GOOD DESIGN AWARD 2025年度受賞 クリオ ラベルヴィ中央湊

本件立地の中央区湊一帯は、東京駅から1駅と利便性の高い都心立地でありながら、低未利用地のままの虫食い状態や人口の流出が課題だった。隅田川沿いの歴史ある狭小密集地での再開発は困難で、小規模開発以外の選択肢は見当たらない。そこで、都市の密集地における狭小集合住宅のあり方を捉え直し、街の風景に動きを与えるデザインを目指した。

デザインのポイント

  1. 01 都心密集地で適度な街とのつながりとプライバシーの確保を両立させるため、外装バルコニーに縦格子を設置。
  2. 02 街の風景に動きを与え、つながりを生み出す縦格子を設けることで、バルコニーを半室内化し住空間を最大化。
  3. 03 江戸時代、木材を載せた舟が往き来していた隅田川の歴史的な風景を受け継いで、内外のデザインに表現した。

狭小密集地という環境で
街との関係性を重視し
プライバシーや開放感も確保。

背 景

プライバシーと開放感を
実現したバルコニーと
建物前面に施された緑が
街と繋がり潤いを与える。

経緯とその成果
審査委員の評価

審査委員の評価

集合住宅においてバルコニーは、なくてはならない要素の一つだが、ともすればそれらは凡庸な風景に加担したり、あるいは単なる室外機置き場になりがちだ。しかしここではあえて手すりの外側にルーバー状の深い縦格子を設け、バルコニーに奥行きを与えるとともに、むき出しになりがちなプライバシーを穏やかに守ることに成功している。このデザインによってバルコニーは、まるで室内の延長のような貴重な中間領域となり、生活の場としても大いに活用されそうである。バルコニーという一つの要素を深く掘り下げることがもたらした効果は絶大だ。

  • 米丸 陽
    プロデューサー
    開発事業本部 米丸 陽
  • 田中 和沙
    ディレクター
    開発事業本部 建設部 田中 和沙
  • 篠原 崇明
    デザイナー
    株式会社デザインショップ・アーキテクツ 篠原 崇明