地域共生
クリオ茅ヶ崎中海岸グランシック 2023年完成
「クリオ茅ヶ崎中海岸グランシック」は、JR東海道本線・上野東京ライン・湘南新宿ライン・相模線「茅ヶ崎」駅徒歩12分、かつて湘南有数の別荘地だった面影を残す閑静な中海岸アドレスにあります。
第一種低層住居専用地域であるこのエリアには、戸建住宅を中心とした住宅地が形成され、海辺の街ならではのゆったりとした雰囲気が漂っています。本物件は、低層3階建、南東・南西向きの配棟計画で、街並み景観との連続性と一体感を図るため、3層に及ぶ伸びやかな水平ラインを基調としたデザインとしました。また、近隣住民に愛されてきた樹齢50年の八重桜を通りに面した一角に移植するなど、土地の記憶と街並みの風景の継承に相応しい計画としています。共用部には夏場のクールスポットとなる水景を備え、住民の憩いの場として機能する中庭を設けています。
外観完成写真(2023年8月撮影)
中庭完成写真(2023年2月撮影)
エントランスホール完成写真(2023年2月撮影)
〈 審査委員からの評価コメント 〉
軒先が軽やかで実に印象がよい。1階住戸は外部に背を向けることなく、専用庭が外部に対して半開きになっている。さらにはこの庭から住戸へのアクセスも確保し、住宅の多様な使い方を可能にしている。景観面での配慮を含めて立地地域と積極的に関係を持とうとするこのようなデザインは評価された。 同時に、各住戸のフロンテージの広さは隠れた秩序として重要である。バルコニーや庭はある程度の幅があることで安定的な居場所としても機能し、室内と一緒に使うことによる居住者にとっての空間の有効活用が促される。そのバランスを追求して行くことも大事である。
クリオ片瀬江ノ島 2020年完成
2020年度グッドデザイン賞受賞
本物件は、小田急江ノ島線「片瀬江ノ島」駅より徒歩6分。湘南らしい雰囲気のあるショップが並ぶ国道134号線から一歩奥へと入った閑静な住宅地にあります。外観は白と木目調のタイルをベースとした配色に、リゾート感を醸し出す植栽を配し、湘南のローカリティに配慮した開放的なデザインとしています。
1階住戸のテラスは、隣り合う住戸との腰壁を低くし、道路側にあえてゲートを設けないことで、ゆるやかに地域とつながるインターフェースを構成し、人と人との交流が生まれる空間を創出しています。
また、エレベーター前の中庭には、ベンチやサーフボード置場などを設置し、居住者同士のコミュニケーションを誘発するような距離感を意識しながら、自然とうちとけられる場の演出として動線、植栽、照明等の空間デザインを計画しました。
片瀬西浜海水浴場まで徒歩3分。海を臨めばマリンレジャーが繰り広げられる、そんな風景が日常となる環境で、アクティブに過ごすライフスタイルを提案しています。
「クリオ片瀬江ノ島」:外観
1階住戸テラスのオープンスペース
コミュニケーションの場となる中庭
エントランスアプローチ
〈 審査委員からの評価コメント 〉
ビーチライフが楽しめる集合住宅というのはコンセプトとしてはよくあるが、なかなか良いデザインに帰着しない。本プロジェクトでは1階の樹木と領域をつくる低い塀と住戸の関係に大変に工夫があって、単につなぐだけでも閉じるだけでもない、ビーチライフの日常のリアリティに上手くつながった「使って楽しく雰囲気のよい」というありそうでなかったグラウンドレベルのデザインができている。またそうしたグラウンドレベルの在り方と、外観全体のデザインのヒューマンスケールで有機的な表情がうまく調和されていて、ビーチライフ型の集合住宅のスタンダードになりえるようなプロジェクトだと思う。
クリオ横濱本牧 2019年完成
2019年度グッドデザイン賞受賞
横浜市中区本牧町という地域性から、「街並み・暮らす人・日常の生活」が巧く調和し合い、相互に影響を及ぼし合う関係性を目指したデザインです。
建物エントランスと歩道及び前庭・中庭の境界を敢えて曖昧とし、緑豊かな一体を大きな空間と感じられるように配慮しました。建物に設えたバス停のベンチに座る人、通りを行き交う人、建物に住まう人を大きな庇で内包し、人々がやさしく親和する界隈を創り出します。クリオ横濱本牧は地域共生に基づくデザインが評価され2019年度グッドデザイン賞を受賞しました。
「クリオ横濱本牧」左:外観 右:エントランスホール
界隈性の象徴となるバス停とゲートベンチ
敷地の境界の植栽帯が曖昧さを演出
エントランスホールから続く通り庭とインナーベンチ
〈 審査委員からの評価コメント 〉
共同住宅の計画で腕がとわれることのひとつは、設置階の周囲とのつながりのデザインだ。この計画では大通り沿いにエントランスホールを設け、大通りを風景として取り込みつつ、外側にベンチをもうけることで、道路からエントランスの中を直接見られることを防いでいる。差し出すものを少しだけ作ることによって、内外を調停する、秀逸なデザインだ。ベンチそのものはバス停の待合としても機能し、地域とのつながりという意味でも素晴らしい試みだ。