武蔵野暮らしの達人たちが集う朝市。
「はけ」とは、崖や丘陵の片岸をさす言葉。国分寺崖線が通るこの小金井界隈は豊かな緑と湧き水に恵まれ、風情ある坂道が街を描く。こんな武蔵野の魅力に惹かれた人たちが集まり、この地の暮らしをもっと楽しもうと、2009年から続く毎月開かれるマーケットが「はけのおいしい朝市」である。
武蔵野Loverたちが運営するマーケット 「はけのおいしい朝市」
鶴巻麻由子(つるまきまゆこ)さん、横須賀雪枝(よこすかゆきえ)さん、
中村研一(なかむらけんいち)さん
現組合長の鶴巻麻由子さん。小金井に魅せられ移り住んで来た。
朝市のメイン会場として使われる中村文具店新店舗は、青いビル。
休日の豊かな過ごし方を提案
「はけのおいしい朝市」は、小金井など国分寺崖線近くを拠点とする飲食店や雑貨店などを営む「組合員」が中心となり開かれている。毎回、さまざまな分野で活躍するクリエーターなどをゲストに招き、多様なバリエーションを見せる。作家によるワークショップなども人気だ。
「公園に行く前にご飯を調達するのもいいし、買い物やワークショップを楽しんで1日を過ごしてもいい。この武蔵野の恵まれた環境で、のんびりとした休日を楽しいんでもらえたらって思いますね」と、小金井の井戸水を使った珈琲を屋台で販売する、朝市の3代目組合長、鶴巻麻由子さんは話す。
都会と自然のバランスが絶妙
組合員には、生まれも育ちも武蔵野という人もいれば、この地に惹かれて引っ越して来たという人もいる。スタートの年からの組合員、ライフスタイル雑貨を販売する横須賀雪枝さんは、住まい探しで初めて小金井を訪れた時のことを、こう振り返る。 「不動産屋さんにはJR中央線の小金井以外のエリアも紹介してもらったのですが、何だかしっくりこなくって。でも小金井は、ほどほどに都市なんだけどのどかな雰囲気が自分に馴染んで、住宅街を歩きながら『ここしかない!』って思ったんですよ」 都市機能の充実と、今も残る豊かな武蔵野の自然と共存しているJR中央線エリア。中でもこのバランスが絶妙なのが、小金井なのだ。
新しく住む人が街の魅力を教えてくれる
「ずっと住んでいると、この景色が当たり前と馴染んでしまいますが、外から移り住んで来た人たちがこの街の豊かさを教えてくれて、はっとする時がありますね」と話すのは、武蔵小金井で60年続く文房具店を営む、中村研一さん。小金井の歴史を知る組合員だ。
「地元出身の中村さんは、やはり頼りになります。でも、以前からここに住んでいる皆さんが朝市を温かく受け入れてくれていて、新参者の私たちでも疎外感を感じることはないですね」と鶴巻さんは言う。朝市には近頃引っ越してきた新住民だけでなく、古くから武蔵野に暮らし、この地をよく知る人も多く訪れる。
小金井の休日は、うっかり寝過ごしてしまってはもったいないのである。
写真左から、横須賀さん、中村さん、鶴巻さん。各自が自立しており、心地よい関係だという。
中村文具店新店舗での開催時は、ビルの屋上がくつろぎスペースに。周りに遮るものがなく、一望できるのが魅力。
毎回おなじみ、鶴巻さんの珈琲店、出茶屋。赤い屋根の台車がかわいい。
朝市に並ぶ品々。運営側も気負わずに楽しむのがポリシー。
春は武蔵野公園、秋は小金井神社でそれぞれ年1回規模を大きくして開催される。地元の方々の協力があってこその会場だ。今年も10月に小金井神社で開催予定。撮影:小金井百景
朝市の旗。毎回会場に掲げている。足を運ぶ際は、こちらを目印に。
はけのおいしい朝市
中村文具店新店舗
(市内に5会場ある中のメイン会場。開催回によって会場が異なるので要確認)
〒184-0012
東京都小金井市中町4-13-17
MAIL:web@hakeichi.net
URL:http://hakeichi.net//
こちらから
営業時間:原則毎月第一日曜日に開催。時間は要確認。
<取材後記>
朝市は開始から7年が経ち、この4月で80回を迎えたという。訪れた人同士で新たなつながりが生まれる様子を見てきたという組合員のみなさん。特に子どもたちはすぐに友達になるとか。朝市で見つけたお店に、後日足を運ぶのもお楽しみ。武蔵野ライフを満喫するには、ぜひおさえておきたいスポットだ。
はけのおいしい朝市の組合員おススメの武蔵野ライフ。
丸田ストアー
武蔵小金井駅の南口から、小金井街道をまっすぐ南に下った先の住宅街の一画にある老舗の商店で、地元の人々の胃袋を支えています。1つの建物に鮮魚店や精肉店、青果店、惣菜店などが入り、それぞれで会計する仕組み。お店の人においしい食べ方を教えてもらったり、相談したりと、スーパーにはない楽しみ方があります。焼き菓子やキッシュのおいしいカフェ、tiny little hideout SPOONFULさんは、はけのおいしい朝市の組合員。少し足を延ばせば武蔵野公園もあり、武蔵野ならではの人とのふれあいと自然の豊かさを満喫できます(鶴巻さん)。
〒184-0013 東京都小金井市前原町5丁目8−3
営業時間
12:00〜19:00(丸田ストア、鮮魚・精肉・惣菜・乾物)
10:00〜日暮れまで(tiny little hideout SPOONFUL)
休業日
日曜日、月曜日