ディスカバー北海道

国立アイヌ民族博物館
-MUSEUM-

2020年7月、白老町に「ウポポイ(民族共生象徴空間)」がオープンしました。「ウポポイ」はアイヌ語で「(おおぜい)で歌うこと」を意味します。敷地内にある国立アイヌ民族博物館は、先住民族アイヌの歴史と文化を主題とした日本初・日本最北の国立博物館です。

国立アイヌ民族博物館

「ウポポイ」誕生の経緯

2009年、「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」において、民族共生の象徴となる空間の整備が提言されました。アイヌ文化を復興・発展させる拠点であり、先住民族を尊重した多様な文化を持つ社会を築いていくための象徴として、構想から11年後に「ウポポイ」が誕生しました。

ポロト湖とコタンを一望できるパノラミックロビー

アイヌ文化をテーマごとに紹介

北日本初の国立博物館となる国立アイヌ民族博物館では、1階に「総合案内」、アイヌ文化や歴史を取り上げた書籍を中心に集めた「ライブラリ」、多様なテーマからアイヌ文化をわかりやすく紹介する「シアター」、ミュージアムグッズやウポポイグッズを販売する「ミュージアムショップ」などがあり、2階には伝統的なアイヌ文化と現代に息づく多様なアイヌ文化を異なるテーマで紹介する展示室が設けられています。

総合案内

様々な言語による総合案内

正面エントランスの総合案内の壁面には、アイヌ語を含む様々な言語による館内案内が表示されるなど、民族共生象徴空間にふさわしい演出が取り入れられています。展示室には、ことば・世界観・他民族との交流について紹介。中央部にアイヌ文化の粋を集めた資料が展示され、アイヌ文化の概略とすぐれた芸術性が理解できるようになっています。

音声と映像によりアイヌ語を身近に感じることができる

文字を持たないアイヌ語

「私たちのことば」では、アイヌ語や物語、地名や現在の取り組みを紹介しています。アイヌは文字を持たない民族であり、風習や文化はすべて言葉で伝承されています。いろり端に座っているような感覚でアイヌ語での語りを聞くことができるコーナーや、アイヌ語の仕組みと発音をゲームを通じて知ることができたり、地名の由来や会話の様子についての映像もあります。

儀式の装束を身に付けたヒグマ=キムンカムイ(山の神)

アイヌ民族の自然観

「私たちの世界」では、アイヌの精神世界についてグラフィックを交えて説明しています。アイヌ民族はどんな物にもカムイ(神)が宿ると信じてきました。動植物や山海、道具や衣服でさえも、すべては一時的にアイヌモシ(人間の静かなる大地)を訪れたカムイが姿かたちを変えたものと考えられています。

周辺民族との交流のシンボル、イタオマチ(板綴舟)

諸民族との交流

「私たちの交流」ではアイヌ民族を取り巻く周辺の諸民族との交流を紹介しています。展示のシンボルとなる外洋向け板綴舟(いたつづりぶね)は北海道厚岸(あっけし)湖で発掘されたもの。厚岸町でクリーニング作業を行い、白老町に輸送後、展示に向けて微細クリーニング・補強処理作業を実施し展示されています。江戸期のアイヌ民族が厚岸湾や厚岸湖を拠点に交易を行っていた様子が垣間見えます。

白老町交流促進バス運行中!
「ウポポイ」のオープンに合わせて町内を循環する「交流促進バス」の運行を開始しました。
「白老」駅と「ウポポイ」を結ぶ便と町内の飲食店などを周遊する便を一日26便運行しています。
時刻表は町のホームページや観光インフォメーションセンターでご確認ください。
http://www.town.shiraoi.hokkaido.jp/docs/2020042000095/

ウポポイ(民族共生象徴空間)
所在地:北海道白老郡白老町若草町2丁目3
開園時間:時期によって異なります。詳細は公式HPをご確認ください。
アクセス:JR室蘭本線「白老」駅(北口)から約500メートル(徒歩7分)
入館料:大人1,200円 高校生:600円 中学生以下:無料
https://ainu-upopoy.jp/

※新型コロナウィルス感染拡大防止のため、一部プログラム内容が変更・中止されています。お出かけの際は公式HPでご確認ください。