ディスカバー北海道

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白老町は1年を通して様々な魚介類が水揚げされており、畜産や養鶏も盛んです。海や山、湖や温泉など観光資源にも恵まれていることから「北海道のよいところを凝縮したような町」と呼ばれています。白老の魅力を3名の住民の方に尋ねてみました。

白老観光協会 石田智紀さん

白老駅北観光インフォメーションセンターに勤務している石田さんは、生まれも育ちも白老町という生粋の白老っ子です。大学進学を機に札幌へ移り住みましたが、卒業にあたり「地元のために貢献できることはないか。」と考え、白老の魅力を発見・発信することができる白老観光協会に就職しました。

当たり前すぎて気づかなかった白老の魅力

石田さんは、この仕事に就くまで白老の良さを意識したことはなかったと言います。白老は自然豊かで、食べ物がおいしいと言われていますが、町民にとってはそれが当たり前。しかし、様々な地域の方に白老を案内していく中で「白老はこんなに素晴らしい町なんだ。」と気づいたそうです。石田さんは、ポロト湖でサップ(ボードの上に立ち、パドルを漕いで水面を進んでいくアクティビティ)を体験し、その面白さに夢中になりました。都会だとアウトドアを楽しむために長距離移動が必要になりますが、白老はすぐそばに自然があります。「自然が近いとアウトドアを楽しむ時間が増えるんだ。」と白老の自然との触れ合いやすさを改めて認識したそうです。

2020年7月にオープンした「ウポポイ」

「ウポポイ」をきっかけに白老を次のステージへ

「ウポポイ」がオープンしたことについて尋ねると、「それがゴールではありません。」という答えが返ってきました。白老は通過型観光地と言われていますが、温泉や自然など足を止める価値は十分にあります。石田さんは、「ウポポイが注目されているうちに、併せて他の観光資源の魅力を発信することが白老の観光業を発展させるカギになります。」と話します。石田さんのような若い世代が白老の未来を引っ張って行くことでしょう。

Home Kitchen Cafe宝竜 店長 中村美樹子さん

白老町でカフェを営む中村さんは、白老町で生まれ育ちましたが、進学のため故郷を離れ、東京をはじめ全国でフードビジネスを行っていました。そんな中、白老町出身の男性と再会し、結婚を機に帰郷。2016年に他界した義母のラーメン店を改装し、カフェをオープンしました。中村さんのカフェは町民だけでなく、遠方からもお客さんが訪れるコミュニティ・スペースとして親しまれています。

ラーメン店からカフェに生まれ変わった宝竜

離れて再発見

白老に戻って7年になる中村さん。若いころは都会に出ることを希望していたので、白老町出身の方と結婚しなければ白老に戻ることはなかったと言います。「一度都会暮らしを経験して思ったことは、白老は空気がきれいで、食べ物がおいしく、自然が豊か。」年齢を重ねるにつれて静かなところが好きになり、今は白老がお気に入りだそうです。

緑に覆われた「萩の里自然公園」

木々や草花に彩られる自然公園

中村さんのおススメの場所は「萩の里自然公園」です。広い森林公園を散策していると木々や草花が放つ香りが心地よく、とても癒されます。「私たちにとっては日常でも、都会からきた人には驚かれる光景らしく、みなさん喜ばれます。」と中村さん。観光客へのアドバイスを伺うと、「白老を観光するなら天候が安定する秋から冬がベスト。さまざまな観光地がありますが、美しい風景は白老のあちこちに見られます。」とのことです。空気が澄んでいるので、夜空を見上げれば星の多さと明るさに驚く事でしょう。自分だけのお気に入りスポットを見つけてください。

白老町役場 経済振興課 鈴木領祐さん

鈴木さんは、白老の隣にある苫小牧市出身の移住者です。白老の観光資源に魅力を感じて白老町役場に入庁しました。現在、観光振興グループに所属し、アイヌ文化の伝承やガイドボランティアの育成を行っています。「このほどウポポイができましたが、観光資源だけではなくアイヌ文化を伝えていく必要があります。」と鈴木さん。現在は講師を招いてアイヌ民族に伝わる織物を一般の方に伝えるなど、アイヌ文化を広めることに力を注いでいます。

白老の基幹産業である黒毛和牛生産

若者がけん引する白老の産業

白老と言えば、白老牛や虎杖浜(こじょうはま)たらこが有名です。白老は北海道で初めて和牛を導入し、若い人たちが産業を引っ張ってきました。たらこは大正時代に製造技法を日本海側の岩内(いわない)町から習い、白老独自の生産体制を確立しました。

白老の魅力を発信する白老町役場

住民同士が協力し合う町づくり

白老町は四季がはっきりしており、雪が少なく夏もそれほど暑くないことから、別荘を構える方や移住される方が多くいます。地域おこし協力隊の活躍も素晴らしく、民泊や地域食堂を開き、名物料理を開発するなどメディアに紹介される機会も少なくありません。協力隊の方々が生き生きと活動できるのは、地域住民の協力があるからこそです。白老の住民同士が一体となって白老町を盛り上げようとしていることも白老の魅力のひとつです。

白老で生まれ育ち未来を背負っていく若い力、一度白老から離れることによりその良さを再確認できた女性、他の街から移住したことで移住者のよき理解者となっている役場職員、立場が異なる3人の方から白老の魅力を伺うことができました。白老に来たら、さまざまな人に話しかけてみてください。町の良さや温かさが伝わってくることでしょう。

【取材協力】
白老観光協会 石田智紀さん・Home Kitchen Cafe宝竜 店長 中村美樹子さん・白老町役場 経済振興課 鈴木領祐さん