ディスカバー北海道

キセキ・コンダクト・カンパニー
-KISEKI CONDUCT COMPANY-

建設会社がミミズで肥料

 キセキ・コンダクト・カンパニーの母体は、道路工事などを行う旭川の建設会社「花本建設」です。建設業につきものの「破壊する」イメージを払拭するために、環境に配慮することが必要と考え、平成8年に木くずを処理する産業廃棄物中間処理事業を立ち上げました。
 森林の間伐材やキノコ栽培に使用した廃菌床、有機物などをチップにしてミミズの餌にして、排泄された糞を堆肥にした有機肥料「ミミズッチ」を開発し、販売しています。この取組みを北海道が国へ推薦し、循環型社会形成推進功労者環境大臣賞を受賞しました。
 そして、この有機肥料「ミミズッチ」の効果を実証しようと平成21年に立ち上げたのが、キセキ・コンダクト・カンパニーです。消費者に安全な食材を提供するために、「ミミズッチ」を中心に、土を元気にする有機物をたっぷり畑にすり込ませた、有機JAS認定を受けた自社圃場(ほじょう)で、農薬や化学肥料に頼らない自然から学んだ昔ながらの農法で、肉質のいいトマト「桃太郎T-93」の有機栽培を始めました。

商品名であり、会社名でもある「キセキ」

 全国2位のトマト生産量を誇る北海道(農林水産省・平成27年度野菜生産出荷統計)。キセキ・コンダクト・カンパニーの最初の商品は、『桃太郎T-93』で作った無塩の100%オーガニックトマトジュース『輝赤(キセキ)』です。有機栽培トマト以外は一切使用していないので、トマト本来の味が楽しめます。
 『輝赤(キセキ)』という名は、商品名を考えている時に、環境学習で関わっていた小学校の先生が提案してくれました。それが、商品名になり、そのまま社名にもなりました。
 第二弾の商品『しみこむトマト』も、トマトジュースです。『輝赤』を北海道立総合研究機構が特許を持つ植物性乳酸菌『HOKKAIDO株』で醗酵させ、酸味をつけた製品で、爽やかで強烈なすっぱさが特徴です。トマトジュースは糖度を競う商品が多い中、酸味を強調した個性的な商品になりました。
 植物性乳酸菌の使用は、植菌し醗酵させる温度管理や衛生管理、醗酵を停止するタイミングなど、苦労も多くありましたが、そのノウハウが、今回受賞の『トマスコ』に活かされ、さらに進化した商品となりました。

トマスコ

 『しみこむトマト』をベースに国産唐辛子で辛味を付けたオーガニック辛味調味料。「トマスコをひとことで言うと、オーガニック発酵食品辛味調味料。トマトの風味と酸味、唐辛子の辛味を同時に楽しめ、加熱調理をしても三つの味は変わらない、無添加、無塩の有機調味料です。『食の安全・安心』を求める消費者の声に対して、市場にはシンプルな味で、かつオーガニックの調味料が少ないことから商品化しました」と同社代表取締役の花本金行さん。
 ピザやパスタはもちろん、生ハムやスモークサーモン、カルパッチョやステーキ、さらには焼き魚やサラダのアクセントにも使えます。また、鍋や汁物など和食にも合いそうと、アイデア次第でさまざまな使い方がありそうです。  

[取材協力]株式会社キセキ・コンダクトカンパニー