ディスカバー北海道

最北の温泉郷
-HOT SPRINGS OF JAPAN’S NOTHERNMOST-

宗谷エリアには、世界でも珍しい泉質を誇る温泉があります。豊富町にある豊富温泉です。これまでに経験した温泉の既成概念のままこの温泉に入ろうとすると、まず鼻を突く石油のような匂いに驚きます。そして油の浮いた見た目に驚きます。しかし、ひとたびその湯に身を委ねると、もう他の温泉では満足できなくなるかもしれません。一体、どんな温泉なのでしょう?

昭和の頃の源泉井?

豊富温泉が開湯したのは1926(大正15)年のこと。前年より石油の試掘を行っていたところ、地下から高圧の天然ガスと共にお湯が噴出しました。1927(昭和2)年には、地元の人々が温泉として利用するようになります。そして当初から、火傷や皮膚疾患などに効くことが認められていました。豊富温泉には、殺菌効果のあるヨウ素や、古い角質を落とす重曹など、肌に良いとされる要素がバランス良く含まれていたのです。

湯に浮かぶ油分が特徴

平成に入り、景気の悪化と共に一度は衰退した豊富温泉ですが、最近では地元の若い人たちの頑張りもあって、かつての活気を取り戻しつつあります。
また豊富温泉の独特な泉質は、特にアトピー性疾患に悩む人たちにとっては最後の砦とも言うべき場所のようで、実際に湯治によって症状が改善したという人も少なくないようです。日本全国から評判を聞きつけた湯治客が訪れ、そのための施設も充実してきました。

湯治客用の浴場

ふれあいセンター

多くの湯治客が訪れるのが日帰り温泉入浴施設「豊富町ふれあいセンター」。豊富町が運営する温泉入浴施設で、源泉掛け流しの湯です。浴場は一般客用と湯治客用に分かれていて湯治客用の浴場は、長時間入浴できるよう温度が低めに設定されています。

ふれあいセンター

豊富町ふれあいセンター

所在地:北海道天塩郡豊富町字温泉
電話:0162-82-1777
営業時間:8時30分~21時(受付/20時30分まで)
定休日:元日・整備日(毎年4月10日前後の4日間)
公式サイト:http://toyotomi-onsen.com/hotspring

1957年の豊富温泉街

川島旅館

また、ふれあいセンターの近くには豊富温泉開湯当初から開業している川島旅館があります。(2016年7月にリニューアルオープン)
湯治で訪れたお客さんが長期間滞在できるよう、リーズナブルな部屋を用意。また、豊富温泉のことをもっと広く伝えたいと、オリジナルプリンやバターを開発し、全国の北海道物産展などで販売しています。

湯上り温泉プリン

湯上り温泉プリン

使用している牛乳と生クリームは豊富町のものにこだわったプリン。
新鮮な牛乳と生クリーム、特に特濃プリンに使用されている生クリームは漂白されていない、自然なクリーム色をした濃厚な生クリームを使用。牛乳本来の美味しさを思う存分に堪能していただくために、防腐剤は一切使用せずに、ナチュラルなプリンに仕上げています。

Butter field

Butter field

新鮮な豊富牛乳から作られた、門外不出の無塩バターは、強いコクがありながらも後味がさわやかで、至極の風味を味わうことができます。良質なバターの美味しさが活きる、北海道内の厳選したフレーバーを混ぜ込んでいます。濃厚なケーキのような味わいから、一滴のしょうゆと熱々の白米でいただくバターまで。さまざまなフレーバーが揃っています。

川島旅館

川島旅館

所在地:北海道天塩郡豊富町字温泉
電話:0162-82-1248
営業時間:10時30分-22時(入浴開始時間は日によって前後する場合あり)
定休日:なし
公式サイト:http://kawashimaryokan.co.jp/

衰退した時期もあったものの、再び全国から注目される存在となった豊富温泉。2015年には温泉療法医が推薦する薬効高い泉質を持つ温泉地として、名湯100選にも選出されました。湯治で訪れる人は年々増加し、療養のひとつの手段として豊富温泉を薦める医師もいるほどです。豊富町に、明るい兆しが見えてきています。

【取材協力】
豊富町役場
北海道天塩郡豊富町大通6丁目
http://www.welcome.wakkanai.hokkaido.jp/