ディスカバー北海道

「ウポポイ」開業に沸く白老町
-SHIRAOI-

「海・山・川・湖の豊かな自然があり、動植物と共生する町」「アイヌ文化の伝承と北海道の歴史を感じる町」「豊富な泉質の源泉掛け流し温泉と四季折々のレジャーの町」「豊かな素材に恵まれた食文化の町」と白老の魅力は多彩。「イランカラテ(アイヌ語でこんにちは・こんばんは)」の挨拶が飛び交う白老を訪れてみませんか。

白老町とアイヌ民族

白老町は札幌から車で1時間、北海道の南西部に位置し、南は太平洋、西は登別市、北は千歳市と伊達市大滝区、東は苫小牧市と隣接しています。町名はアイヌ語の「シラウオイ」(アブ・多い・所)に由来します。白老には古くから先住の民であるアイヌ民族が暮らし、現在もアイヌの人々が多く住む町としてアイヌ文化や伝統を継承しています。2020年7月12日、アイヌ文化の魅力を体験できる「ウポポイ(民族共生象徴空間)」が開業しました。アイヌ文化復興・発展のための拠点となるナショナルセンターのオープンに沸く白老の歴史を遡ってみましょう。

開拓時代の陣屋の模型(仙台藩白老元陣屋資料館展示物)

ロシア勢力の南下に備えて仙台藩が陣屋を設置

幕末の1856年、ロシア勢力の蝦夷地南下を警戒していた幕府から、蝦夷地の警備を命じられた仙台藩が白老に仙台陣屋を設置し、塩釜神社を建立したことが白老町の始まりです。その後、1868年に戊辰戦争が勃発。官軍が仙台陣屋を攻撃する危険性から、仙台藩が蝦夷から仙台に引き上げたため仙台陣屋はわずか12年の歴史に幕を閉じました。

リニューアルされた白老駅舎(屋根の色は「ウポポイ」のメインカラーである紺色に)

村の形成と「白老」駅

明治の時代となった1870年、仙台陣屋は解体され、その用材で役所や住民小屋が建てられました。1892年に北海道炭礦鉄道会社(現:北海道炭礦汽船株式会社)によって室蘭・岩見沢間に鉄道が開通、人口が増加する白老に「白老」駅が開業。駅を中心に村が発展し、1919年に白老・敷生・社台の3村が合併して白老村が誕生し、その後、白老町に改名しました。2020年3月、「ウポポイ」開業に合わせて駅をリニューアル。屋根の色にはウポポイのメインカラーの紺色を使用するなど、町の顔として存在を示しています。

仙台藩白老元陣屋資料館

所在地:北海道白老郡白老町陣屋町681-4
入館料:一般300円 小中学生150円
開館時間:9:30?16:30
休館日:毎週月曜日(祝祭日は翌日)年末年始(12/29?1/3)
http://www.town.shiraoi.hokkaido.jp/docs/2013012200410/

「ポロトミンタ」はアイヌ語で「ポロトの広場」を意味する

「白老」駅北口に観光の新拠点が誕生

「白老」駅北側に白老の観光情報発信拠点・人々の交流の場として「ポロトミンタ」が誕生しました。その中核施設となる「白老駅北観光インフォメーションセンター」では、町内観光スポットや体験プログラムの案内、グルメ情報の発信などを行っています。ベトナム人と中国人のスタッフが常駐しており、それぞれの母国語と英語に対応しています。自転車のレンタルも行っていますので、颯爽と街をサイクリングしてみてはいかがでしょうか。

コタンコロカムイ(フクロウ)サブレ

ポロトミンタ関連グッズ

「ポロトミンタ」では、アイヌ民族に関連したグッズやウポポイオリジナル商品を多数取り揃えています。「コタンコロカムイサブレ」は、持ち運びに手ごろな大きさで保存も効くとインフォメーションセンタースタッフのイチオシ商品。テイクアウトコーナーでは手軽に白老グルメを味わうことができます。肉まんならぬ「ユ(アイヌ語でエゾシカ)饅」は、「地域おこし協力隊」が考案した一品。シカのひき肉と白老産のタケノコやシイタケなどを合わせたみそ味のあんを使い、もっちりとした食感の皮で包まれています。

ポロトミンタ

所在地:北海道白老郡白老町若草町1-1-21
電話:0144-82-2216
営業時間:8:00~18:00
https://shiraoi.net/informationcenter/

四季折々のレジャーが楽しめるポロト湖

対岸に「ウポポイ」を望むポロト湖

白老町で気軽にアウトドアを楽しむなら、白老市街から北東に約700メートルの場所にあるポロト湖がおすすめ。周囲にはポロトの森が広がり、キャンプ場、サイクリング、バードウォッチングなど四季折々のレジャーを楽しむことができ、町内外の人々憩いのスポットです。またポロトの森ビジターセンターでボートを借りることもできます。穏やかに流れる時間に、しばし喧噪を忘れることでしょう。

【取材協力】
仙台藩白老元陣屋資料館、ポロトミンタ、ウポポイ(民族共生象徴空間)