ディスカバー北海道

離島のワイナリー
-THE ISLAND OF WINERY-

?離島のワイナリー

「奥尻島」には、日本で数少ない離島ワイナリー、「奥尻ワイナリー」があります。北海道は、日本でも最大のぶどうの産地であり、数多くのワイナリーがありますが、なぜ、離島である奥尻島でワイナリーが産声をあげたのでしょうか。
株式会社奥尻ワイナリー、常務取締役の菅川仁さんに話を伺いました。

?―ワイナリーが作られたきっかけ

奥尻島は1993年に起きた北海道南西沖地震による津波で大きな被害を受けました。その復興の一環で、「島内に雇用を確保するために何かできないか」ということで注目したのが、ワイン事業でした。

奥尻島は、ブナの原生林が島の約60%を覆い、水がおいしいことで有名です。冬には雪が降りますが、対馬暖流の影響で北海道の本島に比べれば温暖な気候で、島内には、山ぶどうが自生していました。こうした環境が揃っていたことから、『奥尻島の振興に寄与する』を理念とし、奥尻ブランドを作りたいという思いから、ワインづくりがスタートしました。

?―道内では珍しい品種

1999年に有給農地を利用して島に自生する山ぶどうの苗木を植え始めました。その後、ワイン専用品種の栽培を始め、ヨーロッパ品種の栽培することにも成功しました。 現在では、メルロー、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、ツヴァイゲルトレーベ、ケルナー、山ぶどうなど11品種、約65,000本のぶどうが約27ヘクタール畑に植えられています。

北海道ではドイツ系の品種が多く栽培されていますが、奥尻ではメルローやピノ・ノワールといったフランス系の品種も育てており、特にメルローの栽培は珍しいかと思います。 このメルローは、本来赤ワイン用のぶどう品種ですが、2017年に白ワインを、日本で初めて商品化して好評をいただきました。

?―離島ならでは

海に囲まれていることで潮風による塩害、強風などもあり、ブドウ栽培の環境としては、特殊な土地であるがゆえの苦労も多くありました。しかし、日本海の潮風を受けて育ったブドウはミネラルが豊富で、ワインにすると余韻に潮の香りがする特徴があります。

ワインの世界にはテロワールと言って、その土地ならではの特性がにじみ出ているワインを求める傾向があるといいます。すべて島内のもので造られている「メイド・イン・奥尻島」の奥尻ワインにはテロワールが充分溶け込んでいるといえます。

?―これからも

2008年に奥尻ワイナリーの製造工場が完成し、本格的な醸造が始まりました。2009年には島育ちのぶどう100%で醸造された『OKUSHIRI』をリリースしました。現在では10種類以上のワインを製造し、ひとつひとつの工程を丁寧に行い、体にやさしいおいしいワイン造りに取り組んでいます。
これからも、100年先、200年先を見据えての、ここでしか造ることができない、世界中の人々に愛され続けるワイン造りに全力を傾けてまいります。

?【奥尻ワイナリー】

北海道奥尻郡奥尻町字湯浜300番地
01397-3-1414

■営業日
・オンシーズン(4月下旬~10月下旬):不定休
・オフシーズン(11月上旬~4月中旬):日曜定休日

■営業時間 午前9時30分?午後5時まで

■工場見学
ワイナリーの工場見学が可能です(前日までの電話予約制)。
工場内の販売店では、ワイナリーだけでしか手に入らないワインも購入できます。

http://okushiri-winery.com/

【協力・資料提供】
奥尻ワイナリー