便利さと自然のバランスの取れた土地。
生家でもあるレストラン「TERAKOYA」で生まれ育ち、移り変わる武蔵野の変遷を見つめてきた間さん。武蔵野台地の突端、土の匂いが感じられるこのエリアの魅力を「自然や便利さのバランスが取れた心の緩衝帯」と語る。
本格フレンチ「TERAKOYA」
代表取締役 間 光男(はざま みつお)さん
このうような開放的な眺めを堪能しながら食事をいただける。
武蔵野のはけを感じながら。
海外に行って「小金井」を紹介する時は、「フランスで例えるとパリの中心部からベルサイユまで」と伝えているそう。都心から少し離れて、心を落ち着かせることがとできる場所。
「都心にあるビルの窓もない店内で食べるよりも、この武蔵野のような自然光が降り注ぐ開放感のある場所で食事をした方が、より身体の中に栄養が満ちていくような気がするんです」
祖父が初代、叔父が二代目、そして初代である載一(さいいち)さんが亡くなったタイミングで三代目を継ぐことを高校3年生の時に決意した。「生まれた時から、祖父に継げと言われていました。きっと何か感じるものがあったんでしょうね」
他にも目標があってもおかしくない年齢で、迷いはなかったのか。
「この道に入ると決めるまでは、迷いはありました。ですが入ると決めたからには、腹を括る。人のせいにはしない。毎日目の前にある仕事に没頭する、それしかないと思いました」
3000を超えるレシピを生み出し料理を「創造」する際は、完成図を「想像」するという。
「頭の中でレシピを構築する時は、95%味が出来上がっています」
唯一無二の料理に出会ってほしい。
日本庭園がテーマの一皿、庭石は黒豆や紫じゃがいも、ブロッコリーを凍結乾燥させて苔を表現、オレンジや黄色の部分はケークサレ(塩味のフランス菓子)をパウダー状にしている。
「お客様に料理を愉しんでいただきたい、○○風とかではなく、真のオリジナル料理に出会えたと思っていただけたら、こんなに幸せなことはありません」
武蔵野はすべてが良い「塩梅」。
「中庸の徳という言葉がふさわしい土地ですね。小金井の良さは、都会的な便利さもあり自然もあり、住環境も良い。この土地に愛着を持っていただきたいし、郷土愛を感じていただきたい。この土地に帰属していく…そんな想いで暮らす人が増えていくことが私の願いです」
「武蔵小金井」駅から徒歩5分、荘厳な雰囲気が漂うエントランス外観。
厳かな雰囲気の中、待っている時間さえも贅沢に感じるウェイティングルーム
50冊ほどあるというレシピノートは、びっしりと文字を書き込んだ後に分量を考えていくという。
スペシャリテ(看板商品)を持たない料理人・間シェフ。「同じ料理はグランドメニューに載せない」と、徹底的にオリジナリティを追求する。
レストランメイドのハムやソーセージ、お菓子などをご家庭でも味わってもらいたいという思いからオープンさせた、テイクアウトのショップ「TERAKOYA ブティック」。
自然光の中料理を愉しめるようにと、窓も横長に設計されている。
TERAKOYA
東京都小金井市前原町3-33-32
TEL:042-381-1101
MAIL:office@res-terakoya.co.jp
URL:http://www.res-terakoya.co.jp/
こちらから
<取材後記>
初代である祖父の載一さんが亡くなったことで、海外で修業をする機会の持てなかった間さんは、まわりのシェフと比べて以前はコンプレックスだったそう。だからこそ、「スペシャリテを持たない」という唯一無二のスタイルが作り上げられていき、一貫して地元を見つめ続けてきたからこそ環境を生かした数々の料理がその手から編み出されていったのでしょう。
大切な人と紡ぎ出す言葉、ひと皿ひと皿想いの詰まった味の享受を愉しむため、上質な時間を過ごしに訪れてみてください。
間さんがオススメする武蔵野ライフ。
江戸東京たてもの園 野外博物館
武蔵野には小金井公園・野川公園など自然溢れる公園が多いですが、「江戸東京たてもの園」もよく行きます。レシピを考える時に、のんびり過ごしていると一度頭の中がクリアにできるんです。本当は食べ歩きなどもしたいんですが、なかなか時間が取れないのでやはり作る一方ですね(笑)。
東京都小金井市桜町3-7-1(都立小金井公園内)
042-388-3300
営業時間
4〜9月:9:30〜17:30 10〜3月:9:30〜16:30
休園日
月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始