2018-2019 東京大学・明和地所株式会社 共同研究
マンション居住者の住意識と
その経年変化等に関する調査研究
明和地所株式会社と東京大学工学系研究科建築学専攻松田研究室は、昨年度に引き続き、マンションに住んでいる人の暮らし方や地域とのつながりについて調べ、 これからの「住まい」を考えるヒントを探りました。その中で、住民との交流や近居に対する考え、地域への愛着を深めていく要素などが見えてきました。
- マンションの
購入理由 -
- マンションの購入理由の傾向
- 購入理由として最も多く挙げられた理由は「立地環境の良さ」であり、女性は「親子親族と近いこと」を、男性は「昔から住んでいること」を選ぶ傾向が強いと明らかになった。また、「将来売却する場合の価格が期待できるから」を購入の第三理由に挙げる調査協力者が多く、最優先ではないものの重要な事項であるとわかった。
- 性別・新築中古の別による購入理由
- 女性は男性に比べ「昔から住んでいる地域だったから」を選ぶ割合が低く、「親(子・親族)が近くに住んでいるから」を選ぶ割合が高かった。また、中古購入者は新築購入者に比べ「立地環境が良かったから」「親(子・親族)が近くに住んでいたから」を選ぶ割合が低く、「価格が適正だったから」を選ぶ割合が多いことがわかった。
- マンション内外での
交流意識と
交流満足度 -
- マンション内外での交流意識と子供の有無
- マンション内外での交流については、昨年度の結果より子供がいる調査協力者が高い意欲を示すことが明らかになっていたが、その長子の年齢別(12歳未満/12以上18歳未満/18歳以上の3グループ)に見ると、マンション内においては12歳未満の子供と同居している調査協力者が、マンション外においては12歳以上18歳未満の子供と同居している調査協力者が、最も交流意欲が高いことがわかった。
- マンション内外の交流意欲・満足度と物件規模
- 物件の規模100戸を基準に、中小規模マンション(100戸未満)と、大規模マンション(100戸以上)で比較すると、中小規模マンションにお住いの調査協力者は、大規模マンションに比べ、よりマンション内での交流意欲と満足度が高いことがわかった。一方、マンション外の地域での交流においては、物件規模による差は見られなかった。
- 近居の
状況 -
- 近居の状況と満足度
- 本調査ではおよそ4割の調査協力者が親または子世帯と近居をしており、近居先への時間距離が短いほど、近居への満足度が高くなることがわかった。
- 近居と購入理由の関係
- マンションの購入理由として、「昔から住んでいる地域」「親が近くに住んでいた」といった地縁や血縁を優先した調査協力者は、「立地環境」「価格」といった建物や価格を優先した調査協力者に比べ、近居をしている割合が約67%と高く、近居に対する満足度もそれ以外と比較して高くなっていることがわかった。
- 地域
愛着指数 -
- 地域愛着指数について
- 「土地と人との感情的なつながり」を評価する指標として用いられる13項目の地域愛着指標について、マンションへの居住年数によって有意な差は見られなかったが、マンションのある区または市での居住年数とは関係があり、その居住年数が長ければ長いほど、特に「地域になくなってしまうと悲しいものがある」「地域にいつまでも変わってほしくないものがある」といった質問項目(持続願望)に対して「そう思う」調査協力者の割合が増加することがわかった。
- 地域愛着指数と居住年数
- 地域愛着指数について、現在マンションのある区または市に住んでいる累積年数が、9年未満、10年以上20年未満、21年以上の3 グループに分けて調査したところ、「地域にいつまでも変わって欲しくないものがある」「地域になくなってしまうと悲しいものがある」という持続願望を示すとされている項目にのみ、居住年数が長いほど愛着度が高くなることがわかった。
明和地所と東京大学松田研究室は、引き続き、マンションに住んでいる人の暮らし方や地域とのつながりについて調べていくことで、人と地域をつなぎ、長く住み続けられるマンションづくりのヒントを探っていきます。
アンケート調査の概要と質問項目
- 第一回調査
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- ・調査期間:
2017年10⽉1⽇~31日
- ・調査対象:
東京都・神奈川県に位置する集合住宅15棟
- ・調査方法:
全世帯(549世帯)に質問紙を配布し、169票(30.8%)の回答を得た。
- ・調査期間:
- 第二回調査
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- ・調査期間:
2018年10⽉15⽇〜11月15日
- ・調査対象:
東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の集合住宅19棟
- ・調査方法:
無作為に選んだ各棟40世帯(760世帯)に質問紙を配布し、236票(31.1%)の回答を得た。
- ・調査期間:
【本件に関するお問い合わせ窓口】
明和地所株式会社 経営企画部電話:03-5489-2620