当することで完済できますが、売却金額が住宅ローンの残債以上である必要があります。

もし売却価格が残債を下回る場合、自己資金で差額を補填するか、別の方法で不足分を返済しなければなりません。売却する不動産の相場価格を調べ、残債を上回る金額で売れる可能性があるのかを把握することが大切です。

住宅ローンの残債は、借入金融機関のWebサイトや残高証明書、返済予定表などで確認できます。多くの金融機関は住宅ローンの残高照会を24時間行えるインターネットサービスを提供しており、簡単に確認できます。

売却する不動産の相場価格を調べる

どの程度の金額で不動産を売却できるかは、相場価格を調べるとおおよその目安がわかります。相場価格は不動産会社に問い合わせることでわかりますが、自分自身で調べることも大切です。

不動産会社に査定を依頼する前に、あらかじめ相場価格を調べておくと、不動産会社が提示する査定価格の妥当性を判断しやすくなり、適切な売り出し価格を決める際にも役立ちます。相場と大きく乖離した不当な査定価格を提示する悪徳業者も存在するため、詐欺被害に遭わないようにするためにも、相場価格を調べることは重要です。

相場価格は、以下の方法で調べられます。

不動産情報ライブラリ
レインズマーケットインフォメーション
不動産会社の査定サービスサイト
SUUMOなどの不動産ポータルサイト

売却の直前にリフォームはしない

リフォームをすると家が高く売れると考えるかもしれませんが、売却直前にリフォームを行うのは基本的に避けるのが賢明です。その理由は、リフォームにかけた費用が無駄になる可能性があるからです。

中古住宅を購入する多くの人は、物件の価格を優先する傾向があります。また、自分好みにリフォームすることを前提に購入するケースも多いため、事前にリフォームをしておくと必ずしも売れやすくなるわけではありません。

ただし、老朽化が進んだ古い家の場合は、リフォームをして見栄えを良くしたり、建物を解体して更地にしたりすることで、売れやすくなることがあります。リフォームするか迷った場合は、信頼できる不動産会社に相談することをおすすめします。

不動産会社に売却を依頼する際の注意点

事前準備が終われば、不動産会社に売却を依頼することになります。ここでは、不動産会社に売却を依頼する際の注意点を解説します。

売却時期と目標額を決めておく

不動産会社に査定を依頼する前に、希望の売却時期と目標額を決めておくことが大切です。目標額は、住宅ローンの残債や自分で調べた相場価格などを目安にして決めておきます。売却時期は、仲介だと売却するまでに媒介契約締結から2~3ヵ月程度かかることを考慮して希望を伝えましょう。

希望の売却時期を明確にすることで、不動産会社はその期間内に売却できるよう、最適なプランを考案してくれます。また、目標額を設定することで、不動産会社は査定価格や売り出し価格を決める際の判断材料になり、販売戦略の立案に役立ちます。

なお、急いで売りたい場合は仲介ではなく、即時現金買取やリースバックのほうがよい場合があるため、どのような方法で不動産を売却するのかを決めておくことも大切です。

信頼できる不動産会社に査定を依頼する

査定は信頼性の高い不動産会社に依頼することが重要です。相場と大きく乖離した査定価格を提示する悪徳業者も存在するため、査定を依頼する不動産会社の信頼性は重要になってきます。

信頼できる不動産会社は、過去の取引事例や不動産市場の動向を分析し、客観的な根拠に基づいた妥当な査定価格を提示してくれます。また、買主探しや価格交渉など、売却活動のさまざまな場面で親身になってサポートしてくれるため、信頼できる不動産会社を探しましょう。

不動産会社の信頼性は、不動産会社のホームページに掲載されている内容や利用者の口コミなどを参考にするとわかります。特に、宅地建物取引業の免許の更新回数が多い不動産会社は、長年にわたって営業を続けているため、信頼性を判断する材料の一つになります。

複数の不動産会社に査定を依頼する

査定を依頼する不動産会社は1社だけに絞る必要はありません。複数の不動産会社に依頼することで、査定価格の妥当性や信頼できる不動産会社であるかを判断できます。信頼できそうな不動産会社をいくつか選び、査定を依頼しましょう。

なお、不動産会社が提示する査定価格はあくまでも売却予想価格であり、査定価格で確実に売れるとは限りません。したがって、査定価格だけで仲介を依頼する不動産会社を選ぶのは禁物です。1社だけ明らかに査定価格が高い会社があった場合、根拠なく高く売り出してもなかなか売れず、結局安く売ることになるため注意しましょう。

なお、買取での売却の場合、査定価格がそのまま売却価格になりますが、買取価格は通常、仲介で売れる可能性のある市場価格よりも低くなります。

希望をきちんと伝える

不動産会社に査定を依頼する際、希望があれば必ず伝えることが大切です。次のような希望や疑問点があれば、必ず伝えるようにしてください。

「いつまでにいくらで売って欲しい」
「近所の人に知られずに売却したい」
「電話ではなくメールやSNSで連絡して欲しい」
「雨漏りを修繕せずこのままの状態で売りたい」
「住宅ローンの残債がかなりあるが売却は可能か?」
「売却手続きにかかる費用や手数料はどれくらいか?」
「引っ越しの手配や新居探しのサポートもしてもらえるか?」

不動産会社に対して、上記のような具体的な希望や疑問点を伝えることは、不動産売却をスムーズに進めるうえで非常に重要です。信頼できる不動産会社は、希望を実現させるために全力でサポートしてくれます。

物件のアピールポイントがあれば伝える

査定時には、物件のアピールポイントも伝えることが大切です。アピールポイントは査定価格に反映されるだけでなく、販売活動時にも効果的に活用されます。物件のアピールポイントとして、以下のようなものが挙げられます。

立地条件
「駅から近くて通勤・通学に便利」
「商業施設が多く買い物に便利」

環境
「日当たりがよい」
「緑が多く閑静な住宅街」

建物の特徴
「築浅で見た目がきれい」
「光熱費が抑えられるエコ住宅」
「収納スペースが多い」

その他の具体例
「近所に夜遅くまで営業しているスーパーがある」など、住んでいたからこそわかるアピールポイント
「リフォームや改修工事をして建物の安全性や快適性が向上した」などのアピールポイント

なお査定時には、耐震診断結果報告書や増改築等工事証明書なども準備しておくと、アピールポイントを裏付ける資料になります。

物件に瑕疵がある場合は正直に申告する

物件に瑕疵(雨漏りやシロアリ被害など)がある場合、査定時に不動産会社に申告しなければなりません。これにより、不動産会社は正確な査定を行えるようになり、合法的に販売活動を進められます。

物件の瑕疵は買主に告知しなければならず、申告しなかった場合は契約不適合責任に問われます。契約不適合責任とは、売買契約時に売主が物件に関する重要な情報を隠した場合に発生する責任です。

例えば、雨漏りがあることを隠して売却した場合、買主があとで雨漏りを発見すると、修理費用は売主が負担することになります。瑕疵を申告すると査定価格は低くなるかもしれませんが、売却後のトラブルを避けるためにも、正直に申告することが大切です。

3種類の査定方法の違いを知っておく

不動産を売却する際の査定方法には、簡易査定(机上査定)、AI査定、訪問査定(詳細査定)の3種類があります。それぞれの査定方法にはメリットとデメリットがあるため、目的や状況に応じて選択することが重要です。

簡易査定は机上査定とも呼ばれ、物件の情報(所在地、広さ、間取りなど)をもとに、不動産会社が机上で査定を行います。現地訪問をせず、周辺の取引事例や市場動向を参考にして、おおよその査定価格を算出するため、短時間で結果が出るのが特徴です。

AI査定は、AI(人工知能)が過去の取引事例を分析し、迅速かつ客観的な査定を提供します。ネットで完結し、情報を入力するだけで瞬時に査定価格が算出されるため、忙しい方などに最適です。

訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に現地を訪問し、現地調査を行ったうえで査定します。査定結果が出るまでに時間がかかりますが、建物や設備の状態、周辺環境などを詳細に確認するため、より精度の高い査定が可能です。

査定の迅速性では簡易査定とAI査定、査定の精度は訪問査定が優れています。まずは簡易査定やAI査定でおおよその売却価格を把握し、実際に売却を検討するタイミングで訪問査定を依頼するのが一般的です。

3種類の媒介契約の違いを知っておく

査定を受けた不動産会社に物件の売却を依頼する際は、媒介契約を締結することになります。媒介契約は「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があり、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで最適な形態を選ぶことが大切です。

一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に物件の売却を委託する契約です。複数の不動産会社に依頼することで売れやすくなると思われがちですが、熱心に買主を探してくれるとは限りません。

一般的には、専任媒介・専属専任媒介のほうが不動産会社は本気で売却活動を行う可能性が高いとされています。専任媒介・専属専任媒介は1社しか依頼できませんが、信頼できる不動産会社が見つかれば、専任媒介・専属専任媒介での契約をおすすめします。

査定の段階ではハウスクリーニングは不要

訪問査定を受ける際は家の中を片付けておくのが望ましいですが、お金をかけてハウスクリーニングをする必要はありません。部屋の中をきれいに掃除しても査定価格が上がるわけではなく、ハウスクリーニング代が無駄になってしまう可能性があります。

査定でチェックするのは建物の状態であり、掃除をして部屋の中がきれいでも、建物の状態が悪ければマイナスポイントになってしまいます。もちろん、部屋の中はきれいにしておくほうがよいため、目立つ汚れは落としておきましょう。

掃除が重要になるのは査定時ではなく、購入希望者が家を訪れる内覧時です。部屋の中を掃除してきれいにしておくと購入希望者の印象がよくなり、早く売れる可能性が高まります。

販売活動を開始する際の注意点

不動産会社との媒介契約締結後、販売活動が開始されます。買主を見つけるための営業活動は不動産会社が担当しますが、内覧の対応は売主自ら行うのが基本です。ここでは内覧対応を中心に、販売活動における注意点を解説します。

内覧に備えて家を掃除しておく

販売活動を開始すると購入希望者が家を内覧に訪れるため、掃除をしてきれいにしておくことが大切です。掃除をして家の第一印象がよくなると売れやすくなります。掃除をする際は、内覧者が特に注意してチェックする場所を重点的にきれいにすることがポイントです。

特に下記の場所は入念に掃除をしておきましょう。

[水まわり]
キッチンや浴室、トイレ、洗面所などの水まわりは、内覧者が特に入念にチェックする場所です。キッチンは水垢と油汚れがつきやすく、掃除をしてもなかなか汚れを落とせないことがあります。汚れが落ちない場合は、ハウスクリーニング業者に依頼することも検討してください。

[玄関]
玄関も入念に掃除をする必要があります。玄関は内覧者が最初に目にする場所であり、家の第一印象を決定づける場所です。ドアや床などの汚れを拭き取り、使わない靴は下駄箱に入れておくと印象がよくなります。

[リビング]
リビングは家族の生活の中心であり、内覧者が購入後の生活をイメージする大事な場所です。散らかっていると印象が悪くなるため、不要なものは片付け、スッキリとした印象を与えましょう。

物件のアピールポイントをまとめておく

内覧に備えて物件のアピールポイントをまとめておくと、購入希望者に対して物件の魅力を効果的に伝えられます。内覧者から質問されても的確に答えられるよう、物件の魅力やアピールポイントを整理しておくことが大切です。

物件のアピールポイントは先述したように、立地条件や環境、建物の状態、住宅設備などで、魅力があると思えることをまとめておきます。実際に住んでみないとわからない魅力を伝えることがポイントです。

アピールポイントがわからなければ、不動産会社の営業担当者と相談してみてください。不動産会社の営業担当者は不動産販売のプロであり、自分ではわからない物件のアピールポイントをプロの視点で的確に指摘してくれます。

物件に瑕疵がある場合は正直に話す

内覧者に質問されたら、シロアリ被害など物件に瑕疵がある場合は正直に話すことが大切です。瑕疵があることを正直に話すことで、購入希望者は正確な情報をもとに判断できるようになり、瑕疵があることを前提に価格交渉を進められます。

正直に話すことで、逆に信頼関係を築けることもあるため、絶対に嘘をつかないようにしてください。瑕疵を隠して売却すると、先述したように契約不適合責任に問われる可能性があります。

なお、雨漏りやシロアリ被害、家が傾いているなどの明らかな欠陥は伝える必要がありますが、建物そのものの欠陥でないことは無理に伝えなくても問題ありません。例えば、隣近所からの騒音などは、質問されたときに自分が感じることを率直に話しましょう。

内覧者と口約束はしない

内覧者との口約束は厳禁です。不動産会社を通さずに値下げの依頼などを口約束すると、あとから法的なトラブルに発展する可能性があります。早く売りたいという気持ちから、つい口約束をしてしまうことがありますが、内覧者からの要望には気軽に応じないように意識することが大切です。

「購入するから設置している家具を譲って欲しい」「あと◯円値下げしてくれたら購入する」などの要望には、その場の雰囲気で気軽に応じないようにしましょう。

もし、内覧者の要望に応じてもよいと判断する際は口約束をせず、仲介を依頼している不動産会社に相談するようにしてください。内覧者には「不動産会社を通してお返事します」といっておくとよいでしょう。

売買契約を締結する際の注意点

仲介で買主が見つかると、売主と買主の間で不動産売買契約を締結することになります。買取の場合は不動産会社が買主になるため、不動産会社との間で不動産売買契約を締結します。売買契約を締結する際は、以下の点に注意が必要です。

不動産売買契約書の内容をしっかりと確認する

売買契約を締結する際は、不動産売買契約書の内容をしっかりと確認することが大切です。契約書に書かれている内容を理解し、納得したうえで署名・捺印することで、後々のトラブルを避けられます。

売買契約書は隅々までチェックして、不明な点があれば遠慮なく質問するようにしてください。不動産売買契約書にはさまざまな事項が記載されていますが、売却価格と支払い条件、解除条項、引き渡しの日程、物件の現況、契約不適合責任などを重点的にチェックします。

特に契約不適合責任は、瑕疵が見つかった場合の責任範囲や期間が明記されており、売主にとって著しく不利な内容であれば見直しを求めましょう。買主と合意が得られれば、特約で免責にすることも可能です。

売買契約を締結後は簡単に解除できない

契約が成立すると簡単に解除はできず、やむを得ず契約を解除する場合は違約金が発生することがあります。違約金の額は契約書に記載しており、売買金額の10~20%に設定しているケースが一般的です。

例えば、売却価格が3,000万円の場合、違約金は300~600万円になるため、安易な気持ちで契約を解除するのは危険です。

なお、買主が住宅ローンを利用する際は、「ローン特約」を盛り込むようにしておきます。この特約により、ローンが不成立の場合には違約金なしで契約を解除できる場合があります。ローン特約で契約が解除されると、売主は買主に対して手付金を返還しなければなりません。

また、契約不適合責任で契約が解除されたり、損害賠償請求をされたりすることがあるため、契約不適合責任に問われないよう注意することが大切です。

決済・引き渡しの際の注意点

決済・引き渡しは不動産売却の最終段階であり、残代金の授受と物件の引き渡しが行われます。ここでは、決済・引き渡しの際の注意点を解説します。

決済当日の流れを把握しておく

決済・引き渡しの際は、事前に当日の流れを把握しておくことが大切です。当日の流れを把握しておくと、現場での混乱を防げます。

決済の場所は、買主が住宅ローンを利用する際は金融機関で行われるのが一般的です。残代金は売主の銀行口座に振り込まれるか現金や小切手で支払われます。

決済当日の流れは、司法書士が立ち会い、本人確認と所有権移転登記に必要な書類の確認が行われることから始まります。決済当日は本人確認のため、運転免許証やマイナンバーカードなどの写真付き身分証明書が必要です。

司法書士による本人確認が終わると、残代金の支払いが行われます。この際、固定資産税や都市計画税、修繕積立金などの清算金の授受も行い、入金が確認できれば売主は領収書を発行します。

決済が完了すると買主に家の鍵や各種書類を引き渡し、司法書士に報酬、不動産会社に仲介手数料を支払うと一連の取引は完了です。

その後、司法書士は法務局に赴いて登記手続きを行い、登記手続きが完了すると、登記完了証と登記識別情報通知書が交付されます。

必要書類がすべて揃っているかを確認する

決済当日は権利証や写真付き身分証明書などの書類が必要です。必要書類に不備があると当日中に決済ができなくなるため、忘れないよう準備しておきましょう。決済当日に必要な主な書類は以下のとおりです。

決済当日の必要書類

上記のほかに、司法書士への報酬や仲介手数料を現金で支払う場合は、金額分の現金の用意が必要です。取引の内容によっては、追加の書類が必要になる場合があるため、司法書士や不動産会社に確認しておきましょう。

なお、抵当権が設定されている場合は、抵当権抹消書類も必要になります。抵当権抹消書類は、住宅ローンを申し込んだ金融機関で発行してもらえます。抵当権抹消書類は準備が整うまでに10営業日(2週間)かかるため、決済日が決まったら早めに金融機関に連絡が必要です。

確定申告に関する注意点

不動産売却で利益(譲渡所得)が出た場合、その利益は所得税の課税対象となり、売却した翌年に確定申告が必要です。譲渡所得は分離課税の対象であるため、給与所得者であっても、譲渡所得が発生した場合は確定申告が必要です。

なお、3,000万円の特別控除の特例や軽減税率の特例、買い換えの特例を適用することで、譲渡所得から特別控除額を差し引けるため節税につながります。

例えば、3,000万円特別控除の特例を適用すると、マイホームを売却して譲渡所得が発生した場合、譲渡所得から3,000万円の控除が可能です。軽減税率の特例は、所有期間が10年を超える長期譲渡所得に適用でき、譲渡所得に対して軽減税率を適用できます。これら2つの特例は併用可能であり、3,000万円の特別控除を適用した後の譲渡所得に対して軽減税率の特例を適用することができます。

買い換えの特例は居住用財産を売却し、その前年から翌年1年までの間に新しい居住用財産を購入した場合に適用され、売却益に対する課税を繰り延べることができるものです。買い換えの特例を適用すると、3,000万円の特別控除や軽減税率の特例は利用できなくなります。

一方で、不動産売却で利益(譲渡所得)が出なかった場合は、確定申告を行う必要はありません。ただし、損益通算や繰越控除の特例を適用する場合は確定申告が必要です。確定申告をすることで、税の控除や還付などが受けられる可能性があります。

不動産の種別ごとの売却の注意点

一戸建てとマンションによって売却の注意点は若干異なります。また、土地のみを売却する際も注意点は若干異なるため、ここでは、種別ごとの売却の注意点を解説します。

一戸建てを売却する際の注意点

一戸建てを売却する際には、査定時の建物の状態に注意が必要です。建物の状態によっては、建物を解体して更地にするほうが売れやすくなることがあります。

木造住宅の場合、築30~35年を超えると建物の資産価値はほとんどなくなります。資産価値がなくなっても査定価格が0円になることはありませんが、一般的には「古家付き土地」として査定を行います。

古家付き土地を購入した人は、建物の解体費やリフォーム費用が必要になるため、更地にしてから売るほうが高値で売れる可能性があります。古家付き土地として売るか、更地にしてから売るかは、不動産会社と相談して決めることをおすすめします。

また、一戸建てを売却する際には、境界線を明確にし、土地の面積を確定することが必要です。土地の境界については、不動産入手時の資料を準備しておきましょう。境界が不明な場合は、土地家屋調査士に依頼して確定測量を実施し、境界線と面積を明確にしてから売却します。

マンションを売却する際の注意点

マンションを売却する際は、築25年を過ぎると急激に値引き率が高くなる点に注意が必要です。一般的に、築年数が増えるほど建物の資産価値は低下します。特に築25年を過ぎると資産価値の低下が顕著になり、値引き交渉が頻繁に行われ、買い叩かれることもあるでしょう。

新耐震基準に適合しているかも重要なポイントです。1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたマンションは新耐震基準に適合していない可能性があり、補強工事をしていなければ耐震性能に問題があります。

マンションを売却する際は、築25年を迎える前に売ることが重要です。築25年を過ぎたマンションを売る際は、既存住宅売買瑕疵保険をつけておくと買主に安心感を与えられます。

また、同じマンションのほかの部屋との差別化も重要になってきます。「ほかの部屋よりも日当たりが良好」「リフォーム実施済み」などの差別化ができる要素があれば、積極的にアピールしましょう。

土地を売却する際の注意点

土地を売却する際は、境界線を明確に定めておくことが極めて重要です。売却時には土地測量図または境界確認書が必要であり、境界線がはっきりしていないと、正確な査定価格を算定できません。

また、売却後に土地を購入した人と隣地の所有者との間でトラブルが生じるリスクがあり、売主は契約不適合責任を問われる可能性があります。

土地の境界については、不動産入手時の資料を準備しておき、境界線が明確に定まっているかを確認しましょう。土地の境界が定まっていない場合は、土地家屋調査士に依頼して境界確定測量を行う必要があります。

境界確定測量を行って境界線が定まると、境界確認書が作成され、境界線が明確であることを証明できます。

信頼できる不動産会社を選んでスムーズな売却を実現しましょう

不動産売却時の注意点は多岐にわたり、事前準備、査定、販売活動、売買契約、決済・引き渡しの各段階で特有の注意事項があります。初めて不動産を売却する方は、不利益を被らないようにするためにも、信頼できる不動産会社に相談することが大切です。

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