ディスカバー北海道

檜山 3
-HIYAMA-

?日本初の洋上風車せたな町

せたな町は、2005年に旧北檜山町・旧瀬棚町・旧大成町の3つの町が合併してできた新しい町です。「せたな」の語源はアイヌ語の「セタルシュペナイ(犬の川)」が略されて「セタナイ(犬の沢)」となり、それが「せたな」に転化したといわれています。
北海道の南西部、日本海に面しているせたな町には、一年中季節風が吹き寄せます。この風を利用した、日本初の洋上風車「風海鳥(かざみどり)」が2004年本格稼働しました。

建設の経緯について、せたな町瀬棚総合支所に伺いました。

せたな町は、冬は北西の季節風が非常に強く、夏は北海道特有の「やませ」(東風)が強く吹き付ける、風が非常に強い町です。
合併前の旧瀬棚町では、地方港湾「瀬棚港」の有効活用について検討を重ねていました。その中で、厳しい自然環境を、むしろ恵まれた特色ある環境として活かそうという考えの下、“港湾の有効活用”と“当地特有の強い風を活かしたクリーンエネルギーの推進”という構想がうまく噛み合い、日本で初めての洋上風車建設のプロジェクトがスタートしました。


建設前に、風車の設置に適した風が吹いているかを確認するため、建設予定地付近の外防波堤上で1年間にわたり風況調査を行いました。
その結果、冬場のオホーツク海からの「季節風」の並外れた強さに加え、夏場の「やませ」も相当な強さで吹いていることが実証されました。風力発電事業が成り立つ数値として、年間平均風速6.0m/s以上必要とされておりますが、調査結果は年間平均風速7.9m/s(地上高20mで測定)と極めて大きく、せたな町は風力発電に非常に適した環境であることが証明されました。


その後、2004年4月1日に洋上風力発電所が本格稼動しました。
瀬棚湾東外防波堤の沖合い700mに設置された2基の風車は、高さ40.3m、翼の直径は47mと遠くからでも確認でき、せたな町のシンボルになっています。2基合わせての年間発電量は1000世帯分に相当するの電力を発電し、基礎部分ではウニやアワビの餌となるコンブを養殖しています。
近くの立象山展望台からは、せたなの街と風力発電の風車、奥尻島と日本海、せたなの象徴である三本杉岩を見下ろすことができ、夜景や夕日も美しい眺望がみることができます。

?生命の泉乙部町

乙部町は世帯数約1900、人口約3700人の小さな町です。
1993年7月12日、奥尻島を中心に大きな被害をもたらした北海道南西沖地震。乙部町でも水道管が破裂し、飲用水不足に陥りました。その際、水道とは独立した水源を確保しなければならないという教訓を得ました。
町内は自然湧水に恵まれ、21か所の湧水があり、いざという時のライフラインとして整備しました。特に優れた水質を持つ5か所を「生命の泉〈いのちのいずみ〉」と命名し、あずまやを建て、憩いの場としても活用されています。

  • 生命の泉

    5ヵ所の湧水は、水脈が異なるので成分や硬度もさまざまですが、いずれもマグネシウムやカルシウムの割合が低い軟水で、香りを楽しみたい飲み物や料理に適しています。コーヒーやお茶、米を炊く水に活用する人も多く、町内のみならず町外からもわざわざ水を汲みに訪れるほどです。おいしい名水を求めて「生命の泉」めぐりをしてみませんか?

  • 【といの水】

    「といの水」は、生命の泉の中ではもっとも湧出量が多く、地元の人でいつも賑わっています。取水口は1か所だが、ポリタンクもすぐに満水になる水量です。

    ADDRESS
    乙部町字館浦445番地

  • 【八幡(はちまん)さんの水】

    宝永年間、人口の増加と共に飲料水が不足したため村人らが社頭に集まり祈願した。すると、37日目に本殿の近くから清水が噴き出し、人々は「信心の水」また「八幡様の水」と呼び神の恵みに感謝したのが「八幡さんの水」の始まり。水量は少なく、ペットボトルが満水になるまで時間がかかる。

    ADDRESS
    乙部町字元町263番地

  • 【能登(のど)の水】

    「能登の水」の名は、能登半島からの移植者が多かったことから名付けられた。あずまやの脇には、赤い鳥居とお稲荷さんの祠がある。水量は生命の泉の中では二番目に多い。

    ADDRESS
    乙部町字三ツ谷402番地

  • 【こもないの水】

    「こもないの水」は、急な崖の裾部にあり、周辺に民家もなく昼間でもひっそりとしている。乙部の水の中では最も美味しいと言われ、住民の間では胃腸病に効くとの噂もある。水量は少ないので、ポリタンクの場合にはかなり時間がかかる。

    ADDRESS
    乙部町字鳥山1102番地の1

  • 【ひめかわの水】

    「ひめかわの水」は、生命の泉の中では最後に整備された施設。山地斜面裾部にあり、レンガ造の取水場である。地元民の間では美味しいとの評判。水量は少ないので、ポリタンクの場合にはかなり時間がかかる。

    ADDRESS
    乙部町字姫川341番地

?日本一の清流!?今金町

今金町といえば日本一おいしいといわれている男爵いも「今金男しゃく」が有名ですが、「日本一の清流」があることはあまり知られていません。
国土交通省では、1958年から年1回、全国の一級河川の水質現況を発表しています。2017年7月に発表された水質調査結果(2016年)では、今金町を流れる『後志利別川(しりべしとしべつがわ)』が、水質(BOD値)が最も良好な河川に選ばれました。3年連続選出、通算で17回選出された河川は国内において他になく、まさに清流日本一の河川です。
後志利別川は、道南唯一の一級河川で、長万部岳(おしゃまんべだけ)を水源とし、今金町の全域とせたな町の一部を流れて日本海へ注ぎ込んでいます。
流域は旧石器時代の美利河遺跡(ぴりかいせき)や縄文文化~アイヌ文化の遺跡が発見されており、サケ・マスの漁場として古くから人々の生活の拠点でした。秋にはサケやサクラマスがのぼり、アユやヤツメウナギなどが生息する環境は大変美しく、後志利別川の水を使って地酒や、今金男しゃく、軟白長ネギ、ミニトマト、今金米などの農産物が作られています。

流域では、1989年から毎年、後志利別川清流保護の会主催の河川清掃が行われています。また、今金河川事務所が『ごみマップ』を作成し、不法投棄等の実態を知ってもらい、みんなで環境を守る取り組みを行うなど、地元の方の地道な活動が、日本一の清流の源になっているのでしょう。
後志利別川では、ラフティングや砂金採り、魚釣り、カヌー体験など、日本一の清流で水遊びを満喫できるさまざまなアクティビティを楽しむことができます。川の流れが穏やかなので、子どもやお年寄りでも安心して体験できます。

【協力・資料提供】
北海道檜山振興局/乙部町役場/今金町役場/せたな部町役場