TOP > LOOK > kurobekoya

武蔵野特有の“ゆとり”が、質感のある暮らしをもたらす

小金井市で30年以上の歴史を持つドイツソーセージ店がある。その名は「ケーニッヒ」。代表を務める島崎智融さんは、ドイツを訪れた際に本場の味に魅了され修業を決意。今や国際的なコンクールでチャンピオンを獲るなど、その腕は折り紙つきである。「本物のソーセージを通じて、本質的な豊かさを感じてほしい」と考える島崎さんは、武蔵野の地に漂う“ゆとり”が、それを可能にするという。

本格ドイツソーセージ店「ケーニッヒ」/米沢牛焼き肉店「黒べこ屋」慶徳ミート
代表取締役 島崎智融(しまざき ちゆう)さん


ケーニッヒ本店。武蔵小金井駅から三鷹方面に歩いて6分ほどのところにある。2015年に移転し、よりアクセスしやすくなった。


「武蔵小金井」駅南口にある、米沢牛の焼肉店「黒べこ屋」は姉妹店。ケーニッヒ同様、上質な素材と手間ひまが生み出すおいしさを味わいながら、心が満たされる瞬間を堪能してほしいという想いのもと店を開いた。

ドイツで受けたソーセージの衝撃

「世の中にはこんなにおいしいものがあるのか…!」
島崎さんがソーセージに開眼したのは、初めてドイツを訪れた時だった。武蔵野エリアで精肉店を営む両親を手伝いながらも、小規模経営の厳しさや難しさを肌で感じ、将来自分は商社マンになると信じて疑わなかった頃である。家族で工房を回し、丁寧につくることで少量でも勝負できる世界に大きなショックを受けた。その情熱は帰国しても冷めやらず再び渡独、2年間ソーセージづくりの修業に勤しむ。
そして1986年、満を持して小金井に本格的ドイツソーセージの店、「ケーニッヒ」を立ち上げる。

本物の味を通じライフスタイルを提案

素材を徹底的に吟味し、一つひとつの工程を丁寧に。こだわりのソーセージたちはコンクールで優秀賞に輝くなど、本場ドイツでもそのおいしさはお墨付きだ。だが、こだわりの分だけ価格はそれなりになる。
「当店の商品は、本物を味わうことで得られる幸福感や満ち足りた時間を届けたいという想いでつくっています。ある種、ライフスタイルの提案なんです。そして小金井には、その想いに共感してくれる人たちがいる。だから続けられているんだと思いますね」
オープンから30年強、今や平日休日問わず、途切れることなく客が訪れる。当初、子どもだった世代が親になり、今度はその味を子どもに伝えようと店に通い続ける人もいるという。
武蔵野の風土には、単なるモノの消費で終わらせないという島崎さんの哲学を受け入れることのできる「ゆとり」があるのだ。

まちの見た目は変わっても本質は変わっていない

駅前をはじめ、「武蔵小金井」駅周辺は現在再開発が進む。まちが変わっていく様子を、島崎さんはどのように感じるのか。
「確かにまちの見た目は変わったかもしれませんが、空気感や住む人たちの気質といったところは、それほど変わっていないと思いますよ」
この辺りは親子代々で居を構える人もいる一方、転勤族や学生も集まる。
「古くから住む人の多くは、新しく暮らしはじめようとする人たちを迎える、今の状況を楽しんでいるところもあるんじゃないかなぁ」
これから暮らす人たちには、自然の恵みやゆったりとした雰囲気など、このまちならではの豊かさを享受してほしいと島崎さん。
即物的な世界とはまた違った時間が、小金井には流れている。


ケーニッヒ店内に並ぶソーセージの数々。主原料の豚肉、牛肉は国産を用い、ドイツヘッセン州ヴェッツラーに伝わる製法で1点1点手づくり。通常商品だけでも60種類以上を揃える。


店内に飾られた国際大会で獲得したトロフィーの数々。「コンクール用のソーセージをつくったことはなく、普段お店に出している商品で勝負しています」(島崎さん)


新鮮なレバーを用いてつくられたペースト、“レバーヴルスト”はケーニッヒの人気商品。レバーの濃厚な口当たりとまろやかさに、オリジナルのスパイスの香りが絶妙にマッチする。


ケーニッヒ新店舗はヨーロッパの片田舎にある、センスの感じられる店をイメージ。2階では、バーベキューも楽しめる。


「黒べこ屋」では焼き肉とともにドイツビールをじっくり味わえる。肉と旨味がダイレクトに感じられる赤身肉が近年人気だという。良質な米沢牛は、塩こしょうだけで十分味わえるおいしさ。メニューにはケーニッヒのソーセージも揃える。


玉ねぎをふんだんに使い、時間をかけて具材がトロトロになるまで煮込んだ“牛すじカレー“は、黒べこ屋、ケーニッヒ共に大人気。ランチタイムでも提供している。「家でも食べたい」というリクエストに応え、持ち帰りも用意。まとめて何食分も買って帰る人もいるとか。

ケーニッヒ小金井本店/黒べこ屋

住所:(ケーニッヒ)東京都小金井市緑町5-3-18
(黒べこ屋)東京都小金井市本町1-18-15
電話番号:(ケーニッヒ)042-381-4186
(黒べこ屋)042-385-8929
URL:http://www9.plala.or.jp/KOENIG/koenig/Top.htmlこちらから
営業時間:(ケーニッヒ)10:00~19:30
(黒べこ屋)17:00~22:30(ラストオーダー22:00) ランチ11:00~15:30

<取材後記>

取材当日の昼下がり、ケーニッヒ本店にやって来る人の流れを眺めていたところ、2人組の女性客がやって来た。お散歩の途中で店に入ったようで、ソーセージのついでにオレンジジュースを買い求め、外のテラスで飲みながらのんびりと語り合っていたのが印象的だった。その旨を島崎さんにお伝えすると、「まさに、提案したい時間の使い方そのものですよ」と話していた。島崎さんの考える“豊かさ”は、このまちの共通言語として息づいているのだろう。ちなみにオレンジジュースも島崎さんこだわりのセレクト。細部にわたり、幸せな時を演出してくれる。

島崎さんおすすめの武蔵野ライフ。

都立小金井公園

小金井屈指の癒しスポットといえば、玉川上水沿いのこちらの公園ですね。80ヘクタールという広大な敷地には、草地をはじめ雑木林や桜の園、子どもが遊べる広場に、弓道場やテニスコートまで豊富な施設が揃います。子どもが小さい頃は家族でよく遊びに行きましたし、子育てを終えた今は、趣味のトライアスロンのトレーニングに利用します。公園内を1周するとおよそ5km。季節の移ろいを楽しみながら、飽きずに走ることができます。予約制のバーベキュー広場もあるので、ケーニッヒでソーセージを調達して出かけてみては。
写真提供:公益財団法人東京都公園協会

小金井市桜町3丁目、関野町1・2丁目、小平市花小金井南町3丁目、西東京市向台6丁目、武蔵野市桜堤3丁目

電話番号
042-385-5611

営業時間
サービスセンターや各施設は季節により営業時間が異なる。

休業日
常時開園

http://www.tokyo-park.or.jp/

武蔵野を愛する人たちのためのマンション、新登場。

クリオ武蔵小金井
グリーンアベニュー

小金井市本町アドレス。北大通り、ユリノキ並木に面した南向き中心のレジデンス。

クリオ武蔵小金井
フロントアベニュー

再開発により美しく整理され、多彩な商業・文化施設が賑わう駅周辺。街の優れた都市性とアクセスを存分に使いこなせる、駅前通り沿い徒歩6分の地に誕生。