ディスカバー北海道

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函館市は海の幸と山の幸を生かした食文化や異国情緒漂う街並みなど豊富な観光資源に恵まれています。函館が持つたくさんの魅力を、立場が異なる3名の住民の方に尋ねてみました。

函館蔦屋書店 コミュニティ担当 前川未来さん

函館で生まれ育ち、飲食業やラジオパーソナリティーなどを経て、現在は函館蔦屋書店で働く前川さん。函館について「にぎやかさと閑静な面の両面があり、いろいろな顔がコンパクトにまとまっている」と話します。春は桜、夏は花火、冬はベイエリアで高さ約20メートルのツリーにイルミネーションを点灯する「クリスマスファンタジー」など、季節ごとにイベントがあり、「季節を肌で感じながら暮らせる」とも。独自の世界観を持つ飲食店が街の中に点在していることや全国各地で人気の高品質の食材が身近にあること、見たい風景にすぐ行けることなどを挙げ、「日常のすぐ隣に贅沢な資源がある」と語ります。

函館蔦屋書店で開催された市民発信のイベント

スタートアップに向いているまち

地域の文化活動を支援する一環として、イベントや体験講座を開きたい市民に店内のスペースを提供している函館蔦屋書店。その担当者として、催しを行いたい市民の相談窓口となっている前川さんは「他の都市に比べて、『自分を表現したい』『自己実現したい』との思いを持って行動する人が多い」と話します。家庭を持つ女性も活発に活動しており、蔦屋でのイベントを機に活躍の場を広げた人も多くいます。函館は地元メディアの情報発信が充実しており、始めたばかりの活動でも複数の媒体に取り上げられ、すぐに地域に知れ渡ることも。前川さんも「函館は実績や基盤がとても作りやすいまち。いずれは他の地域で事業や活動を広げようと考えたとしても、スタートアップは函館がお薦め」と話します。

シエスタハコダテ統括責任者 岡本啓吾さん

函館市街地の中心部にある商業施設「シエスタハコダテ」の統括責任者を務める岡本さんは、生まれも育ちも函館。ところが、10代の頃は函館が好きではなく、都会に憧れていたといいます。函館の良さに気付いたのは、大学進学で首都圏に暮らし始めてから。海や山に行くにも満員電車に揺られ、人であふれている観光スポットに行くたびに、「街の機能がぎゅっと集約され、すぐ近くに豊かな自然が広がっている函館がいかに恵まれていたかを実感しました」と振り返ります。「都市機能と自然が両立していて、飛行機なら東京まで1時間半と、住むにはとても良い場所。今後、2拠点居住やワーケーションが浸透するにつれてますます注目されていくのでは」とも話します。

地域の生産者が出店するマルシェ

豊富な素材から新たな魅力が生まれる

商業施設の責任者を務めながら、地域の産業を活性化させるための様々な企画を立案し、商店街や周辺の事業者、一次産業の従事者などを巻き込んだイベントの運営を手掛けている岡本さん。施設運営やイベントの企画などを通し、函館市民の地元愛や、困っている人を見たら助けずにはいられない面倒見の良さなどを実感しているといいます。函館の魅力について「観光資源はもちろん、豊かな自然やおいしい食べ物などがたくさんあり、各分野で頑張っている人も大勢います」と語る岡本さん。今後に向け、「素材や人をどんどんつないで点を面に広げ、地域に新たな動きをつくり出していきたい」と夢を描きます。

函館市公式観光情報サイト「はこぶら」
編集室スタッフ 吉田沙織さん

結婚後に「子育てをするなら函館で」と家族で首都圏からUターンした吉田さんは、高校卒業まで函館で育ちました。現在は函館市公式観光情報サイト「はこぶら」のスタッフとして、函館市の観光やイベントなどの情報発信に携わっています。函館に帰ってきてしみじみと感じたのが「澄み切った水のおいしさ」。函館に住むまでは水道水を飲まなかった家族も、函館の水道水をひと口飲んで「とてもおいしい」と驚きの声を上げたといいます。「函館は、日本人が設計した上水道が国内で初めて整備されたまち。そんな歴史ある函館の水道水がこんなにおいしいのは、それだけ自然に恵まれている証拠だと思います」と吉田さん。「料理に欠かせない水に恵まれているせいか飲食店がとても多く、繁華街はもちろん、住宅街にも溶け込むように喫茶店やレストランが店を構えていて、街歩きをして新しい発見をする楽しさがあります」と話します。

吉田さんがお薦めする海沿いの道からの眺め

写真で見た景色を追体験する楽しさ

「はこぶら」のインスタグラムも担当している吉田さん。「ぜひ現地に来て、写真の景色を追体験してほしい」という思いを込めて、函館の日常を世界に発信しています。「この写真の場所はどんな所なんだろうと想像し、旅の楽しさをふくらませてから実際にその場所を訪れると新しい函館の景色が見えてくるかも」と函館旅行の「予習」を提案します。そんな吉田さんのとっておきの場所は、大森浜の海沿いの道。波の音と海鳥の声だけが響く静かな場所に車を停め、すぐそばに広がる海と函館山の稜線を眺めながらコーヒーを飲んだり、時には荒れる海をただ眺めて過ごすのが吉田さんの安らぎのひと時。「津軽海峡と函館山が季節ごとに違う景色を見せてくれて、いつ行っても写真に収めたくなる場所です」とお気に入りスポットを熱く語ってくれました。

多くの観光客が訪れる函館には、様々な分野で働き、活躍している人々がいます。
今回は、一般市民の自己実現をサポートしている前川さん、事業者同士の連携を図りながらまちにムーブメントを起こそうとしている岡本さん、観光情報の集約や発信に取り組む吉田さんに、各々が思う函館の魅力を聞きました。函館は旅人に親切な、人情味あふれる港町です。旅の中で地元の人と会話ができれば、函館旅行がより思い出深いものとなることでしょう。