ディスカバー北海道

じゃがいも
-POTATO-

写真提供:倶知安町役場

倶知安のじゃがいも生産

北海道はじゃがいもの生産・収穫量日本一で有名ですが、羊蹄山麓でも多く生産されています。中でも広大な作付面積を誇り、古くから基幹作物として生産されてきたのが倶知安町です。一日の寒暖差が大きい内陸性気候は、まさにじゃがいも栽培に適しており、加えて豪雪地帯であることから、春の雪解け時には大地にしっかりとミネラルが浸透し、でんぷん質の多いほくほくのじゃがいもを育む土壌が出来上がります。代表的な品種は、「男爵」。他にも「とうや」「きたあかり」「きたかむい」といった、それぞれに特徴的なおいしいじゃがいもが生産されています。

代表的な品種

男爵
加熱するとホクホクした食感が楽しめ、スーパーで見かけるじゃがいもの中で最もポピュラー。
おすすめ料理🍴 コロッケ・ポテトサラダなど

とうや
でんぷん質が少なめなので、加熱してもホクホクした感じにならず、滑らかな舌触りが楽しめます。煮崩れしにくいので煮込み料理に向いています。
おすすめ料理🍴 煮物・炒め物など

きたあかり
男爵よりも粉質で煮崩れしやすい。果肉が黄色く、甘みが強いので、「栗じゃが」や「黄金男爵」とも呼ばれています。
おすすめ料理🍴 スープ・サラダなど

きたかむい
果肉が白く、甘みが強いのが特徴。肉質はやわらかく、煮くずれしにくい。
おすすめ料理🍴 コロッケ・煮物など

写真提供:倶知安町役場

歴史

倶知安町のじゃがいも栽培の歴史は古く、1892年の開拓時代にまで遡ります。開拓の祖である真鍋浜三郎の日記には、豆や麦と一緒にじゃがいもを植えたとの記載が残されています。また、倶知安町でじゃがいもが広く栽培されるようになったのは、その後の柳原虎蔵による研究と努力の賜物です。形の良いじゃがいもだけを選んで種いもとすることを繰り返し、やがて「蝦夷錦(えぞにしき)」と呼ばれる品種を開発します。味が良かったことから、倶知安町で栽培が広がり、1922年には北海道特産品として本州に出荷されるようになりました。ただ、蝦夷錦は病気に弱いという欠点があり、作付けされるのは次第に男爵の方が多くなっていき、現在に至るそうです。

写真提供:倶知安町役場

じゃが太とじゃが子

広い北海道には各地にご当地キャラクターが存在しますが、倶知安町も例外ではありません。もちろん、モチーフとなっているのはじゃがいも。その名も「じゃが太」くんと「じゃが子」ちゃんです。1991年に倶知安町の開基100年を記念し、全国に一般公募して誕生したキャラクターです。ちなみに、ふたりは恋人ならぬ「恋じゃが」。そしてふたりがかぶっている帽子は、羊蹄山をイメージしています。絶妙なユルさ加減が、なんとも愛らしいキャラクターなのです。車で倶知安町を訪れると、市町村の境に立つイラスト入りの道路標識「カントリーサイン」で一番最初に出会うことができます。

じゃがいもから生まれた商品

じゃが太くん

倶知安町は日本有数のじゃがいもの産地である一方、その膨大な生産量のうち実に15%が規格外になると言われています。そこで規格外のじゃがいもを有効活用しようと、地元有志との連携によりポテトペーストの開発や、じゃがいもを用いた商品の考案に取り組んでいます。その代表的なひとつが「くっちゃんのじゃが太くん」。じゃがいもとチーズの粉末を使い、香り豊かなバター風味に仕上げたマドレーヌのようなカップケーキで、開基100年を記念して誕生したご当地キャラのじゃが太くんをパッケージに起用しています。倶知安菓子工業組合の合同銘菓として、同じパッケージ、同じレシピで町内の各菓子店(やまぐち菓子舗、欧風菓子末武、みうら菓子舗、菓子工房みやたけ、梅月菓子舗)にて作られています。ただし、作り手が違うと見た目も味も微妙に異なるかもしれません。食べ比べてみるのも面白いかもしれません。

豪雪うどん

昔から倶知安町の農家で作られていた郷土料理「でんぷんうどん」が、今では倶知安町の名物グルメとして観光客からも珍しがられています。商品化したのは、地元の老舗ホテル第一会館。商品開発は、簡単には進まず男爵イモのでんぷん質が90%以上の麺は、食感が増す一方、麺が切れやすくなったり、少し時間を置くとボロボロに崩れてしまったりしたそうです。でんぷん量を微調整するなど1年がかりの試行錯誤を重ね、1993年より「豪雪うどん」という名称で提供しています。じゃがいものでんぷんと、羊蹄山麓の湧き水を使って練り上げた「豪雪うどん」は、通常のうどんより白く透き通り、独特の輝きを放っていて、パウダースノーを連想させます。また、でんぷん量が多いので、時間がたってものびにくいのも特徴で、ツルツル、もちもちした食感も唯一無二です。倶知安町に訪れた際には、食したい逸品です。家庭で楽しめる生麺や乾麺もあるので、ぜひヘルシーな豪雪うどんを体験してください。

取材協力
倶知安町役場
所在地:北海道虻田郡倶知安町北1条東3丁目3番地
電話:0136-22-1121
公式サイト:http://www.town.kutchan.hokkaido.jp/

ホテル第一会館
所在地:北海道虻田郡倶知安町南3条西2丁目13番地
電話:0120-36-1158
公式サイト:https://www.d-kaikan.com/ja/