不動産売却コラム

公開日:2024.03.29 / 更新日:2024.03.29

不動産売却の理由は正直に伝えるべき?家を売る理由の上手な伝え方とは

不動産の売却理由は、伝え方次第で購入希望者に与える印象が異なります。同じ内容でも伝え方によっては売却チャンスを逃してしまう可能性があるため、ネガティブな理由であれば伝え方を工夫しましょう。

とはいえ、嘘の売却理由で不動産を売却する行為は、内容によっては法律に違反する可能性もあるため注意が必要です。

今回は、家を売る理由が不動産売却に与える影響や、不動産売却における告知義務、売却理由の上手な伝え方を解説します。不動産の売却理由をどのように伝えるべきかと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

家を売る理由が不動産売却に与える影響

不動産の売却理由は、多くの買主が重視するポイントです。売却理由が要因となって売却活動がうまく進まない、売却チャンスを逃すなど、売主が思っている以上に不動産売却に与える影響が大きいことを知っておきましょう。

まずは、家を売る理由が不動産売却に与える影響の例を紹介します。

売却期間が延びる可能性がある

不動産の印象を悪くするようなネガティブな売却理由の場合、売却価格が安いだけでは買い手が付きにくく、売却期間が延びる傾向があります。

特に、相場に比べて安く売りに出されている不動産は、その価格の理由を聞かれるケースが多いです。住宅そのものや周辺環境に問題があったり、ネガティブな印象が強かったりすると、売却に多くの時間がかかるでしょう。

事故物件や訳あり物件と呼ばれるような不動産は、一般的な不動産よりも売却が難しく、不動産会社の買い取りも断られてしまう可能性があります。

売却価格が下がる可能性がある

不動産売却の際は、不動産が持つ条件と価格のバランスが重要で、これらが釣り合っていないと、なかなか買い手が付きません。

そのため、ネガティブな理由による売却では、希望価格での売却が難しく、相場を下回る価格への値下げが必要になる可能性があります。

土地や不動産、周辺環境に問題がある、間取りや設備が使いづらいなど、買い手に悪い印象を与えるような売却理由がある場合は、慎重に価格設定を行ないましょう。

売却活動が思うように進まない可能性がある

あまりにネガティブな売却理由がある場合、売却活動をスムーズに進めることが難しくなります。

例えば、事故や事件が起きた物件、現行の建築基準法に適合していない物件などは、一般的に敬遠されやすく、なかなか買い手が付きません。

このような不動産は内覧で詳細な説明が求められるため、実績のある不動産会社と協力し、慎重な対応を心がける必要があります。

不動産売却のよくある理由

不動産を売却する理由は、住み替えや転勤などのポジティブなものから、人には伝えにくいネガティブなものまでさまざまです。

その物件に住むうえで、心理的あるいは物理的に問題があるようなネガティブな売却理由は敬遠されやすいため、伝え方に困る方もいるのではないでしょうか。

一般的にどのような理由で不動産が売却されているのか知るために、ここからは不動産売却のよくある理由を紹介します。

より良い住まいへ住み替えるため

現在住んでいる家を売却して新居を購入し、住み替えるケースです。子どもの成長や進学など、家族のライフステージが変われば住みやすい間取りや条件も変わってきます。

子どもが快適に過ごしやすいようにマンションから一戸建へ住み替えたり、子どもが独立し夫婦二人暮らしとなって一戸建からマンションへ住み替えたりと、さまざまな住み替えパターンがあるでしょう。

より良い住まいへの住み替えが理由の場合、買い手に悪い印象を与えることはほとんどありません。

相続した不動産を売るため

親族から相続した不動産の使用予定がなく、売却するケースです。相続した不動産に住む予定がなく、管理ができない場合、空き家となって維持が困難になってしまうため、多くの方は売却を選択します。

また、複数の相続人で財産を分割するために、不動産を売却して現金化するケースもあるでしょう。

このような相続が理由の売却も、数ある不動産売却のなかでよくある事例のため、買い手に悪い印象を与えることはほとんどありません。

転勤するため

転勤で単身赴任が難しく、持ち家を売却して引越しをするケースです。将来的に現在の住まいに戻る予定がない、賃貸に出すのが難しいといった場合は、持ち家を手放すことになるでしょう。

転勤による売却は買い手に悪い印象を与えないため、売却活動に影響はありません。築年数が浅い物件の場合は、スムーズな売却を目指せるでしょう。

離婚するため

離婚により、各自が新しい生活をスタートさせるために自宅を売却するケースです。住宅ローンの清算や、財産分与のための現金化を目的とするケースもあるでしょう。

離婚による売却は、縁起を気にする方から敬遠される可能性があるため、売却理由を詳しく伝える必要はありません。

家族と同居するため

離れた家族と同居する際に、片方の家が空き家になったことで売却するケースです。賃貸に出すことが難しい場合、売却する流れが一般的です。

家族との同居による売却は、買い手に悪い印象を与えることがないため、売却理由を正直に伝えても問題ありません。

住宅ローンの支払いが難しいため

経済的に苦しくなり、住宅ローンの支払いが困難で売却するケースです。経済的な理由による売却は、縁起を気にする方に敬遠される可能性がありますが、売却活動への大きな影響は考えにくいです。

購入したばかりの物件なら、設備や内装のきれいさ、住みやすさなどのアピールポイントをうまく伝え、売却活動に専念するとよいでしょう。

まとまった資金が必要なため

医療費や介護費など、まとまった資金が必要になった際に、持ち家を売って現金化するケースです。売却時は、個人的な生活状況を買い手へ詳細に説明する必要はありません。

また、このケースで売却に時間的な余裕がない場合は、不動産会社の買取サービスも検討できます。

不動産の瑕疵にかかわる売却理由は正直に伝える必要がある

売りたい不動産に瑕疵がある場合、その内容を隠したり、偽って伝えたりしてはいけません。瑕疵とは、不動産の欠陥のことです。

不動産を売却する際は、宅地建物取引業法(以下、宅建法)に則った売買契約が行なわれ、告知を偽る行為は宅建法の第47条で禁止されています。
また、第35条では、買主に説明しなければならない重要事項として、不動産に関する多くの事項が定められています(※)。

売りたい不動産にネガティブな売却理由があったとしても、瑕疵にかかわるものは正直に伝えましょう。

ここからは、不動産売却で必ず伝えなければならない告知義務のある瑕疵と、正直に伝える必要がない売却理由について解説します。

※出典:宅地建物取引業法

告知義務のある瑕疵とは

告知義務のある瑕疵には、次の4つがあります。

物理的瑕疵

土地や建物に存在する問題点を物理的瑕疵といいます。地盤沈下や地中埋設物、雨漏り、シロアリ被害などが該当します。

法律的瑕疵

売却したい不動産が、建築基準法など不動産に関する現行の法律に違反している場合、法律的瑕疵が発生します。建築制限や接道義務違反、再建築不可物件などが該当します。

環境的瑕疵

周辺環境の問題点を環境的瑕疵といいます。近隣の騒音や振動、日照障害、嫌悪施設などが該当します。

心理的瑕疵

住むうえでの心理的な問題点のことです。自殺や他殺、事故死、孤独死などがあった不動産の場合、心理的瑕疵が発生します。

個人的な理由で家を売るときは詳細を伝える必要はない

瑕疵にかかわらない個人的な理由で家を売る場合は、買主に詳細な売却理由を伝える必要はありません。

(例)
●親の老人ホーム入居資金が必要になった
●離婚や別居で自宅を売ることにした
●子どもの成長により不便を感じるようになった
●住宅ローンの返済が困難になった など

上記のような売却理由の場合は、大まかな理由を伝えて売買契約を結んだとしても、法律違反にはなりません。

ただし、売却理由によっては、不動産の名義に関する特別な手続きが必要となる場合もあります。不動産売却に必要な手続きを漏れなく行なうためにも、不動産会社の担当者には正直な売却理由を伝え、個々のケースに応じたアドバイスを受けるようにしましょう。

家を売る理由の上手な伝え方

相続や転勤、家族との同居などは告知義務のないよくある売却理由のため、プライバシーを考慮してある程度ぼかして伝えても、正直に伝えても問題ありません。

一方で、ネガティブな理由で家を売る場合は、買主に悪い印象を与えないよう言い方に配慮したり、告知義務のある内容は明確に伝えたりと、注意が必要です。

ここからは、ネガティブな売却理由がある場合、どのような伝え方をすれば良いのか解説します。

離婚が理由の場合

告知義務がない理由のため、「家族の都合」や「より良い住まいへの住み替え」のように大まかな内容で伝えるとよいでしょう。特に、新婚の夫婦や縁起を気にする買主に対しては、「離婚」というワードを出さないほうが賢明です。

ただし、物件の瑕疵やトラブルを懸念された場合、売却理由を正直に伝えることで安心してもらえる場合もあります。

住宅ローンにかかわる理由の場合

告知義務がない理由のため、「生活環境の変化」や「より良い住まいへの住み替え」のように、内容をぼかして伝えるとよいでしょう。「経済的」や「金銭的」といったワードを使うと、買主によっては強気な価格交渉をしてくる場合があるため、抽象的な表現で問題ありません。


ただし、抵当権の抹消手続きで引渡しまでに日数がかかる場合は、告知義務があるため事前に契約書や重要事項説明書に明記し、買主に正しく伝える必要があります。

ご近所トラブルによる住み替えの場合

個人間のいざこざや価値観の相違による揉めごと程度であれば、瑕疵に該当しにくいため、ご近所トラブルは必ずしも正直に伝える必要はありません。「実家の近くに引越しするため」「より良い住まいへの住み替え」のように伝えるとよいでしょう。

ただし、近隣で異臭や騒音などの迷惑行為を行なう人がいる、草木が越境しているといった事実がある場合は、環境的瑕疵に該当し、告知義務があります。事前に不動産会社の担当者と相談し、どのような伝え方をするのか決めておくとよいでしょう。

老朽化による住み替えの場合

修繕が必要な物理的瑕疵は告知義務があるため、老朽化している箇所や状況を正しく伝えましょう。

例えば、「建具の開閉にひっかかりがあるため、修理もしくは交換をするとよいかもしれません」というように、問題点と解決策をセットで伝えると悪い印象を与えにくくなります。

また、これから修繕が必要な箇所だけでなく、すでに修繕した箇所も具体的に伝えるとよいでしょう。「古い物件なのであちこちに修繕箇所がありまして……」といった大まかな伝え方は買主に不安を与えやすく、後々トラブルに発展するリスクがあるため避けましょう。

小さな傷や床の軋みなど、物理的瑕疵に該当するかわからないような部分は、一つひとつ不動産会社の担当者に確認し、アドバイスを受けることをおすすめします。

周辺環境の悪化による住み替えの場合

「近くに保育園やコンビニがない」「駅まで遠い」といった、個人の主観による住みにくさが売却理由の場合、告知義務はありません。

周辺施設に乏しい立地は「閑静で住環境が良い」、人通りや車通りが多い場合は「人目が届きやすく夜間も安心」のように、ポジティブな表現に言い換えて伝えるとよいでしょう。


ただし、工場や火葬場などの嫌悪施設が建ったことが理由の場合は、環境的瑕疵に該当するため、必ず正直に伝えましょう。

事件や事故による住み替えの場合

心理的瑕疵がある場合は、告知義務があるため正直に伝えなければなりません。ただし、老衰や病気による自然死は心理的瑕疵に該当しないため、あえて買主に説明する必要はありません。

事件や事故に関する部分は判断や伝え方が難しいため、不動産会社の担当者と慎重に相談することが大切です。

家を売る理由を伝える際のポイント

家の売却理由を伝える際は、買主に不安を与えないような伝え方を心がけましょう。売却理由を聞かれた際に、意識すると良いポイントを解説します。

買主が知りたい情報を意識して伝える

告知義務のない売却理由に関しては、買主から聞かれた場合にのみ答える程度でも問題ありません。買主のなかには、売主のプライベートな事情を詮索したくないと考える方もいるでしょう。買主がどのような点を気にしているか、内覧中の会話や態度をよく観察することが大切です。

ネガティブな理由は対策とセットで伝える

老朽化が進み修繕が必要な場合は、どのような対策が可能か、解決策までセットで提示するようにしましょう。特に、築年数の古い物件はリフォームを前提に購入検討する方も多いため、リフォームが必要な箇所をわかりやすくまとめておくと、好印象を持ってもらえる可能性があります。

不動産会社からアドバイスをもらう

不動産会社は、日々さまざまなケースの売却を仲介しています。経験豊富な不動産会社なら、伝えにくい売却理由も買主へ上手に伝えてくれる可能性があります。

ネガティブな売却理由があり売れるか不安な場合は、不動産会社に正直な売却理由を伝え、適切なアドバイスをもらうようにしましょう。

まとめ

不動産の売却理由は、多くの買主が気にするポイントです。買主から「なぜ売ろうと思ったのですか?」と聞かれたときは、告知義務のある範囲はわかりやすく正確に伝え、プライバシーにかかわるものは抽象的な伝え方をするとよいでしょう。

ネガティブな理由から家の売却を検討している場合、まずは不動産会社へ相談し、どのような伝え方が適切かアドバイスをもらうようにしましょう。

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